IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第243話

「という訳でして、良い考えないですかね?」

『ふむふむ……。話を総合するとミスター・一夏のISは元々容量がない上にブレードのみだった、しかしそこは開発もとの努力で腕部装甲内蔵式の迫撃砲の装備を施せた。しかしミスターの成長に伴ってそれだけでは不十分になりつつある、それに合わせて新たな武装の追加を検討したい―――という事だね、うむうむ若い悩みは何時聞いても美しい!!』

 

と何故かテンションの上がっているリオノーラに若干引き気味になっている一夏、もうそんなテンションに慣れているカミツレと両極端に分かれながらも研究所所長としての意見を待つ。

 

『それならば脚部などにも内蔵式でライフルなどを搭載するのはどうかね?』

「それも考えたんですけど……俺、今まで射撃訓練とかやった事全然なくてそっち方面は駄目駄目で……」

『成程、故の散弾形式なのだね。しかしまあライフルを扱うならこれから訓練は必ず必要になる、故に選り好みするのも宜しく無い。何大丈夫だ、誰とて始めは初心者だ。恋愛と一緒で誰もが最初は初心で微笑ましいものさ!!そう、未だに交際経験が無い私のようにね!!!』

「それ言わなくても良い事ですよね」

『いやぁすまない!!最近実家から勝手に見合いの予定を組まれたりして苛々しててね!!思わず実家の庭に悪戯で爆弾を落としたぐらいさ!!ハッハハハハハハ!!!』

「「笑い事じゃねぇでしょそれ!!?」」

 

その爆弾自体は本物ではなく、投下して着弾後は爆発せずに二つに割れて内部からリオノーラからのメッセージが再生されるようになっているらしい。それを見合い当日にやらかしたらしく、見合い相手は逃げさって行き両親はリオノーラに面子を潰されたとキレたらしいが―――「自分の意思を捻じ曲げて、強引に結婚させようとする事が面子を壊すとは思わないのか」と返したら何も言わなくなったらしい。

 

『まあ我が両親に対する面白い事はこの位にしておいて、真面目な話をしようか』

「あっはい……。俺としてはライフルとかって撃つ為には足を止めないといけないイメージが強いし、俺の剣の都合上両手じゃないと持ち味が出しづらいと思うから、出来る事なら保持する必要が無い方がいいと思うんですけど……」

『ふむふむ……成程ね、それならこんなのは如何だろうか?』

 

そう言いながらリオノーラは手元のキーボードを操作して画面にある資料を出力してくれた。そこには腰部に装備する可動式姿勢制御スラスターに折りたたみ式の砲撃機能を添加した物だった。通常時は高機動時の姿勢制御補助の役割を担い、稼動時にのみ砲身が展開されて砲撃を行うというもの。使用する弾頭も実体弾である為にSE消費も気にする必要も無い。

 

「すっげぇっ……こんなのあるのか!!?」

『これは結構な自信作でね、他にも内部仕様の変更も簡単で投射砲から連発式の機関砲にも出来るという位かな』

「へぇっ……これは普通に面白いな。普段は姿勢制御に使えるから高機動型の「白式」にもマッチするな」

『加えて言わせて貰うと、ミスターのISはかなりの高出力機なのだろう?ならばそのスラスターもかなりパワフルなものなんじゃないかね?』

「そうですね、俺のはかなりいいパワーしてますよ。今だと必要以上にパワー使わないように簡易的な制限付けてますけど」

『ならば、元々優れたパワーを持ったそれを利用しない手は無いさ!!』

 

そんな風に張り切って答えるリオノーラにまたいい案を出してくれるのでは無いかと期待する一夏、そんなわくわくしている表情をしてくれる彼にそれならば取っておきの物を出そうじゃないかっと張り切ってプランを出してくれた。そこにあったのは―――ウィングスラスターその物を武器として使用出来るようにしようという大胆な案だった。

 

「おおおおっ何だよこれカッコいい!!!」

『如何かねこの大体なアイデア!!これは555のオートバジンを見てたら、思いついてね!!走るだけのタイヤで攻撃とか飛行とか出来るんだからISのウィングでも出来るんじゃないかなと思ってね!!』

「だからって、こりゃ本当に大胆だな……」

 

そこに記載されているのはウィングが操縦者の意思に応じて稼動して各方向を向くようになっており、スラスターをそれだけに使わずに砲門として活用してしまおうというアイデアだった。元々出力が高いISならば高出力の物まで発射できるので悪くないのではと提案される。

 

「後このスラスターで近接攻撃とか出来たら超ロマンですよね!!」

『おおっミスター君はロマンを分かっているじゃないか!!!そう、ロマンとはそういう物何だよ!!本来は出来ない、そんな組み合わせはありえない!?大いに結構!!そこで諦めて至れる筈の可能性を捨てておくよりも遥かに良い事なのさ!!近頃はロマンなんて理想でしかないと抜かす愚か者が多くてならない、それならBT兵器とかEパックだって私が開発するまで完全に机上の空論だったのだぞ全く……』

「リオノーラさん、なんか色々漏れてますよ」

 

どうやら本格的にストレスが溜まっているらしい、勝手に見合いを組まれたり色々と研究所の所長も大変らしい。しかもこれでリオノーラはかずみんと同じ年というのだから、若いのに異常なまでの苦労をしているとも言える。

 

『おっと済まないね、最近色々あってね。しかし翼で近接攻撃か……防御位なら出来るかも思っていたが悪くないな。翼で攻防一体の武装とする……だが如何すればいいんだ、ただ装甲を厚くしても意味がない……』

「いっそのこと、翼を手にしちゃうとかどうっすかね!!?手首動かすみたいにすれば行けそうじゃないですか!?」

『―――ッッッ!!!!それだぁあああああああああああ!!!!!!!!』

 

数日後、カミツレ経由での元にリオノーラから新型スラスターを考えたというメールが届くのであった。その形状は一夏が言った通りに人間の手を模しているかのようで、搭乗者の意思と連動して自在に動いて近接戦闘や防御まで可能になるというとんでもないものであった。一夏はこれに大興奮したという。

 

「なんだろう、果てしなく不安何だが……」

『……あのスラスター、テストと称して私に搭載されませんよね……?』


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