IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第258話

「にしてもすげぇよなこの船!!これ以上性能の高い船なんかあるのか!?」

「性能面とかは知らないけど、もっと凄い豪華客船は内部にカジノやらショッピングモールまで完備してるって話だぞ」

「マジかよ……世界って広いな、因みにソース何処?」

「ヨランドさん」

「ああ、信頼出来る筋だ」

 

荷物を置き終わったカミツレと一夏は適当に船内の探索に繰り出す事にしてそこら中を巡る事にした。カミツレとしても船に乗った経験は余りないので少々わくわくしながらも足を進めて行くと、途中ゲームセンターエリアを覗いてみるとそこにあるゲームの全てが無料で遊べるようになっており、既に生徒達で溢れ返っている。中には先生方の姿もあり、ビリヤードやダーツなどに興じていた。

 

「すっげぇなこれ……本当にこれ船かよ、なんか複合施設とかじゃねぇのかよ」

「そう疑いたくなる気持ちは分かる」

「おおっカミツレ見ろよあれ!!詰めライディングデュエルスペースあるぞ!!?」

「マジか!!?」

 

実はデュエリストでもある二人は真っ先にそれに食いついた。しかも誰も並んでいないので速攻でそこへと駆け込んで行く二人であった。

 

「おおっすげぇ!!!遊星号にブラックバード、ホイール・オブ・フォーチュンまであるぞ!!」

「おい一夏、こっちには修正テープあるぞ!!」

「デルタイーグルだろ!?ってまさかのオメガホークまであるのかよ!?」

「俺オメガホークな!!」

「あっずりぃぞ!!?」

 

と二人は早速Dホイール式の詰めライディングデュエルへと興じ始めた、次々と高難易度問題をクリアして行く二人だがクリアの景品として氷結界の龍やら鬼畜司書、超融合やらが出てくるので二人ともハイテンションでそれに取り組み続けるのであった。そしてそれだけではなく―――

 

「おいカミツレ、これライディングデュエル対戦対応してやがるぞ!!?しかもスピードスペルカードの貸し出し&販売やってる!!」

「マジか!?おい一夏、デッキは持ってきているな!!」

「無論、俺の管轄内だ!!」

 

と腰に常備していたケースからデッキを取り出してSPカードを混ぜたライディングデッキを製作して二人でデュエルを楽しむのであった。しかもモードとしてWRGP形式のファーストコーナーを先にとった方が先行採用式の物もあったので、それでのレースゲーム的なデュエルを堪能するのであった。結果としてデュエル終了後の二人の手元にはレアカードや強力なカードが大量に手に入って二人ともほくほくの顔で去って行くのであった。

 

「いやぁやったぜカミツレ……俺、これで念願だったHEROビートが組めるわ」

「ガチで最高だったな……俺あの筺体ごと欲しいわ……。というかさ、あれ束さんに頼んで全国のゲームセンターに置いて貰おうぜ」

「いいなそれっ!!よし今度束さんがご飯食べに来た時にでも頼んでみようぜ!!」

 

と二人がすっかり少年の表情に戻ったまま会話をしている中の発言、それがカチドキによって束に転送されて数週間後……全国各地にライディングデュエル対応筺体が送られて全国からデュエリストからの大歓声が溢れかえるのであった。因みに1プレイ100円、同時に正式にスピードスペルが販売されたという。そして現在放送中の物よりも「5D's」のDVDやBR、当時のカードの価値が爆上がりしたとか。そして、遂には当時のOCG化されなかったカードがOCG化される事にまで発展するのであった。

 

『いやぁコアの皆に勧められたら嵌っちゃってさ♪つい作っちゃったよ♪』

『まあ我々が嵌った原因はお父様と一夏のデュエル風景なんですけどね』

 

 

「いやぁ時を忘れて夢中になっちまってたな……もう昼飯時じゃねぇか……約2時間夢中でプレイしてたもんな」

「あれに夢中にならねぇデュエリストはいねぇだろ、ヘルメット付けるとVRみたいに実際にDホイールに乗ってるみたいになるんだぞ」

「何時かマジでDホイール出来るんじゃねぇかな」

「それだったら俺真っ先に免許取るわ」

「激しく同意」

 

