IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第265話

「宇宙活動仕様型……完成してるんですか?」

「正確にはそのテストショットというか、まあプロトタイプ前のテストタイプ。言うなれば初号機的なポジだね」

「その言い方だと確実に暴走しませんか?」

 

と言いつつもカミツレは目の前にリフトアップされてきたISへと目を向けた。それは今現在のISのようなものではなく一つの宇宙服としての形を保っているかのような印象を受ける、肌は一切露出させない全身装甲方式になっている。頭部に当たる部分には、バイザーとヘルメットを一体化させているのような物がある。初号機というだけあって機能性を重視している印象も深く受ける。何処か「タイプ・オーバー」の最大稼動時を思い出させるような感じだ。

 

「あくまでもテストタイプ、基本的な所は抑えたつもりなんだけど細かい所はこれからだね」

「まあテストタイプなんてそんなものでしょうね、にしても……随分地味と言うかスッキリしすぎてません?」

 

色んなISを見て着たりして来たカミツレにとって、この初号機はスッキリしすぎているという印象が強い。よく言えば此処から拡張していけるということだが、悪く言えば何もないという事になる。言うなればストライカーパックの無いストライクを見せ付けられているかのような感じである。

 

「アハハハッ見た目はね、でもこの大天災の束さんがただスッキリしたのを作ると思う?」

「偶には作るじゃないですか?」

「いや偶には作るけどさ……そういう事じゃないんだよ、このISは確かにスッキリしてる。だけどそれにはしっかりとした理由があるんだよ!!!」

「ああ分かった、面倒くさかった」

「……カッ君、分かって言ってない?」

「冗談です」

 

と若干からかうような言い回しをするカミツレに対して頬を膨らませる束、それを見て可愛いと正直に白状して僅かに甘い空気が漏れだしているが束は改めて言い直した。

 

「この初号機はね、ISのデータを取りこむ事でそのISの武装やらを再現出来るんだよ!」

「それってつまり……まさか!?」

「カッ君がカチドキを付けたままで装着するとそこからデータを読み取って、そのまま機体で「大将軍」を再現するんだよ!!」

 

と自信タップリに語る束、これも自信作のシステムであると述べる。既存のISのデータを打ち込む事でそれを機体自身が再現してしまうというとんでもないもの、つまりこのISは全身装甲の「ブルー・ティアーズ」や「甲龍・紫煙」などを作り出す事が出来るという点にある。展開装甲と「極ドライブ」の二つを融合させ昇華させたシステムであるらしく、ある意味カチドキの進化系がこのISと言える。

 

「またとんでもない物を作りましたね……でもなんでこれを作ったんですか?」

「実はさ、これを作ってる段階だと色々な物を搭載予定だったんだけどコアの中には今のISとしての姿が気に入っている子が結構居たんだよ。それでそのまま宇宙用に転用するにはどうすれば良いだろうなぁって思って考えたのがこれ何だよ」

「とんでもない物を作った自覚あります?」

「何それ美味しいの?」

 

と笑っている束だが、これがどれだけ凄まじい発明なのかはカミツレですら理解出来るのだが……これ以上下手な事を考えたところで恐らく意味はないだろうから言葉をしまうことにして、さっさとISを装着する事にした。という訳でカチドキを付けたままで初号機へと身体を預ける、何時もとは違って段階的に装甲が音を立てて身体に纏って行き完全に外界と隔離するかのように全身を覆った。同時に音声が聞こえて来た。

 

『システム起動を確認、これよりデータの読み取りを開始します。ISコアVer.7 コア№274、機体登録名:勝鬨・大将軍とのシステムリンクを確立。これよりシンクロを開始致します』

 

何処か女性的な声が聞こえてくる、それはシステム的だが何処か嬉しさを感じているかのような人間味を感じさせながらそのまま作業をこなして行く。目の前には作業の進捗状況が映し出されており、徐々に満ちていくバーが表示されている。それをなんとなく見つめていると今度は自分に向けられた声が発せられてきた。

