IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第168話

時間が経つのは早いという物で一夏とカミツレがIS学園に入学して既に半年を優に超える月日が経過し、学園は3学期に突入し冬を迎えていた。急激に冷え始めている日本、息も完全に白くなるほどに寒くなってきている。そんな寒さの中でも学業に勤しむ生徒達、そんな生徒の中でも努力を続けているのは男性IS操縦者として努力を絶やさない一夏とカミツレ。半年以上も学園で過ごしているからか、既に学園の様々な事にも慣れており、周囲が女子だらけと言う事にストレスを感じなくなって来ている。この場合、慣れたというべきか感覚が麻痺しているというべきか迷う所なのだろう。

 

当初こそ人気は一夏の一強だったが現状では完全にカミツレの人気がそれを上回る結果となっている。イギリスの代表候補というだけではなく「キャノンボール・ファスト」での1位入賞やあの千冬や束、ヨランドのハートを射止めたという事も合さって様々な分野の人間から人気を集める事になっている。そして、世界でも至った例が少ない二次移行をさせたとして操縦者としての評価も高まっている。

 

そんなカミツレをほぼ一方的だがライバルとして意識して努力し続ける一夏、武装が「雪片弐型」のみという現実に真正面から立ち向かっており、如何すればいいのかと真剣に考え様々な戦法を試したりしている。戦法としては嘗てカミツレが行ったブレードを蹴って飛ばしたりなどを参考にして、自分だけの物を見つけようと試行錯誤中だが……流石に「雪片弐型」だけではきつ過ぎる…せめて何か銃一つでも付けられないかと整備課の先生に相談中。

 

そんな二人も間もなく2年への進級を控えるようになり、後輩について頭を悩ませたりしていた。

 

 

「はぁっ……進級試験に合格したのはいいんだよ、良いんだけどさぁ……」

「どうした一夏、溜息なんてついて……ほらっ折角義兄さんの食事が不味くなるぞ」

「んで何で溜息なんぞ吐いてんだよ。喋らないとスピードロップ叩き込むぞ」

「ちょ!それは余りに酷くね!!?」

『いえカミツレ、此処は是非トライドロン砲のマキシマム・ドライブで』

「待って待って話しますから!!だからお願いだからやめてくださいお願いします!!」

 

カミツレの自室にて食事を取っている一夏と箒、以前から約束していたカミツレが手料理をご馳走するという物。一応同級生でクラスメイトの集まりなのだが……その実体は親族で義兄と義妹、義弟という関係なのだから妙な事この上ない。まあ大体カミツレが千冬と束と結婚する事になったからなのだが。因みにマドカは簪と一緒に仮面ライダーのイベントに参加している、神の恵みを受け取りに行くとも言っていた。

 

「進級するとさ、俺達の代わりに1年になる新入生が入ってくる訳だろ?それってさ、俺達目当ての子がいるんじゃねえかなって……」

「そりゃいるだろうな、俺達の知名度は既に世界レベルだからな」

「入学当初の1組みたいな環境になっているだろうな」

「だよなぁ……はぁっ……少し前に二つ名が出来たってはしゃいでいた自分をぶん殴りてぇ……」

 

一夏が溜息を付いていたのはそこであった。言うなれば入学当初、千冬が担任をしているクラスになれたと騒いでた女子達のように自分達目当ての女子達が来るというかもしれない現実に辟易しているのである。同時に国からの命令を受けて、自分にハニートラップを仕掛けようとしてくる女子とている筈だと考えている身としては頭が痛い限りである。

 

「何、私とラウラが守ってやるさ。夫を守るのも妻の仕事だからな」

「ほ、箒……凄いカッコいいけど俺とお前まだ結婚してないぞ」

「気にするな言葉の綾というやつだ、それに既に私の両親には挨拶は済ませているし喜んでくれていたではないか。既に公認の仲という奴だ」

「それにお前束さん特製のナノマシン入ってるから、媚薬とか薬物は完全に効かないから大丈夫だろ」

「ああ。箒に羽交い締めされてる間にカミツレに打たれたナノマシンな」

 

死んだ目になりながらも言葉を言い放つ一夏、ナノマシンの循環が終わるまでの事を聞いたカミツレの巻き添えとして打たれた一夏。当人もそれを聞いた時は顔を真っ青にしながらも、ナノマシンが循環した後は色々と大変な毎日を送っている、主に箒関連で。所謂千冬に迫られているカミツレみたいな事になっているらしい、いやあれよりはマシらしいが……それでも主導権は基本的に箒にあるという。

 

「はぁっ……今から頭痛いよ……。というかさ、俺の友達の妹まで来るんだよ……」

「それって弾の事か?」

「ああっそう、弾の妹に蘭って子がいるんだけどさ……その子はIS適正がAらしいんだよ。だから来るんだってさ……」

「一夏の友人の妹か……また嵐がおきそうだな」

「天災の妹が言うと説得力が違うな」

「天災の夫に言われたくないのですが義兄さん」

「仰る通りで……にしても乱ちゃんと被ってるな」

 

いやそこは気にしなくて良いだろっとツッコミが飛んでくる。カミツレからしたら少々面倒な事になるので弾の妹なのだから五反田さんと呼び分けようと決めるのであった。

 

「まあ兎に角気合入れていくしか無いだろ。『聖騎士様』よ」

「やめてくれ……」

「やだ」

「こんの……『常勝の戦人』!!」

「やれやれ私の夫と義兄さんは仲が良いな」

「よし箒さん、今日は一夏を搾ってやりなさい。今回のメニューは滋養強壮に効くから」

「任せてください」

「えっちょ待っておまっ!!?ひぃっ箒の目が怖い!?」

「これが、愉悦っ!」




本気でこれからに困ってる…。

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