IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第185話

「よおカミツレ、それでお前悪く言った女子共何処だ。心火を燃やして……ぶっ潰す!!」

「取り敢えず落ち着けクソ兄貴、みーたんとのボイスチャットチケットやるから」

「……お前は神か。そうか、お前のカミツレのカミの部分はゴッドの部分だったのか……」

「寝言ほざくならやらねぇぞ」

 

カミツレのストレスが爆発してから数日が経過した頃、IS学園に一人の男が訪れた。本来は部外者は立ちいる事すら出来ない世界的にも超重要地域であるがその男は入る事をあっさりと許可され、学園内へと入りとある部屋の中へと足を踏み入れたのであった。その人物とは杉山 一海、現在学園の2年生として通い続けているカミツレの兄。現在はイギリスへと移住して以前よりも格段に広くなった農地に闘志を燃やして、今まで以上に農場を拡大している「俺達の杉山ファーム」の若き主。

 

「へぇここがお前の部屋か、中々良い部屋じゃねえか」

「おいコラナチュラルに冷蔵庫覗くんじゃねえよ」

「硬い事いうなって。このスティック喰い頃だろ、食っていいか?」

「聞くならまず返事が帰ってくるまで待てよ……なんでもう喰ってんだよ」

 

まあいいか、と一緒に野菜スティックを食べ始めるカミツレ。久しく顔を合わせる兄は自分の中にある兄のままで何も変わっていなかった。自分の都合でイギリスへと移住をさせてしまった事で不安などもあったが何も心配する事などなかったようである。

 

「そっちの様子は如何、なんか不都合とあった?」

「いや別に。言葉とかもISとかの影響で日本語が英語に次ぐ公用語みたいな事になってるからな、話せなくて困ったみたいな事になった事はない」

 

その辺りは束のせいかもしれない、ISが世間的に認められたというよりもその力の大きさを目の当たりにして掌を返した辺りで日本語では良く分からないと言われたが、それなら自分で翻訳するか日本語学べと返したとの事。だからこそISが世界の様々な面の中心にある今の世の中では日本語を話せる人は非常に多い。

 

「それにリチャードの旦那とか便宜を図ってくれるしな、窮屈な事とかは一切してねぇな」

「ふ~ん……」

「寧ろ、今うちにはお前の関連グッズの売り上げの一部が入ってきてそれを如何しようかって話で持ちきりだぞ」

「……マジかよ」

 

カミツレの経済効果はハッキリ言ってイギリスの財政事情を一気に潤していると言っても過言ではないレベル。ぬいぐるみにTシャツ、アクセサリーにスマホケースに電子マネーケース、眼鏡や彼が愛用している財布のニューモデルなどなど……それらの売り上げの一部は杉山家に入るようになっているのだが、一部だとしても膨大な金額である為に如何したら良いのだ?と困っている状況が続いてしまっている。唯でさえ、杉山ファームには新たな契約の申し出やIS学園への野菜の納品などで十分な収入なのに……。

 

「取り敢えずお前のグッズ関連の奴は手を付けてないからな、卒業後の結婚費用とか旅行費辺りにでも当ててくれ」

「ああうん、考えとく」

「いっその事、酪農とかにも手出してみるか……ファームで取れた野菜を餌にして育てるとか」

「なんか、ブランド化しそうで嫌だな。今の現状を鑑みると」

「確かにな」

 

それはそれで面白そうではあるが……自分が置かれている現状を考えるそれもそれでまた凄い事になりそうな気がしてならなくなってくる。

 

「にしても……まさかお前に嫁出来るとはな……しかも5人も。全員とんでもない人だし……あーあ俺にも素敵な出会いが欲しいぜ」

「そう思うんだったらみーたんのケツばっかり追ってないで、少しは真面目に合コンとか出ればいいだろ。兄貴見た目はかなり良いんだから引く手数多だろ」

「そうでもねぇんだよ、農家の主ってだけで引く女ばっかりなんだぞ」

 

かずみんは何処かカミツレの事をうらやましく思うかのように溜息を付いた、みーたん命と公言などしているがそれでも結婚願望などは一応あるかずみん。一応ある程度は合コンなどはしていたらしいが農家という点で失敗する事が多く如何にも間々ならないらしい。彼としても農家だから嫌という女とは結婚したくはないらしく此方からお断りとの事だが……。

 

「っというか俺、一応結婚願望あった事に少し驚いてる。あんなにみーたん命って言ってるのに」

「何言ってんだお前、みーたんはこの世界の神に等しいんだぞ!神に対して愛情を抱くとか不埒にも程があるだろ!!」

「お前は何処のウルトラ求道僧だ」

 

兄の良く分からない判断基準に呆れつつも、取り敢えず結婚願望があるという事は分かった。みーたん至上主義的な兄が結婚したいと思っていたというのは驚きだが……。そんな兄が最後の野菜スティックを食べ終わるのと同時に何処かニコヤかに笑った。

 

「でもまあ安心した」

「何がだよ」

「女だらけの学園に入れられるって聞いた時、俺は自分の無力さに吐き気がした。お前が如何してこんな苦労をするのかってな。だけどさ、お前は元気そうな上に一緒に歩いていける相手を見つけた」

 

そう言いながら一気に麦茶を呷ると真っ直ぐに此方を見つめてくる。

 

「これからもキバって行けよ、カミツレ」

「―――分かってるよクソ兄貴」

「ったく可愛げねえ弟だぜ。よし、今日はそんな弟の為に俺が御馳走作ってやるぜ」

「マジで!?おっしゃ久しぶりの兄貴のメシだ!」

 

『ストレスの解消、それは愛する家族との会話。成功したようで安心しました』




千冬「お兄さん、弟さんを私にください!!」

かずみん「うんいいよ」

カミツレ「幾らなんでも軽すぎない?」

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