 

『おはようございます、ご挨拶が遅れて申し訳ありません』

「いや大丈夫だ。君は?」

『宇宙空間活動仕様型インフィニット・ストラトス初号機に使用されているISコア、№482です。お初にお目に掛かります、カミツレお父様』

「ああ、初めましてだね。これから宜しく」

『はい、宜しくお願い致します』

 

カチドキと違って非常に礼儀正しくて丁寧な言葉遣いに思わずニッコリしたまま返答してしまった。ここまで確りとした言葉遣い且つ丁寧な喋り方をするISコアもいるのだなと思わず思ってしまった。それにしてもコア№が482……世間で言われているISコアの数を簡単に超えているナンバーだ。まあ確かに以前臨海学校で束は千冬との会話でこう言っていた。

 

 

『―――……今サラッと言ったがISコア、まだあるのか……?』

『―――そりゃあるよ。全世界に明け渡したものが全てだと思ってた?研究用とかに自分で持ってても可笑しくは無いでしょ。』

 

 

確かに束の言う事ももっとであるしまだまだ持っていたとしても可笑しくはないだが……結局の所、自分の子供は正確には一体何人いるのだろうかと気になって来た……。

 

「それにしても……」

『何か?』

「いや、カチドキと随分違ってるなぁって……こうして思うとやっぱり個性豊かだなって思って」

『そのようにして下さったのもお父様の影響です。お父様の趣味などの影響でISコア達は表現豊かになったといっても過言ではありません』

「そ、そういうもんか?」

『そういう物なのです。それとあんなの(カチドキ)と一緒にしないでください』

 

とカチドキに対して何処か攻撃的というか……随分と嫌っているような言い方をする、自分の子供でもあり、相棒であるカチドキをそんな風に言われて少し驚くカミツレだが即座にその相棒から言葉が飛んでくるのであった。

 

『聞き捨てなりませんな、何が言いたいのかハッキリ言ったら如何ですか』

『ではいいましょう。お父様の相棒という名誉ある立場でありながら、自分勝手な理由でお父様に迷惑を掛けたり、勝手に訓練のメニューを追加したり、お父様を侮辱し馬鹿にする。改めて聞きましょう、貴方はお父様を如何思っているのですか』

『はっこれだから何も分かっていないと言うのですよ。いいですか私とカミツレは相棒です、つまり父と子という関係には留まらないのです。故により深い関係を取ったとしても問題はないのです』

『分別は必要です。相棒だから、そのような言葉に甘えて自分勝手に行動する、恥を知りなさい。もっと自重を覚える事を忠告します』

 

と喧嘩を始めてしまう二人の子供にカミツレは少し呆れつつも、何処か納得したような表情を浮かべた。自分と兄が喧嘩していた時に、両親が微笑ましく自分達を見守っていたのはこういう事なのかと納得出来てしまった。微笑ましくも嬉しくある、成程確かにこれは笑いが浮きあがって来る。

 

『ではカミツレに問いましょう!!カミツレ、私は貴方に迷惑を掛け続けていますがそんなに酷いですか!?』

「酷いな。前に勝手にノルマリセットさせられた上にキツくさせられた恨みは忘れないし、「タイプ・オーバー」の件についてもまだ許してないからな」

『あれぇぇぇぇぇぇぇっッッ!!!!???』

『貴方は自意識過剰です、カチドキ』

 

「いやぁここまで個性豊かに育ってくれてると束さんとしては感無量だなぁ」




妻「なんかゲームとかやってると思わずAI萌えに目覚めるときってありますよね」

私「超分かる。タイタンフォールのBTとかANUBISのADAとか筆頭だよね」

妻「コルタナは?」

私「ああっコルタナもだな」

妻「因みに私は貴方萌え♪」

私「採寸道具持ったまま近づくのやめてくれる?作られても着ないからね?」

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