IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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特別編その4!!


第230話 特別編4:その1

「ンクハァッ~……」

 

久しぶりに良い夢を見たような気がする、先日まで母がいたからか身体に有った疲れがすっかり取れているのが良く分かる。ベットから降りると同時に身体が伸びる、すると普段は身体からなる骨の音がしないのに如何にも少々身体に重さを感じる。疲れなどは無い筈なのに奇妙な感覚を感じる。別段気になるような物ではないので余り気にしなかった。そのまま窓に掛かっているカーテンを開けると清々しいまでに晴れている、まるで今の自分の気分を示しているかのようだ。

 

「(まずは目覚めのコーヒーだな……いや、緑茶にしよっと……)」

 

先日母が訪れた時に、ファームの一部で挑戦してみたという緑茶を置いて行ってくれた。それを試してみるのも悪くないと思いながらポットに水を入れて電源を入れる。その間に顔でも洗ってこようと洗面所に向かう、蛇口を捻って少し温めの水を出して顔にぶつけながら渇を入れる。今日は休日とはいえ確りと訓練はしなければならない……その為に何時までも寝惚けているままではいけないと思っていた時、違和感を覚えた。

 

―――自分の肌は焼けていただろうか?

そう思える程度には自分の肌が褐色になっていた。記憶が正しければ肌は焼けていなかった、というのも肌を焼くという事が良く分からずにその辺りは全部していなかった記憶がある。確かに健康的な感じはする程度には思っている。まだ自分が寝惚けているのだろうか、と思いつつ顔を冷水を浴びせる。

 

「冷たいっ―――えっ?」

 

顔に掛かった水、先程まで温かい水だったのが影響してか余計に冷たく感じて声を上げてしまったがその声にすら違和感を覚えた。自分の声にしては妙に高い……というか豪く女性的な印象を受ける。カラオケとかで出す裏声とも違った高さと何処か愛らしさを秘めている声により一層訳が分からなくなってくる。嫌な汗が流れてくるのを抑えながら必死に息を整えながら、目の前にある鏡へと視線を向ける……。そこにあったのは……

 

―――健康的で水を弾きそうなほどに潤っている綺麗な褐色の肌、艶やかで触る度に心地よい感触と共に指の間をすり抜けて行く青にも緑にも見える美しい色合いをしている碧色の髪。深い海の色をそのまま切り取って貼り付けたかのように澄みながら鮮やかな蒼色の瞳、セシリアに負けず劣らずなスタイルをした美少女の姿が男物のパジャマを着崩し、そこから程よく大きい胸を覗かせている姿がそこに映りこんでいたのである。

 

「なっ……なっ……!!!!??」

 

鏡を凝視しながら思わず指で映り込んでいる少女をわなわなと指差しながら痙攣でもしているかのように、言葉を吐き出したくても何も言えない状況に陥っていた。これは夢なのではないかと疑いながらもう一度を鏡を睨み付けるが、何の変化も無く褐色少女がそこで自分を睨み付けている光景がある。鏡の光景を見ながら仕切りに頬などに触れて、徐々にこれが現実であると自覚し始めたカミツレ。そして言い放った。

 

「何でだああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!?」

 

杉山 カミツレ、恐らく今まで生きてきた生涯の中でも最も巨大な咆哮であった。そしてしばらくの間、放心状態になってしまいそれを見つめ続ける事しか出来なかった……。

 

 

「な、なんでこんな事にっ……」

 

思わずそんな事を吐き出しながらガックリと項垂れながら鏡に映りこんでいる今の自分を見つめる。どっから如何見ても女になっている、如何してこうなったと言わざるを得ない。自分が一体何をしたというのだ、いきなり訪れたとんでもない苦難の連続を必死の努力で乗り越え続けてきた、そんな自分を嫌いになった事など無かったのに如何してこんな事に……。

 

「はぁっ……もうどうなってんだよ……」

 

そんな事を呟きながらもう一度鏡を直視する。改めて見てみると凄い美少女になっている、元々の長髪は変わっていないが髪の色は完璧なまでに違う、瞳の色や肌の色まで変わっている。学園では余り見た事がない褐色系の少女、なんだか今の自分の方が見た目が優れているような気がして若干鬱になりそうだ。しかもセシリア級の美少女と来たもんだ、元来の自分よりも女の自分の方が見た目が良いとかどういう事なんだ。

 

「そっか。なんか身体が重いと思ったら胸のせいなのか」

 

と思いながらパジャマの隙間から見えている褐色の胸を見る、改めて見てみると結構な大きさになっている。カミツレは入学当初からずっと身体を鍛え続けている関係か、筋力も十分にある故か余り重さに苦しさは感じない。しかし、これを一般的な女性があると思うと……かなり苦しいのだろうなぁっと思う。特に千冬や真耶辺りなんてもう拷問に近いのではないのだろうか、そりゃ肩も凝る筈だ。因みに今現在の姿のカミツレのBのサイズは88、十分巨乳の域である。

 

「千冬さんとか、大きいと羨む連中いるけど実際は本当に辛い、肩は凝るし走ると痛いって言ってたもんな……これからは千冬さんとのマッサージは率先してやってあげようかな……後セシリア達にもこれからは良くやってあげた方がきっといいよな……」

 

と女性の身体になった事で千冬達の苦労を理解したカミツレであった。そして今の状態の自分が女性的に考えてどれだけズボラな姿なのかと思い、取り敢えず着替えた方が良いと思った。その前にもう一度鏡を凝視する。

 

「……」

 

セシリア級の美少女の姿、自分でも今の自分は本当に可愛いと思う。褐色肌も悪くないと思ったりもしている、もうある意味余裕なんじゃないかと思いそうなほどにカミツレは慣れて来たというか、今まで色んな事に巻き込まれているので妙な耐性が付いてしまっているのだろう、そして―――

 

「ウフッ♪」

 

と以前アニメのヒロインがやっていたポーズをとりながらウィンクをしてみるのであった。その結果―――

 

「グフッ……!!!」

 

自分でやっておきながら、鏡に映りこんでいる自分の姿の愛らしさと妖艶さに膝を付くと同時に自分で自分にこんな事になっていると言う事実に絶望するというダブルパンチを受けていた。これではまるで自分がナルシストのようではないか……やっぱり一刻も早く元の戻りたいと思いながら、何故こんな事になったのか、そして誰なら何とか出来るのかと思った時に辿り着いてしまった。こんな事が出来るであろう人物の心辺りを。カミツレはすぐさま待機状態のカチドキに掴み掛ると怒鳴り散らした。

 

「おいカチドキ起きろぉぉお!!!!!そして、一刻も早く束さんに繋げぇぇぇええええええ!!!!!」

『分かりました、愉快な事になってますね。お似合いですよお父様(笑)』

「黙れええええぇぇぇ!!!」

『おおっカッ君!!やっぱり束さんの思った通り可愛くなっちゃってまあ♪』

「やっぱりアンタの仕業かぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!!!!」




という訳で凄い要望が多かったTS編です。

カミツレの美少女の要素は出来るだけISヒロインズと被らないように考えて設定しました。褐色なんていないしね、だからこそいいなぁと思いました。褐色肌って、良いと思うんだ……私の趣味だ、いいだろう。

見た目としては「俺の屍を越えてゆけ」という超名作に出てくる「敦賀ノ真名姫」という神様にしました。私、あの神様一番好きなんだ。

色々言いたい事がある人もいると思いますが、このまま行きます!!

後たぶん百合的な描写が入るかもしれませんが、期待しないでください。多分全然駄目なので。

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