IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第181話

クラス代表対抗戦、結果として2年の優勝をもぎ取った1組には半年のデザートフリーパスを入手し感謝の念を言われるカミツレ。そんな礼を受け取りつつも彼は彼で訓練に励んでいた、そんな彼は訓練中に聞こえてくる声が思わず耳を突いた。それは2年の優勝者として千冬に戦い、その結果の敗北した事に対する言葉だった。

 

「無謀な戦いを挑んだ男」

「イカロスのような者」

「千冬に相応しくない」

 

と好き勝手に言ってくる者が、態々カミツレの訓練に合わせるようにアリーナの観戦席に現れては小言を漏らしていた。聞こえるような声で言ってくるそれらは勿論彼の耳に入ってくる、共に訓練するセシリアや乱の耳にも当然入ってくる。それらを聴いて青筋を立てて、向かっていきそうになる事も多々あったが二人は逆に大声で言った。

 

「あらあらっカミツレさんと戦った事もない方々が何か仰っておりますわね、如何思います乱さん?」

「放っておきなさいよあんな戯言。評価されるべき所も見えないような目がない連中よ、眼鏡を掛けてないんだから」

「そうですわね、物事の本質も見抜けない方々の言葉など気にする方が愚かですわね」

 

そう言われた女子らは顔を真っ赤にして文句を言おうとするが、二人が全力の殺気を向けると逃げるように去って行った。結局は千冬という偉大な人物と婚約を結んだカミツレが気に入らない女尊男卑主義者なだけ、そんな連中はああしておくに限る。そんな二人に肝心の彼は溜息をしながら言う。

 

「二人とも、くだらない事なんかしてないで訓練の相手してくれよ」

「「はぁ~い♪」」

 

彼にとってはあんな連中は有象無象、相手にする価値すらないと思っている。千冬にも言われている事、自分と婚約した事で絶対に何かしら言ってくる連中がいる。それらは完全に無視してしまえば良い、連中は自分達の間にある絆など理解していないのだから相手にする価値などなし。正にその通りである。

 

『カミツレ、お母様に連絡して先程あなたを侮辱した相手を無に還しましょうか?私としてもお父様を侮辱されて正直イラついてます』

「落ち着けカチドキ、気にするだけ無駄だ。世界にああ言う手合いが何人いると思ってるんだよ」

殺一警百(シャーイージンパイ)という素晴らしい諺があります』

「おい馬鹿やめろ、束さんならやりかねないからマジで止めろ」

 

どちらかと言えば、この事で束がキレて自分に小言を言ってきた相手を処刑しないように務めるぐらいである。嫌味などを言われるのは確かに気に食わないが、その程度で言った相手が一々処刑されるのは気分が悪い処の話では無い。加えて恋人の一人はそれを実行できるだけの力を持っているから尚更性質が悪い。

 

「やぁやぁカッくん話を聞いたよ。早速そのクソ馬鹿下劣共の黒歴史を発掘したからネットで拡散する所だよ!」

「待て待て待て待てぇぇっ!!アンタ何やろうとしてんだ、おいカチドキ俺止めろって言ったよな!?」

『私はお母様に言ってませんよ?』

「うん、これはセシリアと乱ちゃんの相棒から、他多数からの要請だね」

「ええええっっっ!!?」

 

という一幕もあったりした。この時の事で、カミツレが本当に全てのコアから父親認定されており殆どのコア達がこの事でマジで怒っている事が判明してしまった。直ぐにカミツレは束とカチドキに協力に仰いで、コア・ネットワーク全体に自分は気にしていないから、頼むから止めてくれというメッセージをコアに向けて発信した。それに多くのコア達は納得したが、一部からは此処で強く言っておいた方が良いと主張する物もあったりもしたが何とか説得に成功した。

 

「ゼェゼェ……よ、漸く説得終わったぁ……。血、血の気多すぎないか……?」

「それも個性だからしょうがないね」

『お疲れ様ですお父様。全く私のように瀟洒な個性を持てばいいのに、全く同じお母様とお父様の子供として恥ずかしいです』

「お前の何処か瀟洒なんだよ、トムヤンクンで顔洗って来い」

『酷い』

 

自室内にてぐったりと倒れ込むかのように束の膝の上に横たわっているカミツレ、そんな彼の頭を優しく撫でている束。数時間の格闘の末、ISコア達の説得が終了したがそれによる疲労が想像以上に深かった。学園に来る前に親戚の子供の喧嘩の仲裁をやった事があるが、あれ以上に疲れる事だった。兎に角休みたいという思いながらも、自分の子供達になるISコア達が好意的な事が分かって何処か嬉しそうである。

 

「んで束さん、今日は何しに来たんですか?」

「うん。実は束さんは今、新型のISを開発中なんだけど。どんな対策をすべきなのかって色々考えたの」

「それで」

「まずは身体を保護する為の物、正直色々やってみたけどSEでも十分かもしれない。でも万が一の事が起きた場合も考えて全身装甲を採用する事にしたよ」

 

全身装甲。文字通りに全身を装甲で纏う事をさす。宇宙には有害な宇宙線で溢れていたりするなど宇宙は人間にとって絶望的と言ってもいい程の環境。それらに対して装甲で身体を守るというのは良い考えだとカミツレも素人ながら思う。

 

「そこで束さん思ったのです。SEと装甲の間、此処にも何か加えた方がいいんじゃないかとも思うんだよね」

「あ~……クッションの為のゼリー的な?」

「そうそう、でもそれはただのクッションじゃ駄目なんだ。何かを加えないと……色々実験したり、試したりはしてるんだけどねぇ……」

 

そう呟きながら溜息を付いた束、そんな彼女を見て珍しいと思わず思ってしまう。いつもらしくない束の姿に少々動揺してしまう。

 

「ねぇカッくん、試作機あるんだけど……今度データ持ってくるからさ、それ見て貰ってもいいかな?やっぱり第三者からの意見欲しいなぁ」

「分かりました、俺で良ければ」

「ありがと~♪」

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