IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第217話 特別編:その10

「ただいま」

「お帰り」

「それでカッ君如何だった、「雪羅」の使い心地は?」

「ぶっちゃけ扱いづらいです。兎に角どれもこれも出力が馬鹿高いですからシールド、クロー、荷電粒子砲を一回ずつ使っただけでも凄い量のSEを持っていかれますね。俺が展開したのは一部仕様変えてますけど、荷電粒子砲が一番やばい。一発撃っただけでEパックが一つ空になったわ」

「おい、どこの可能性の獣の銃だよそれ」

「やったんですよぉ、必死に!!」

「おいやめろ、声が似てるからって弄るな」

 

試合を終えて帰ってきたカミツレを迎える一夏たち、束から「雪羅」の使い心地の感想を聞くがカミツレは使いづらいと答えて更に細かく答えていく。そして同時に今回カチドキが仕様を変更した物のデータを送りながらも「白式」のような高機動近接型とは相性が悪いという。

 

「これを「白式」で使うならせめて連射系にしないと駄目だ、一々足を止めて撃つロマン砲は相性が悪すぎる。実弾の散弾とかサブマシンガンみたいな奴が一番だっただろうな」

「マジで参考にしよ、ああにだけは俺進化したくないわ」

 

などと言っている間に織斑が戻ってきて激しく此方を睨み付けてくる、そんな視線に千冬は溜息をつきながらカミツレが何か言うのを静止すると織斑に向けて鋭い視線を向けながら言った。

 

「おい貴様、先程の言葉は何だ。自らの実力が足りずに敗北したのを相手を卑怯と言って正当化するつもりか。それがどれだけで無様で情けなく愚かな事なのかも理解していないようだな」

「……だってあんなの卑怯じゃねぇかよ、相手の武器を盗むなんて!!」

「盗むだと?何を言っているんだお前は、相手の武器を展開しているだけだ。それのどこが盗んでいると言うのだ」

「だとしても卑怯なのは変わりないじゃねぇか!!あんなの、誰にだって勝てるに決まってる!!」

「そうですよ千冬さん、あんなのまともな戦いになりません!!」

 

と擁護する箒、それに続くかのように鈴も続く。それを見て更に溜息をついた千冬は視線を未だに呆然としているセシリアを抜かしてシャルとラウラに向けた、ラウラは教官時代に似ているような鋭い目つきについつい姿勢を整えて立ちなおした。

 

「では聞こう。ボーデヴィッヒにデュノア、貴様はカミツレの「極ドライブ」は誰にでも勝てるような魔法の能力だと思うのか」

「いえ思いません」

「僕も同感です」

 

とラウラとシャルは箒と鈴とは全く反対の言葉を持って答えた、それに何故だと二人が騒ぎかけるがヨランドが黙らないと頭に鉛玉を打ち込むと言って黙らせる。黙るのを見てから千冬が理由を述べろと言うと二人は口を開く。

 

「相手の武器を展開可能にする、だとすればそれは勝てるのではなく勝つ為に取れる選択が増える物だと私は思います」

「ほう」

「あくまでの戦術の幅が広げる事と対応能力を劇的に伸ばすだけの能力、それでもしも勝てたとしてもそれは使ってる人が強いだけだと思います」

「その通りだ、あれだけで勝てる程世の中は甘くない」

 

そんな言葉を受けて織斑たちは信じられないと言った風な視線を向けるが、続けて「極ドライブ」の弱点を言った。使えば強いという訳ではなくどのようにして使えば良いのか、それが完全に使用者に依存してしまっている。使用者であるカミツレの能力が低ければ、豊富な武器を持っているのに使いこなせない宝の持ち腐れが起きる。逆に使用者の基礎能力や対応力が高ければ高いほどにより凄まじい威力を発揮する。その辺りは「零落白夜」と全く変わらない。

 

「それに加えて言うのであれば、貴方はツェレに凄まじい手加減をされているのに負けた。それなのにぐだぐだ言葉を連ね続ける愚か者ですわよ」

「お、俺が愚か者だって!!?それに手加減されてるだって!!?」

「当然でしょう。BT兵器にライフル、他にも武装があるのに敢て貴方のフィールドで戦っていたのですよツェレは。それにすら気づかなかったのですか」

 

