「カミツレさん、実は先程叔父様から王室御用達のティーセットが……あらっいらっしゃいませんわ?今日一日はお部屋にいると仰っていた筈なのですが……あらっこの機械は確か束さんが言っていた……起動してますわね?」
『甘い甘い、軌道予測と移動そして偏差攻撃、相手の行動タイミングの予測、攻撃のタイミング変更そして実行。それら全てを同時に行うのが基本中の基本!!』
『いやそれ明らかに基本じゃないですよね!!?僕流石に全部纏めて一括して出来ないんだけどぉ!!?』
『問答無用!!!向こうの貴方達は全員これが出来ていますわ!!!』
『どんだけ向こうの私達は可笑しいのだ!?』
『如何して、わたくしはこんな事に巻き込まれているのですかぁぁぁぁっっ!!?』
『アハハハハハッさあ私の愛しいツェレを侮辱した罪を、その身で味わうのですわ!!』
モニターにて映し出されているヨランド対全員の試合、というよりも明らかな一方的な蹂躙。セシリアが立ち直った直後に確保されて納得しておらず未だ反抗心やらがむき出しになっている篠ノ之らと共にアリーナへと放り込まれて行った。そして始まった蹂躙、相手の目論見などを全て無に還しながらも一方的な戦いを展開し続けているヨランドに彼らはとんでもない恐怖を感じていることだろう、何故なら篠ノ之の専用機である「紅椿」の単一仕様能力「絢爛舞踏」はISのSEを回復させるという物なのだが……それらで全員のSEを回復させたとしてもすぐさま攻撃が飛んできて一気に削られていくのだから。
「えっぐいなぁ……あれが向こう側のフランスの代表……というかあんだけ凄いのにそっちのち~ちゃん勝ったの?」
「まあな。あの時は真正面から突っ込んであいつの全ての攻撃をブレードでぶった斬りながら肉薄したな」
「……。えっ何、つまりあの馬鹿みたいな弾幕を斬り進んだわけ?」
「これがマジだから困るよね、後でその試合のデータ回してあげるから見てみなよ」
「ある意味凄い気になるよ」
と此方側の束はヨランドの想像以上の腕前に愕然として目を丸くしていた。千冬が認めているんだからきっとかなり強いだろうなぁ程度の認識だった、しかしそれでも試合は見る気はなかったがカミツレの師匠と言う事もあって思わず目を向けたとき、釘付けになってしまった。まるで千冬の剣の才能をそのまま射撃方面に移したかのようなとんでもない腕前に言葉も出ない。向こう側の世界はどれだけの手錬れがいるのだろうか……。
「それとまあカ~君が強いのも納得だよ、あんだけ強い人の弟子ならそりゃ強くなるよね」
「まあうん。ヨランドさんには色々教わってますけどまだまだ俺は弱いですよ、まだ師匠に勝てた事なんてないし」
そんなカミツレの言葉が聞こえてきた時、モニターではヨランドに遂に肉薄して接近戦に持ち込んだ光景が写っていた。それは―――「白式」を纏った一夏であった。何故彼らのみと戦うはずだったのに一夏がいるのかと言うと……
『―――あっそうだヨランドさん、実はですね一夏がある事言ってたんですよ。義理の姉さんにもなるヨランドさんが俺にずっとやってきた並の扱きを受けてみたいって言ってたんですよ』
『はぁっ!?おい待てカミツレお前ッ!!?』
『あれにやるのに混ぜる形でいいのでお願い出来ませんか、大切な
『まぁツェレ、なんて家族想いなんでしょう……!!私感動しましたわ、このヨランド・ルブランにお任せください!!さぁ一夏君行きますわよ、このヨランドお義姉様が貴方にお義兄様の強さの秘訣を教え込んで差し上げますわッ!!』
『あぁっ待って!!?いいですから俺はもう師匠いますからぁ!!』
