IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

242 / 341
第5章~剛剣の太刀筋編~
第242話


「チェエエエエエエストォォォオオオオ!!!!!」

 

斬ッッッ!!!

 

凄まじい気迫と共に振り下ろされた一夏の一太刀、それは斬撃練習用として用意された人型の標的に命中する。雪片に付いた汚れを払うかのように振るうと、それと共に標的の上半身がずるりと降りて行き地面へと激突した。剛剣の太刀筋を身に付けた一夏だがそれでもまだまだ目標としているものには程遠いのか、切り口を撫でるように触りながら首を傾げる。

 

「う~んなんか違うんだよなぁ……。断面が綺麗じゃないっていうか、荒くなっちゃってるなぁ……」

 

体得して体現する剛の抜刀術、それは言うなれば重い剣を全力で振り下ろす事で剣の重みと力の相乗効果で剛の太刀を生み出して相手を叩き潰すかのように斬る攻撃。一夏は此処に技を加えたいと考えて何度も練習を重ねているが、矢張り剛を使うと如何しても技が御座なりになってしまう。かと言って力を抜くと重い抜刀を体現出来なくなってしまうので、一夏は苦労していたりしている。

 

「なぁカミツレ、如何したら良いと思う?」

「諦めたら?」

「いきなりそれかよ!?」

 

と一緒に訓練を行っていたカミツレにアドバイスを求めるのだが、即効で飛んできたのは諦めろという言葉だった。せめてもうちょっと言い方があるのでは無いかと思うのだが……うだうだ言うよりも分かりやすいだろと言われるとぐうの音も出なくなってくるので何も言えない。

 

「純粋に今W抜刀出来るだけのスロットがお前には無いんだよ、成長してスロット増やすか神おまでも探してこい」

「おい俺にディアブロ一式でも着ろってか」

「兎に角基礎を鍛えろ、千冬さんの技使えるようになる前に抜刀術:力でも極めろ」

「だからモンハンから離れろ」

 

言い方はあれだがカミツレの言葉も正しい、自分はまだまだ未熟で剛の抜刀を漸く物にしたところでそれはなんとか実際に戦いでも運用出来る程度のレベルでしか無い。まずはこの抜刀術を限界まで高める所から始めた方が現実的だし、それにレベルが違いすぎる千冬の剣を目指すには余りにも早すぎる。

 

「なら、まずは標的を初撃で粉砕出来る位にしないとな」

「通常攻撃が「零落白夜」までとは言わないけど十分一撃必殺として機能始めたら俺は取りあえずお前と接近するのやめるわ。遠距離から射撃して仕留めるわ幾ら抜刀術が出来ようがそれが機能するのは近距離だけだしな」

「ったく見てろよ、何時かは剛の斬撃とか飛ばせるようになってやる……」

「そこまで来たら素直にお前を化け物として見るわ」

「酷くねぇか!!?」

 

学年別トーナメントも終了して通常通りの日常へと戻り始めている学園、そんな中で過ごしていくカミツレと一夏だが二人揃ってトーナメントで優秀な成績を収めてしまった事が影響してか各国からの影響がまた大きくなってきており、溜息混じりにそれらで味わってストレスを解消する為に訓練に没頭していた。特に箒との交際を公表していない一夏に、見合いの申し込みや代表候補になってほしいというものが殺到して来ている。見合いについてはカミツレも同様だが、一夏には特に多い。

 

「そろそろ切り上げるか、時間も近い」

「うーん……分かった、んじゃ後一回だけ抜刀したら上がるわ」

 

そう言って一夏は裂帛の如き叫びを上げながら抜刀を行って残ったターゲットに全力の一撃を放った。するとターゲットは凄まじい衝撃と破壊力を受けて噴き飛びながら空中分解して四散して行った。それでも一夏は納得行かないらしく、やっぱり基礎的な実力が足りてないなぁと呟きながらカミツレと共に上がるのであった。

 

「いやだからさ、俺が弱いのはいいんだよ。問題なのは俺程度の実力なら問題なく対処出来る格上がいっぱい居るからその対策が必要なんだよ」

「あの抜刀だってその為に編み出したようなもんだろ?」

「それだってセシリア相手だと普通に完封されるぞ」

 

訓練後、着替えを終えると二人はカミツレの自室に集まって反省会をしながら野菜スティックを摘んでいた。本当ならヨランドが居てくれたら良いのだが……学年別トーナメントが終わってからも滞在しようとしたのだが政府の関係者に仕事がたくさんあるでしょうと強引に連れて行かれてしまった、その際にカミツレの名前を悲痛な声で叫んでいたのは如何にもシュールだった。本当にあれがビック10なのかと疑いたくなった。

