IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第264話

束所有の島での校外学習の二日目、去年の物と同じくこの二日目も丸一日を使ってISの装備試験運用とそのデータ取りとその解析に回される事になる。今回は束がISのテストに使用している試験場を使わせて貰える事になったのでより精密且つ大量のデータを取れる事になっているので、教師陣としても助かる事になっている。

 

「さて専用機持ち諸君、これより専用機に渡される換装装備(パッケージ)などのデータ取りに入ってもらうぞ」

「あの織斑先生、そう言えばこの島は極秘にされているのに各国から送られてくる装備があるんですか?」

 

カミツレの言葉に皆は思わず確かにそうだと思った、この島は束の手によって完全に外界とは隔絶されているある種のクローズド・サークル。束がこの島の座標を教えるとは思えないし、送られてきたとしてもそう簡単に受け入れるとも思えない。故に此処に装備があると言うのも考えにくいのだが……。

 

「その気持ちは分かる、だが問題はない。確りと装備は届いている。おい束、説明しろ」

「はいは~い」

 

としれっと教師陣に混ざっている束が踊るように回転しながら躍り出てくる、何処か優雅な踊りのあとにカミツレに向けてのウィンクが飛ぶと本人は少し微笑み返すと、束は笑いながら説明を始めた。

 

「装備類については一旦学園の方に送って貰って、そこから束さんが確保してこの島まで持ってきたから問題はないよ。別段学園からそのデータだけ送って貰えれば、その装備をこの島で作る事なんて簡単何だけどなんか国家秘密事項をそう簡単に再建造されたら堪らないらしいから却下されたよ」

「そりゃそうでしょうよ……束さんにとっては取るに足らない事でも、各国からしたら堪らないでしょうよ」

「でもさ、国家秘密事項とかのたまってるISを開発したのは束さん何だけどねぇ~」

 

まあそれはそうだがそれを言ったらおしまいである。という訳で取り敢えず各種装備の準備は確りと済んでいるらしく、それぞれの装備がリフトアップされていく。その光景は宛らロボットアニメのワンシーンのようなので一夏と簪、マドカは興奮物であった。しかも手伝いとしてロボのサポートも入るのでSF感マシマシである。

 

「あっ因みにカッ君とマッちゃん、いっ君の装備はないよ。カッ君といっ君は言うまでもないけど、マッちゃんのは最新鋭だからね。それ単機の細かい調整で色んな状況に対応する事が目的にされてるから」

「な、なんですと……!!?」

「まあそれだと何も無しで可哀想だからさ、束さんが片手間に作った状況可変型装備のお試しを頼むよ」

「是非お願いします!!」

 

そう言うとマドカは飛びつくかのように新たにリフトアップされた装備に向かって行った。それは機動力、火力、防御力などを纏めて引き上げる装備らしい、一体どんなものなのかと思いつつも結局の所また暇になってしまったカミツレと一夏だが、如何しようと思っていると束が手招きして来た。

 

「二人には束さんの手伝いをして貰うよ、いいよねち~ちゃん」

「まあ構わんが……報告書云々や安全性とかは保障しろよ」

「束さんが二人を危険に晒す訳無いじゃん~♪」

「「(なんだろう、別世界に行く前に酷い目にあった気が……)」」

 

と妙な寒気に襲われている二人だが、突如にして自分達と束が立っている場所が下ヘと降りていく。その場所自体がエレベーターとなっているのか、そのまま下降して行く。次から次へと現れるギミックにカミツレは若干疲れ気味になっているが一夏は興奮している始末。

 

「さてと、まずいっ君だけどさ。君は最近「白式」の射撃面の強化とかを考えてるでしょ?それでリオっちから束さんに向けて相談とか来たし」

「リオっちって……束さんあの人と仲良いんですか?」

「うん。よく野菜スティック片手に色々話してるよ、Eパックは実に興味深い発明だったからねぇ」

 

と、以前リオノーラが束に展開装甲について問い合わせたという話は聞いていたがまさか仲が良いなんて事は知らなかった。束としてもEパックはかなり興味深く意義のある発明だったらしく、それらを活用する事で宇宙空間活動仕様ISのエネルギー関係が解決したらしい。今では飲み友達に近い関係らしい、矢張り天災と鬼才は引かれ合う何かがあるのだろうか。

 

「色々話とかを聞いてるうちにいっ君の場合は出来るだけ機動力を削がない方がいいって結論付けたわけ」

「まあ、一番の長所が機動力ですからね」

「それを解決する装備とか色々作ったからさ、いっ君にはそれを試して欲しいんだよね。それで気に入ったのあげるから」

「マジですか!?っていうかそんなの簡単に渡して良いんですか?」

「大丈夫大丈夫。全部で281個ぐらい作ったから」

「「作りすぎ!!!?」」

 

束曰く暇つぶし目的、というよりも気分転換のつもりで色んな物を作ったとの事。それでそれだけ作れてしまう辺り束のぶっ飛び加減が分かるというものである。

 

「まあそれでもいっ君の適性とかを考えると……ガトリングとか散弾とか兎に角弾をばら撒いて行くのが一番当てる気はするから、そうなると一気に100ぐらい候補が減るんだけどね。流石に高出力ブッパ型なんて高燃費な代物はミスマッチだからね」

「それでも十分あるじゃないですか……」

「まあ兎に角、リストは此処にあるから好きな物からテストして良いよ。性能評価用のアリーナを一個いっ君に貸して上げるから、サポートメカに手伝ってもらいながら好き勝手やって良いよ」

「ハァッ……分かりました」

 

そう言いながらも一夏は渡されたリストを細かくチェックして行きながら自分にはどんな物が合うのかを見て行くのであった。そんな一夏を見ながらカミツレの方へと向き直った束。

 

「さてとカッ君、君とカチドキには是非とも束さんを手伝って欲しいんだ」

「良いですけど……何をするんですか?」

「―――宇宙活動仕様型ISのテストだよ」




妻「こういうときに送る装備ってどういう基準で送るんでしょうね?」

私「新開発とか、新技術関連じゃない?」

妻「成程……因みにマドカちゃんが試すのってどんな奴なんですか?」

私「あれだよ、電童に出てくる「超獣王輝刃」みたいな奴」

妻「古くないですか?」

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