『遠慮などしなくていいのです、さあさあ行きますわよ!!うふ、うふふふふっ一夏君も混ざるのでしたら楽しい時間になりますわね!!基礎中の基礎だけぐらいなら向こうにもサービスしても良いかも知れませんわ!』
『お願いですからやめてぇぇぇぇえええ、イイイヤァァアアアアア!!!!!』
『それは日本人特有の照れ隠しなのでそのままお願いしますね~、一夏君頑張って強くなるんだぞぉ~(満面の笑み)』
『カミツレてんめぇえええええええええええ覚えてろぉぉぉおおお!!!!!!!!』
『そうその意気ですわ!!そうで無ければ強くなれませんわ!!』
と言う事があり、一夏は向こう側の蹂躙に巻き込まれる形で参加する事になってしまった。それに巻き込まれながらも必死に頭と身体を全力で動かしてヨランドの攻撃予想に軌道予測、次どんな風に攻撃を仕掛けて来るかまで全てを計算しながら懐に飛び込み、飛来してくる弾丸を切り落としながら進んだ結果ヨランドに肉薄する事に成功した。
『あぁぁぁっっ!!!』
『なんて重さ、これが貴方が体得した剛の剣ですわね……千冬が現役時代に追い求めた剣……!!』
『千冬姉が追い求めたとかは関係ないです、これが俺のだけの一撃必殺最強無敵、天上天下唯一無二を目指す俺の剛剣だぁぁぁぁあああああっっッ!!!!!!!』
その勢いと共に振り抜かれた剣はヨランドの二振りの剣を根元から刃全てを粉砕し、ヨランドごと吹き飛ばすという事をやって退けた。織斑と篠ノ之達は目の前の光景に絶句した。あのとんでもない弾幕に飛び込んでそれを突破した上に近接戦闘でも圧倒するかのような強さを見せ付けたヨランドの剣を破壊するという事を行った一夏の強さに。が、一夏が次なる追撃をしようとしたとき、思わず顔を青くした。目の前に新たに多連装バズーカというとんでもない物を両肩に担いだヨランドが笑顔でこちらを見ていたのだから。
『とっても素晴らしかったですわ、では此処からは私の本気の一端を見せて差し上げますわね♪』
『え、遠慮したいんですけど……』
『遠慮なんてしなくていいのです、敗北を知って更なる糧としてくださいね♪』
「うわぁっ……」
そこからは本当に目を覆いたくなるような光景が広がり続けていた。連発されていくバズーカ、それらが弾切れを起こすとスナイパーライフルを二丁構えながらそれらで精密偏差射撃で相手を撃ち落していき、最終的にはカミツレとの戦いで行った四丁撃ちというとんでもない技術を見せ付けて一夏を含めた全員を撃墜してしまったのだから……。そして戻ってきたヨランドは酷く艶々した笑顔を浮かべていた。
「はぁぁっ……一夏君がまさかあそこまでやれるなんて、本当にこれからが楽しみですわっ♪」
「そうか、お前にそう言わせるとは一夏も成長した物だ……」
と感慨深くなったのか少々涙目になった千冬、彼女へとハンカチを渡すカミツレが同時に一夏も戻ってきてカミツレに飛び掛るかのように飛び蹴りを繰り出すがあっさりと回避されて一夏は床に膝を強打して悶絶する。
「あっ膝割芸人」
「うるせぇぇええ!!!っつうかカミツレてめぇ良くも、良くもぉぉ!!!」
「良かったな一夏君、俺の強さの一端を体験出来て♪」
「悪魔!鬼!人でなし!!ヒロイン!!サディストォォオ!!」
「おいなんか可笑しいのが混ざってたぞ!!」
そんな風にコントじみた事で遊んでいると突如として、束の通信機がなった。起動してみるとそこにはセシリアが映りこんでいた。
『あっ映りましたわ、あの束さん。カミツレさんの部屋においてあった機械が動いているようなのですが……通信ログのような物が表示されていたのでやってみたら、通じましたわ』
「おりょりょ、セッちゃん。実は色々あってねぇ……そうだセッちゃん―――君も来ないこっちに」
『此方、とは?』
多分きっともう直ぐ最初の特別編も終わる、と思う……。