IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第165話

「遅いっ!!もっと意識を集中し武器の切り替えは瞬時に行えるようにしろ!!」

「は、はい!!」

「思考が遅い!!!貴様の専用機の能力を最大限に発揮するにはその程度の速度では役に立たん!!」

「わ、分かりましたっ!!!」

「常に最低でも4通りのパターンを構築しそれらを瞬時に組み変えられるようにしろ!!」

「りょ、了解!」

「常に相手との距離を計算に入れながら行動しろ、そして得られる情報の全てを自らの戦術に組み込め!!」

「Yes,ma'am!!」

 

研究所の特設IS稼動実験アリーナでは凄まじい怒号による指導の嵐が降り注がれてその嵐に身を当てて鍛錬に励んでいる男の姿があった。そんな男に対して凄まじく厳しいメニューを課しているのはイギリスの国家代表たるハマーン・カーン、そしてそんな指導を受けているのはイギリス代表候補生の杉山 カミツレであった。ハマーンの専用機の改修が急ピッチで行われており、その間だけでも指導をしてくれる事になったので指導を受けているのだが……これが今まで受けてきた師匠の中で最上級といっていい程のスパルタ指導なのである。

 

「貴様は所詮まだまだ青いひよっこなのだ、ならばそんな貴様が今出来る事とはなんだ!!」

「自分の技量を研磨し実力を高める事であります!!」

「ならばさっさと手を動かせ!!それが今のお前に出来る事だ!!」

「Yes,ma'am!!」

 

相手の素質を見抜く才能を有しているハマーン、その精度はヨランドと互角かそれ以上とも言える凄まじい物で、それによって見抜いたカミツレの現在の力量を見て思わず口角を上げた。同時にそこに到達するまでにどれだけの時間と苦労、そして経験を積まなければいけないのかを感じ取った。しかしそれでも彼は努力をやめないのだろう、師達に教えを仰ぎつつも自分で自分を研磨するに決まっている。ならば自分も一つ、将来有望な後輩を研磨する研磨剤の一つになってやろうではないかと思いたった。

 

そんなハマーンの指導方法はヨランドの物と極めて似通っているが決定的に異なっている点は本人の気質の差。ヨランドは相手の最大値を伸ばそうとしながらも相手の身体を気遣って、身体に負担を掛けつつも負担が掛かりすぎないように調整している。一方ハマーンは最大値を限られた時間で限界まで引き伸ばそうとする方法を取っているので極めて辛く酷く苦しい訓練方法となっている。普通の代表候補なら既に潰れている所だが……そこは素晴らしい師に恵まれているカミツレ、必死に喰らい付いてハマーンの教えを飲み込もうと努力し続けている。

 

自らの専用機「キュベレイ」の改修が終了し満足げにそれを引き取って引き上げる時には疲労で倒れこんでセシリアの膝を枕に眠っているカミツレを見て少し口角を上げて通ってきた道を戻りながらカミツレに対して伝言を残して研究所から去って行った。その伝言を聞いたカミツレは思わず苦笑いして勘弁してくれと、零したと言う。

 

『―――次会う時にはもう少しまともになっておけ。でなければ次はもっと厳しく扱いてやる。』

 

 

「さてさて遂に今日帰国してしまうのか何とも残念だ…!もっと君の好きな特撮について教えてほしかったのにっ…!!!」

「後日、俺の好きな作品とか纏めて送りますよ。結構参考になったりする物は多いと思いますから」

「おおっ是非頼む!!」

 

そして遂に日本へと帰国する日がやってきた。主だったデータ収集は終了しこれからは得られたデータを基にしてリオノーラが理論だけ構築して放置していた新技術の開発やら予備パーツの製作などを行っていくらしい。それと並行してセシリアのティアーズの武装の改良も行うらしく、近々ティアーズ用に開発する「スターダスト」の新バージョンが送られる事になっている。

 

「特に私はウルトラマンダイナと仮面ライダーBLACK RXとキバが気に入ったな!!出来れば555とドライブというライダーも見てみたいんだが!!」

「劇場版込みで」

「おおおおっっ!!」

 

実は「大将軍」でスピードロップが出来るかという事を実験した際にリオノーラが今まで以上にテンションがスパークしてしまい是非とも発想の元を教えて欲しいと懇願されたので日本の特撮やらアニメを教えてあげたのである。そうしたらカチドキを連想されるレベルにド嵌りしてしまい、今では特撮に出てくるテクノロジーを現代の技術で再現する事は不可能なのだろうかと真剣に考え、なんとかしようと本気で考えているほどである。それほど日本の特撮が刺激的だったらしい…カミツレが持っていた映像データの都合で見られなかった作品も多かったらしい。

 

「元気でね若旦那さん」

「頑張れよ将来の国家代表の若旦那!!」

「打倒ハマーン様だな若旦那!!」

「ちょっ!?若旦那はやめてくださいよ!!?というか代表倒せとか無茶言わないでください!?」

 

そんなカミツレは研究所のスタッフ達とも仲良くなったためか、将来もっと大きく成長して国家代表になると予感している為か若旦那と呼ばれている。恐らくセシリアと結婚するからという意味も含まれているのだろうが…。

 

「カミツレさん随分と皆様と仲良くなられたんですね」

「まあね、相談とかにも乗って貰ったりもしたからね」

「うむこれでカミツレ君も正真正銘の私達の仲間であり家族という事だ!!困った事があれば何でもいってくれたまえ!!例え「大将軍」が大破したとしても直ぐに修復出来るように手配するからね!!」

「はははっそりゃ心強いですね」

 

そんなやり取りもありながら、大変でありながらも充実したイギリスの滞在を終えたカミツレはセシリアと共に日本のIS学園へと戻って行くのであった。




カチドキ「大破って……穏やかじゃない事をいいますね」
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