と駄弁りながら何を食べるかと言う話題に持って行きながら食堂へと入っていくと、そこも中々に豪勢で綺麗な作りになっている。席に着いてみると投影型のメニューが現れて本日のお勧めや各種メニュー一覧、細かいオプションまで表示されている。

 

「おいカミツレ、この船マジで凄くね?というか普通こんな船無いだろ?」

 

と言いつつもSFチックな作りにウキウキが隠しきれていない一夏にカミツレは半笑いになりながら、内心で何を思ってこんな作りにしたんだよ束さん……と思うのであった。実はこの船、束が設計した宇宙航行艦のテストタイプとも言うべき作りになっている。長期間の宇宙空間の航行で乗員がストレスを感じないように極力配慮した物になっている、強いて言うなれば気密性などの機能オミット、動力源などがまだ完成しきっていない、過ごしやすさ重視にしている位だろうか。途中から明らかに趣味に走っている部分も有るが……。

 

「お前何にするんだ?俺はジャンボチーズチキンカツ定食にするわ、デュエルはやっぱりエネルギー使うからなぁ……」

「だよなぁ……めっちゃ叫びながらやってたもんな、ゲーセン内の煩さとメットの通信ラインのお陰だな。そうだな俺は……ローストビーフ丼大盛り」

 

注文確定の表示を押すと"注文有難うございます、少々お待ちください"と返ってくるので出来上がるのを待つ事にする。

 

「そう言えばさカミツレ、日本の国家代表が入れ替わるって話聞いたか?」

「ああ、あのニュースの話か。見た見た、千冬さんと凄い比較されて嫌になったって話だったな」

「というか千冬姉と比較するのは如何考えても卑怯だと思うんだよ俺」

「それは俺も思う。あの人と並び立つのってアリーシャさんとかヨランドさんレベルの人間じゃないと無理だろ」

 

それに思わず同意する一夏、日本にも国家代表もいる。そんな代表も優秀な人材であることは間違いないのだが……如何せん世界の頂点に立った千冬の存在感が余りにも大きすぎる為に、如何足掻いても比較されるばかりで自分としての評価をされない。勝っても比較、負けたら非難が集まるという最悪の状況に嫌になって現代表はISから完全に離れて、愛を探しに行くと言って何処かに行ってしまったという事らしい。

 

「あんだけ比較されたら誰だって嫌になるわ……だってよ、言うなれば神話の英雄と現代のスポーツでの有名人比較するようなもんだろ」

「だよな……。アーサー王と剣道の有段者比べてもどっちが凄いって言われたら、俺だって即答でアーサー王って答えるわ」

「だろって言ってる間に料理来たぞ、飯食ったらまたデュェエルだぁ!!」

「おう、満足させて貰うぜ!!」

 

と話を中断してカミツレと一夏はやって来た料理へと手を伸ばすのであった。

 

「はふはふっ……そうそう、衣が口の中に刺さりそうなぐらいにさくさくなのが、揚げたてが最高である理由でもあるんだよなっ揚げ物はこのアツアツサクサクが命なんだよなぁ!!」

「おおっ頂点に乗ってるこの煮卵を潰すと……!?おおっトッロトロの黄身が……潰れる、流れる、溢れ出るっ!!柔らかく濃厚な味の肉にマッチして……米の甘みが押し寄せるんだけど、それをワサビが締めて……」

「「うめぇっ!!!」」

 

と二人は大満足な昼食を終えるのであった。




私「この二人が一緒に送る平穏な一面ってあんまり無かった気がするのでやってみました。ホント、初期から思うと有り得ない構図だ」

妻「ホント、貴方って本当に原作の一夏嫌いですよね」

私「嫌いって言うか苦手ってだけ。なんかすげぇ苦手」

妻「実際に会ったら迫られそうだから?やっぱり一夏はホモじゃないですか!!」

私「おいなんでそういう思考に持って行くんだよ!!?」

妻「一夏殺すべし、慈悲はない」

私「なんか変身したぁぁぁっっ!!!?」

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