 

「流石に腕の散弾砲だけだとなぁ……出来ればもうちょい武器欲しいぜ……」

「お前の場合は難しいな。単一使用能力で全部使って埋まってるからな……その腕の散弾迫撃砲だって装甲内部に仕込んでる関係で弾数もそこまでないしな」

「ホント、如何したもんかな……やっぱり機動面を徹底的に鍛え上げていくしか「白式」をフルで使いこなす方法は無いのかな……」

 

そう言いながら思わず後ろに倒れこむようにしながら天井を見上げる一夏、ライバルのカミツレに勝ちたいというのもあるだろうが自分もいい加減にしっかりとしなければいけないという自覚が出来ている証でもある。自分に来ている代表候補の誘いに伴う条件やら、それによって発生するデメリットなども全て書き出して考えているが、如何にも良いのが見当たらない。こうなったら本気でカミツレにお願いして自分もイギリスに行くのがいいじゃないかな、と本気でそう考えたくなってくる。そう思いながら適当に視線を迷わせていると部屋の隅に積まれている山が目に入る。

 

「なぁカミツレ、あれなんだ。積みゲー?」

「んっいや違うぞ、俺に来てる見合いの申し込みとその見合い写真。明日ちょうどゴミの日だから処分に出そうと思ってそこに出してるんだ」

「すげぇ量だな……いやまあ俺のもだけどさ。俺は見合い系のは全部スルーして断ってるから」

「流石純愛一夏君だな、いや初心な一夏君か?」

「う、う、うるせえな!!悪いかよ俺は箒だけを愛してるんだよ!!!!」

「別に悪いなんて一言も言ってねぇよ」

 

そう言いつつもカミツレは自分に来ている書類やらを片づけている、イギリスから来ている自分のグッズ関係やCM出演や雑誌の取材やらの要求などが後を絶たない。CM出演や雑誌取材は基本的に断っているが一応グッズの方はある程度許容出来ているのか、中身を確認する程度の事はしているらしい。

 

「ったく……それであれ中身見たのか?」

「一切見てない。興味ないからな」

「へぇ~……俺もそうだけどなんかカミツレ宛に来てるのはなんか気になるな……見ても良いか?」

「ちゃんと積み直すならな」

 

勿論と返して一夏はカミツレ宛に来ている見合い写真を見始める、中は予想通りに見目麗しい美人が絢爛豪華な装飾などがされたドレスや華やかな服、何処か誘惑的な衣装に身を包んで写真に映っている。

 

「ふ~ん……やっぱりっというか、美人多いな」

「だろうな」

「にしてもさ……なんか年上多くね?」

 

一夏も全部を見た訳ではないが、如何にもカミツレに送られて来ているものの殆どが千冬やヨランドと同年代な方々ばかりな気がしてならない。同い年の少女達もあるが、明らかに年上が多い。これも千冬やヨランド、束と婚約しているから年上好きと勘違いされているのだろうか……。

 

「俺は別にそう言うの気にしないっというか、俺の場合好かれたって言った方が正しくないか」

「それは言えてる。年上キラーだもんな」

「おい何だそれ初めて言われたぞ!?」

 

まあそんな事を放置して見合い写真を積み直した一夏は緑茶を啜りながらこれからの「白式」に付いて考えるのであった。そんな一夏を横目見つつ書類の整理に一段落付かせると自分もお茶を一口飲む。

 

「それならいっちょ、専門職の人に相談してみるか?」

「専門職ってISの整備とかに関わってる人の事か?それなら倉持技研に行かないと……」

「違う違う、言うなればISを研究してる人だよ。束さんに相談するってもあるが、あの人は今宇宙活動用IS製作が良い所らしいからな」

「んじゃ誰を頼るんだ?」

「そうだな―――「大将軍」の進化前である「蒼銀」を開発した研究所の所長とかは如何だ、お前も明確に所属国を決めてる訳じゃないし、相談するぐらいならOKだろ」

 

そう言いながらカミツレはパソコンを付けながら通信アプリを付けるのであった。それを見守る一夏、そして数十秒後……

 

『やぁやぁやぁやあやあやあやあ!!!!カミツレ君、君からの連絡なんて実に嬉しいよ!!!君が送ってくれた特撮作品は実に素晴らしい!!思わず発想がスパークして今装備を大量に開発してしまっていてね!!!是非君にも試して貰いたい物だよ!!!!それで今日は一体何の連絡かな!?』

「お久しぶりですリオノーラさん、実は相談したい事が……」

 

部屋中に超ハイテンションな声が響き渡るのであった。そう、カミツレが相談した相手とは……リオノーラなのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。