IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第223話 特別編2:その4

総合基礎能力訓練 仮想敵:セシリアのメニューを完遂したカミツレ。途中カチドキの独断で難易度の変動やノルマのリセットなどで想像以上に辛くなったりもしたがそれをなんとか達成する事に成功したカミツレ。本来はセシリアはフレキシブルをフル活用して、「ヴァンガード」に比べて数で劣る「ティアーズ」のレーザーを途中で分裂させ、結果的に発射数を増やす戦術などを取ってくるので完璧な仮想訓練とはならない。流石にフレキシブルはカチドキだけでは再現しきれないらしく、カミツレの今後の成長によれば可能になるかも知れないとの事。

 

「おいカチドキ、てめぇマジで覚えてろよ」

『やれやれちょっとした茶目っ気という奴なのに冗談が通じないお父様ですね』

「父親を騙らかす子供には罰が必要だからなぁ……?」

『親子喧嘩、と言う奴ですか。望むところです全力で立ち向かいますよ』

「部屋に戻ったらお前用に保存してたライダー系のデータ全部削除してやる」

『それだけはどうかご勘弁をっ……!!!』

 

相手はISコアだというのにいとも容易く優位性を取るカミツレ、この辺りはかずみんとのやり取りで培ったのだろうか。相手と立ち向かうならば相手の弱点を握っておくに限ると言う点を完璧に学習している模様、まあ弱点を握ったとしても真正面から立ち向かってくるような相手だとどうしようもなくなる訳なんだが……。主に千冬とかがそれに該当する。

 

「ったく……お前な、俺がオーバーワークで真耶先生に怒られた事忘れたのかよ」

『ああそういえばんな事ありましたね、では今回怒られるのも私ではなくカミツレですね』

「んな訳ねぇだろドアホ。明らかにお前だ」

『なん……だと……!?』

「なんで本気で驚いてんだよ」

 

ピット内で身体を休めながらも適当な雑談を繰り広げるカミツレとカチドキ、相棒曰く出来ると思ったからやった、反省も後悔もしていないらしいがそのせいで本当に自分は苦しかった。主に酷く疲れた、主に頭が。軌道計算に偏差射撃に最小限での回避から次の回避などなど……頭を回転させなければ一瞬で落ちるような訓練だった。カチドキからしたら分からないだろうが、カミツレは並列思考はまだまだレベルが低いので今回のは特にきつい。右手と左手で別々の文章を書きながら、出された計算式を頭の中で解きながらダンスを踊れと言われているような物である。

 

『例えがシュールすぎて想像して噴き掛けました』

「……消すぞ」

『正直にすまんでした』

 

一瞬本気で来た苛立ちに溜息を吐きつつ、カミツレは今回の訓練での反省点を上げながら真耶を待っていた。最後に毎回真耶からの総評を聞いて終わりにする事にあっている、自分の良い所悪い所を上げてそれらを次回反映出来るように努力して実力向上を図る……のだが今回は管制室から真耶が降りてくるのが妙に遅い気がする。今回カチドキのせいで大幅に訓練の内容が変わったせいだろうか。

 

「カチドキ、お前これで真耶先生に迷惑掛けてたらマジでデータ消すからな」

『ほぼ抹消確定じゃないですか嫌だぁぁあ!!?私の秘蔵ライダーファイルがぁぁぁぁっっ!!!!ドライブアーマーのIS反映3Dモデルと設計図がぁぁぁ!!!』

「……ホント、お前人間より人間らしいわ」

「お、お待たせしました……」

 

と降りてきた真耶は酷く疲れているようにも見える、随分と顔が赤くなっているが体調でも悪いのだろうかと首を傾げるカミツレ。

 

「そ、それでは今回の総評ですけどえっと……取り敢えず本来予定してた物と明らかに逸脱してましたね……。カチドキさん、あれは確実なオーバーワークです。カッカミツレ君の成長に悪影響ですよ?」

『ううぅぅっ……でもしかし、お父様は自分に対して評価が低すぎるのが行けないんですよ!!それを改めて自分がどのぐらい出来るのか再認識させる為にはこんな感じにしないといけないんです!!!』