呆れたように溜息を吐くヨランドの言葉を受けて織斑は歯軋りをさせながらカミツレを見た、手加減されるほどに弱い上に自分の武器を自分より上手く使われて負けたと言う事になる。その上で後から勝負に文句を付けて来る愚か者、様々な葛藤が沸き上がってくる中で管制室から降りてきた千冬が織斑の前に立つ。

 

「千冬姉負けてごめっ―――ッ!!?」

「「ち、千冬さん何を!!?」」

 

向こう側の千冬は黙って織斑の前に立つとそのまま織斑の顔を平手打ちした。織斑は何故自分が叩かれたのか理解出来ないのか目を白黒させながら赤くなった頬を押さえながら千冬を見上げる事しか出来ていない。

 

「なんて情けない……見損なったぞ、一夏」

「ちふゆ、姉……?」

「先程の試合、明らかにお前の実力が劣っているのは明白だ。例え向こう側が単一仕様能力を使わなかったとしてもお前の敗北は当然、手加減されている事も気づかずに自分の敗北を認めずに相手を罵倒するなど愚か過ぎて言葉も出てこん。如何考えても向こうがお前よりも何枚も上手だっただけだ」

 

淡々と告げられていく事実に加えて如何に自分が醜い事を言っていたのかをいう千冬、そんな姉の言葉を受け続ける織斑だがそんな言葉よりも見た事のないほどに影が掛かった失望したような表情が彼にとっては辛かった。そんなもう一人の自分に千冬が声を掛ける。

 

「それは間違いないだろう、確実にな。だがこいつらの実力や精神面はどうなっている。どんな指導をしてきたんだ」

「……私が様々な意味で至らなかった、という事だ……」

「それだけとも思えませんけどね―――此方では自分の事を客観的に評価すると言う事を教えないのですか?」

「返す、言葉もない……」

 

力の無い言葉で返事をする姉、見た事もない光景に織斑は混乱してしまった。千冬は溜息を吐きながらももう一人の自分の肩を叩きながら言う。

 

「私は指導者としては二流も良いところだろう、だがそれでも教師として生徒を導く義務があると思っている。お前はそれを思った事があるか、自分が教え子の将来を形作ると考えた事が」

「……ない、かもしれんな」

「なら次からは考えて行動する事だな」

 

そんな言葉を受け取った千冬は顔を上げながら力なく笑って言う。

 

「立派な教師、何だなそっちの私は……」

「これでも2年の学年主任だからな。それに私を変えてくれたはカミツレだ、あいつがいなければ今の私はいないさ」

「……いい男を見つけたんだな」

「お前も恋をしてみろ、人生が変わるぞ」

「そうだな……それも悪くないかもな」

 

そんなやり取りをしていると束がもう一人の束に映像データを受け渡しを終えて、自分と話していると何やら腕時計を見ながら声を出した。

 

「ねぇねぇ皆、元の世界に戻るにはもうちょっと時間掛かるよ」

「あれそうなんですか?時間としてはどのぐらい?」

「そだな~2時間ぐらいかな」

「んじゃこんな夢みたいな時間は2時間しかないのか……」

「なら2時間で楽しもうではないか、束さん」

「そうですな束さん」

「「イエーイ!!」」

 

何処かの一夏と織斑とは異なる光景に何処か違和感を覚えそうになったが束さんだからこそだろう。根本的な物が同じなのだから此処まで仲が良いのだろう。それを聞いた千冬はこんな事を切り出した。

 

「おいヨランド、折角だこいつらに世界の壁の大きさと言う物を見せ付けてやれ」

「えぇっでも私は訓練を付ける気は無いと……」

「言い方を変えよう、愛する旦那を馬鹿にする愚か者どもを締めろ」

「喜んで!!ツェレ、見ていてくださいあれらに私があれらに、ツェレに寄せる愛によって鉄槌を下しますわ!!!」

「それは嬉しいですね、有難うございますヨランドさん」

「ではその前に―――」

 

と言うとヨランドはカミツレにキスをして元気をチャージする、それを見た少女たちは顔を真っ赤にするのであった。唯一素面だったのはラウラ位だった。

 

「さあ行きますわよ、私の力で薙ぎ払ってくれますわ!!」

「ホント愛されてるなカミツレ」

「お前だって愛されてるだろ」

「うんまあ、俺帰ったら膝枕してくれるようにお願いするわ……」

「喜々としてやるだろうな、それで食われないように気を付けろよ」

「いや俺もうそのまま食われてもいいわ……つうか俺が食うわ」

「……重症だな」

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