IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第263話

「うわっはぁ~何だこりゃあ!!!?世界各国の料理が盛り沢山じゃねぇか!?」

「こりゃすげぇな…金掛かってると思うけど、束さんなら普通に納得出来る辺り凄いな」

 

気付けば時間は流れていって夕食時となった。夕食の舞台となったのはホテルの大ホール、というが広さはバスケットコートの3倍近い。そんな大ホールに鏤められた宝石のようにキラキラと輝きを放っている料理達、それらから放たれてくる香しくも嗅覚を刺激する香りが立ち込めている。束が用意した世界各国の料理は2学年の出身国たちを細かくチェックして用意された物で全ての生徒が故郷の味を楽しめる仕様になっている。

 

「懐石料理に地方料理、中華に洋食……選り取り見取りって正にこの事なのか。見てるだけでなんか腹が膨れてきそうだぜ……」

「おい一夏、あっちでマグロの解体ショーが始まっているぞ!!その後は鮟鱇の解体ショーまでやるらしい!!」

「マジかよ!?俺一回で良いから鮟鱇鍋って食って見たかったんだ!!行こうぜ箒!!」

「ああ、ダーリン!」

「なんでダーリン!?」

 

と突っ込みを箒に入れながらも駆け出していく一夏と箒の二人を見送ったカミツレ、なんだかんだであのカップル仲はかなり良好な様子で安心する。若干一夏が尻に敷かれている感が否めないが……それはそれで一つの幸せの形という奴だろう。

 

「カミツレさん是非とも色々とまわって見て決めましょう、どれもこれも美味しそうですわぁ……」

「うわぁっ……王族のパーティーって印象するなぁ……でも存分に食べるぞぉ~!!」

「よしそれじゃあ行くか」

 

と両隣に愛しの女性を連れながらカミツレはゆっくりと何を食べるかの選定を始める事にした。世界各国の料理が再現されているだけあって選択肢は本当に豊富にある、メインをチャーハンにしつつドリンクにブドウジュース、スープはポタージュ、メインにサーロインステーキと刺身といった事も出来るまでに選択肢がある、というかそれを実際にやっているラウラを見て本当に豊富だなと再実感するのであった。

 

「こうして思うとやっぱりテーブルマナーとか覚える必要あるんだろうなぁ……」

「あっそっか、セシリアとヨランドさんなんて貴族ですもんね。それを考えると色々覚える事が出来ちゃうんですね」

「貴族としての挨拶やマナーなども色々と覚える事が多いでしょうね、ですがご安心くださいッ!」

 

と誇らしげに胸を張りながらセシリアは貴族的なポーズを取りながらドヤ顔を作りながら、自信タップリにいうのであった。

 

「このセシリア・オルコットが、一から手取り足取り全てをご指導させていただきますわっ!!そしてカミツレさんをご立派な貴族のお一人にして見せますわっ!!」

「はははっそりゃ心強いなぁ」

「ホント、セシリアって妙にドヤ顔が似合いますよね」

 

乱の言葉には同意を示さずにいられない、セシリアには如何も自信に満ち溢れているドヤ顔が妙なほどに似合っていて可愛らしく映る。同時に彼女の自信を感じて安心感が感じられてくるのと同時に、微笑ましいものを見るかのような笑みが湧き上がってくる。カミツレはセシリアの腰に手を当てながら抱き寄せて、彼女にそっと耳打ちをする。するとセシリアは一気に顔を赤くしていく。

 

「いやんいやんイケませんわカミツレさんっ、このような所で皆様見ていらっしゃりますのよ!?しかし、しかし、ああっそんな背徳感と禁断の誘惑が私を、乱して……ぁぁっいやんいやん♡」

「なんか、セシリアからピンクのハートが乱れ飛んでる気がするんですけど……何を言ったんですか?」

「いや別に大した事は……なんか、勘違いしてるっぽい?」

「ぁぁっ……ぁぁっカミツレさん……♡」

 

この後、これ以上放置して行くと食事の雰囲気を乱すので強制的にセシリアを引き戻すカミツレであった。

 

「やあやあカッ君、楽しんでるかい?」

「結構楽しませて貰ってますよ、美味しい料理に舌鼓って奴です」

「そいつは結構♪」

 

と一通り回って料理を決めて食事を楽しんでいる時の事、その席に千冬と束が座りこんできた。どうやらお代わりを取ってきたらしく少々多めに各一品が盛られている。

 

「なんだっお前らまだお代わりせんのか、なら……折角だから束、お前のお勧めを寄越してくれ」

「そうだね~それじゃあ今持って来て貰うね」

 

と束が軽く指をくいくいっと動かすと何処から如何見ても銀髪のメイドが料理を持ってきた。見た目は完全に人間なのだが、あれも確りISコアによって操作されているロボットらしい。因みに金属探知機で調べようとしても反応は出ないようにしているらしい、謎の拘りである。と持って来られたのは揚げたてだと思われるフィッシュ&チップスとコロッケであった。

 

「ちょうど揚げ物を追加する所だったみたいだね、う~ん良い香り」

「フィッシュ&チップスか……イギリスのあれは如何にも油がギトギトという話をよく聞く…が実際、その辺りどうなんだセシリア」

「それは一般的な一部の大衆食堂の場合だけですわ!!確りとしたレストランでは美味しい物を出してくださいます!!」

「ホントォ?アタシ、一回食べたことあるけどガチガチでベトベトな油まみれの衣で胃もたれ起こしたわよ?」

「まあまあ、兎に角食おう」

 

と持って来られたフィッシュ&チップスへと手を伸ばす。使われている魚は新鮮なタラらしい、それを口へと含むとイギリスで食べた経験がある乱は思わず眼を見開いた。

 

「えっ何これが本当にあれなの!?じゃあアタシが食べたあれってなんなの!?このサクサク感……!?」

「少しきつめの塩がいいな、油の甘みとよくマッチしながらもこの中のホクホクの白身魚……しまった味わうつもりがもう……おいすまんが―――」

『ビールをお持ちしました』

「おおっナイスタイミング!!んぐんぐんぐっ……かぁぁぁっこのビールの苦味とこれはよく合うなぁ!」

「ジャ、ジャガイモも美味しいですわっ……!!口の中で儚く解けて消えていくのに、タルタルソースとマッチして絶妙な味わいを残していくなんて……!!」

 

と驚きに満ちた表情を浮かべた乱とそれらを肴にしながらビールを楽しそうに飲む千冬。イギリスの人間が日本のF&Cを食べた時には驚愕したという話を聞いた事があるが、強ち間違った事ではないらしい。実際にセシリアも驚いている。そう思いながらカミツレはコロッケにも手を伸ばす、メイドロボからソースを受け取りながらコロッケを頬張る。

 

「あっふあふあふ……揚げたてのコロッケはまず何も付けず、これが鉄則だぜ……。そしてソースを付けると……全ての味を引き締めながら昇華させる……あぁっなんで揚げたてってなんでこんなに心を豊かにするんだろうか……」

「サックサクの中にはしっとりとしたジャガイモ、その中には強い旨みのお肉と優しい味わいの野菜、それらをソースで引き締めていただくと最高に……」

「「美味いっ!!!」」

 

そんな騒がしくも楽しく美味しい夕食の時間はまだまだ続いていくのである。




私「今日のご飯は揚げ物にでもするかぁ……アジフライ、いや竜田揚げも捨てがたいな」

妻「ではその際にはこちらの着用を♪」

私「……一応聞くけど何それ」

妻「エプロンメイド服です♪」

私「絶対にいやだ!!!」

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