「だからってあれはやりすぎです、今のカミツレ君っを見てください。明らかに疲弊しすぎてます、これじゃあ明日以降にも疲れがかなり残っちゃいます。適度な疲れは身体にいい影響を与えますが大きな疲れはデメリットしか与えません。反省してくださいね?今回のデータを纏めるのも結構大変だったんですから」

「という事は迷惑掛けたんですね、よし削除決定」

『あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"私のドライブアーマー化計画の夢がぁぁぁああああああああああ!!!!!!』

「ざまぁwwwざまぁwww」

 

と慟哭するような嘆きの声を発し続けているカチドキ、そんな相棒に笑いを送るカミツレ。本当にいいコンビなようで良く喧嘩する二人だと改めて思う真耶であった。でも笑うカミツレを見ているとどうにもドキドキしてきてしまう。何気ない彼の動作が気になってしょうがなくなってしまう、如何して自分がこんな気持ちにならなければいけないのだろうか……これも全部ナターシャのせいだ。

 

「真耶先生、真耶先生?」

「ふええっ!!?い、一体なんですかカミチュレ君!?」

「なんか噛んでますけど……まあいいですけど、実家から新鮮な野菜来たんで今日は豪勢に作ろうと思ってるんですけど如何ですご一緒に?」

「ゆ、夕御飯を一緒に!?」

 

普段ならば此処で自分は喜んで随伴する事だろう、今までだってカミツレに誘われて一緒にご飯食べた事もあったし一緒に料理を作ったりした事も何度もあった。今更何も遠慮する事もない、だが今の真耶にとっては気づいてしまった事がそれらを全く別の事に変換させていく。

 

 

『ただいま帰りました~……疲れました……』

『お帰り真耶さん、ご飯出来てますけどまずはお風呂にしますか?』

『そこは流れ的にそれとも……わ・た・し?とか言ってくれないんですか?ちょっと期待してたんですけど……』

『どっちも後でご存分にお相手しますよ、それに俺が言っても需要ないでしょ』

『大丈夫です私には需要ありまくりですから、そして―――それじゃあまずは貴方のキスでいただいちゃいますね♪』

『んもう、せっかちさんで欲張りさんなんですから真耶さんは♪』

 

 

「ま、真耶さん?真耶さん、お~い聞こえてますかぁ!?」

「ふ、ふ、ふへええええええええええっっっ!!!!!!」

「あちょっと真耶さん如何したんですかってはやっ!!?ちょっと何処に行くんですかぁ!?おいちょっと!!?」

 

脳内でスパーク寸前の事を思わず、最近新連載されて好きになった乙女漫画に重ねて想像してしまった。そして目の前のカミツレが心配そうに覗き込んできたので真耶は頭の中が真っ白になり、そのまま千冬顔負けの素早さで走り去ってしまった。カミツレからしたら、今まで通りに師匠を夕飯に招待したらいきなりフリーズした上に、顔を真っ赤にしていきなりとんでもない速度で走り去って行ったという意味の分からない事になっている。

 

『ラブコメの波動を感じます』

「何言ってんだお前」

『やれやれ、これだからお父様は……恋愛クソ雑魚IS操縦者なんですかねぇ、婚約者があんなにいて世間的にはマジでリア充な爆撃対象なのに』

「……どういう意味だおい、そして今ので完全にキレたぞ。許してやろうかと思ったけどデータ修復不可能にした上で完全に抹消してやる。もう取り消さない」

『しまったぁぁぁあああああ!!!??お父様お許しを、お許しをぉぉぉおおおお!!!!???』

「やだ」

『あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!』

 

 

「あああああっっ……私って師匠失格ですぅ……あろう事かカミツレ君と、ふふふふふっ……って笑いを隠せてないっ!?いやぁぁぁぁ私ってば不潔ですぅぅぅぅうううう!!!!??」




真耶さん、あんたのそれで不潔だったら千冬さんとかどうなるんだよ。あの人婚約する前から結構あれだったぞ。

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