IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第227話 特別編3:その3

「成程……そういう訳なのか、まあ了解した。許可の方は私が何とか出来るだろうが……流石に一海さんの方は難しいだろうなぁ……」

「だと思ってましたよ、にしてもすいません千冬さん。このクソ兄貴が母さんと出掛ける前に詳しい事を聞いていればこんな事には……」

「おい俺のせいかよ、母さんにだって一応の原因あるだろ」

 

応接室にて千冬に事情を話して愛理の滞在許可と自分の三者面談を翌日に繰り上げる要請を受理して貰ったカミツレは頭を下げながらかずみんに全ての責任があるから攻めるならこっちを攻めてくれと責任を擦り付けるように言う。まあ実際愛理を連れてきたのは、何の確認もしなかったかずみんなので否定できない事実なのだが。

 

「何言ってんだよ母さんはぶっちゃけそこまで思慮深くなくて好奇心と興味を優先するんだから俺達がストッパーになるって言うのは家族の中だと常識だろうが!それを無視して、何の処置もしないで連れてきたクソ兄貴が悪いに決まってるだろうが!!」

 

とカミツレは能天気な兄に対して強い怒りを浮かべる、一体何年母と家族をやっているつもりなんだ。自分よりも母と過ごした時間は長い筈なのに自分の方が母の事を良く理解しているというのはどういう事だ。そんなカミツレを抑えるように千冬も何とか、声を掛けるが……彼の興奮は収まらない。

 

「ま、まあまあカミツレ落ち着け……」

「落ち着いていられますか!!?千冬さんはまだ知らないでしょうけど、母さんの天真爛漫さと好奇心の豊富と旺盛さは凄いんですよ!!?初めて行く馬鹿でかいスーパーでも、目を輝かせて好き勝手に動くしあっという間に見失うんですよ!!?探し回るけどその間も凄い動き回るから見つからないわ、携帯に掛けても気づかない……最後の手段で迷子センターに行ってアナウンスで母さんを呼び出すようにお願いする俺の気持ち分かりますか!!?」

「そ、それは……」

 

千冬は口角を痙攣させるかのようにピクピクとさせながら何も言えなかった。小さな子供や兄弟を連れている家族はそのような苦労をすると言うが、一夏は自分の事を思ってくれていた為かかなり大人しかったし自分を抑制していた。故に迷子になったりはしなかったし、寧ろ何時の間にか地図を覚えて買う物はこっちだと案内するほどだった。

 

「スーパーの職員さんに生暖かい視線を向けられながら待っていると、全然反省の色も見えない母さんが満面の笑みでこっちに向かってくる……そのダメージがどんだけ凄いことか……!!!」

「そ、それは、えっとなんといったらいいのか……」

「今回だってね、部屋にいてくれって言ったけどちゃんと聞いてくれてるのか凄い不安なんですよっ……!!!一夏の奴が確りとストッパーになってくれる、いや無理に決まってる、あいつがストッパーになって絶対に無理だ……!!!しかもIS学園なんてとんでもない所で勝手に動かれるなんて考えただけでもう色々と痛くなってくる……!!!こうしちゃいられねぇ、一刻も早く部屋に戻らないと……!!!」

「お、おいカミツレ落ち着け。顔色がすげぇことになってる……!!」

「い、いいい、一体誰のせいだと思ってんだこの、クソ兄貴ぃぃぃぃぃっっ!!!!!」

 

と叫びながらかずみんの胸元へと掴み掛りながら力いっぱいに揺らしに掛かる、かずみんは慣れているのか悪かった悪かった!!と謝罪しているが、千冬は見た事もない荒れ方をするカミツレに驚いていた。

 

「兄貴が、兄貴が確りしていればなぁぁぁぁっっ!!!俺がこんな思いもしなかったし、千冬さんに態々苦労を強いるような事をお願いせずに済んだんだよぉぉおおおおお!!!!!」

「分かった分かった本当に俺が悪かった!!」

「そんな簡単な言葉で済ませられると思ってっ……!!!―――はぅっ!?」

 

と、その時であった。突然カミツレはかずみんから手を放して甲高い声を上げながら倒れこむかのように崩れ落ちて行き腹部を押さえながら凄い形相で何かに耐えるかのようにしている。

 

「お、おいカミツレ如何した!?確りしろ!!?」

「あ~もしかして、カミツレお前やったか?」

「ぁ、ぁぁぁぁっ……」

 

口をぱくつかせて言葉にもならない音をさせているカミツレの様子にかずみんは何かを察したのか同情の目線を送る。千冬はカミツレを抱き起こしながら必死に耳を澄ませながら彼の口へと耳を近づけて何を言おうとしているのかを聞きとろうとする。そして漸く聞き取れた言葉は―――

 

―――胃が、死ぬっ……!!!

 

という言葉だった。つまり突然倒れた原因は……これから母のフォローに回る事で起きるであろう苦労、それによって起きたストレスによる急性胃潰瘍であった。この後、束からナノマシンから送られてくるデータがいきなり凄い数値になっているので連絡が来たので事情を話したところ、今現在カミツレの身体の内部ではナノマシンによる胃潰瘍の治療が行われている模様。結構深い物だったので、治療による痛みが起きてしまっているらしい。

 

『いやぁにそれにしてもさ、胃潰瘍でまさかナノマシンの体内治療機能を初披露するとは思わなかったよ……』

「なんだか一夏の事が不安になって来たぞ私……」

「カミツレ大丈夫か~?兄ちゃんが腹擦ってやろうか?」

「逆にてめぇの腹に飛び膝蹴りぶち込んでやろうかクソ兄貴ぃぃぃっ……!!!はうぅぅぅ……!!!!」

『あっ悪化した』

 

このような事は過去に何度もあったらしいが、最近はなかったとの事。そしてカミツレがストレスで倒れているそんな時、一夏と愛理は何をしているのかというと……。

 

「そうなのよ、そのときにカミツレってばね。本当に顔を赤くして私の事を心配してくれてね、家族の愛を感じたわぁあん♪」

「いいなぁなんか羨ましいですよ、家族で愛し合ってるなぁっていうのを感じますしね」

「いやぁんもう、貴方もこれからその一員なのよ♪そうだ一夏君、このIS学園をちょっと見て回りたいんだけど案内をお願いしてもいいかしら?」

「あははっそうでしたね、ええ勿論良いですよ。俺なんかでいいなら喜んで、愛理さん、じゃなくてお母さんのお相手をさせていただきますよ」

「あぁんもうお母さんって響きって最高よね!!後はその敬語が無ければもう堪らないわっ!!」

 

とカミツレが危惧していた事が現実になろうとしていた。一夏はお茶と共に会話が弾んですっかり愛理と打ち解けてしまい完全に気が緩んでしまっていた、これも愛理の特徴の一つで話している相手とあっという間に仲良くなってしまう。

 

「それじゃあ行きましょうか、愛理お母さん」

「お願いするわね♪」

 

この後、千冬が部屋を念のために見に行って欲しいとカミツレにお願いされて見に行った時、一夏共々居ない事を言いにくそうに言った所、カミツレは胃潰瘍が更に悪化した上に白目を向いてしまった。




因みに、迷子のくだりは一回うちの母さんがなった実話です。
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