IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第268話

『予定していた全工程のデータ収集を終了。これよりデータを送信を開始致します、お父様お疲れ様でした』

「いやぁ……空と飛ぶのと感覚が随分と違うな。あれが本当の活躍の場に近い形で動かす感覚って奴か……」

『実際の宇宙にはもっと面倒がつき物ですからね、今回の海の中はある意味楽ですから』

 

と戻ってきたカミツレはシーナから出て身体を伸ばしたりしながら、水中での操縦感覚に付いての感想を述べる。矢張り空で動くのとは全く違う、実際にISで戦う際の動きをもやってみたりもしたが……武器をその場に放置して武器を新たに展開して使用、その後に改めて持ち直す事が出来る。中々に面白い発想を行う事が出来た。確かに空では出来ない事だと納得が出来る動きが多くあった、いい勉強にもなった。

 

「だけどよ、深く潜れって言われた時には流石に肝が冷えたぞ……。確かに周囲の環境的には光もないから宇宙に近いといえば近いだろうな」

『周囲に何も光もない、あるのはただただ身体を凍て付かせるかのような水温と静寂な空間』

『改めて宇宙の怖さという物を少し実感したような気がしましたね』

「ああ。下手したら何処までも流されて孤独な死しかない宇宙、俺もシーナとカチドキの声がなかったら不安で堪らなかっただろうからな」

 

光もなく生き物の影もない、装甲に触れている海水とそれらによる水圧。それによって人間なんて生きてはいけない世界、そこにいるというのは恐ろしいまでのストレスを感じる事になる。カミツレでさえ二人がいなければ簡単にパニックを引き起こしていたことだろう。それらを聞きながらデータを見ている束は宇宙空間での操縦者のストレス軽減のための処置も必要になってくるのかと感じる。

 

「そうなると……想像以上にコア達との連携は大切だね。一人じゃないっていう安心感と実際に会話が出来て相手を確かめる事が出来る。これだけでもかなりの違いが出て来る筈……しかもISの場合はただの宇宙服と違って自在に動く事が出来るから、それ故の恐怖感も大きい」

「と、なると実際問題現状俺ぐらいじゃないんですか?」

「だね、条件達成に近い人はいるんだけどやっぱりそれでもまだまだなんだよね。一番達成に近いのは……ナターシャだね」

 

ISコアと直接意思疎通をするのは世界においてカミツレだけ。が、束は他のISコアも操縦者と意思疎通をする事を望んではいるが条件をクリアしないものばかり。ISを唯の兵器や道具としか見ない、自己権力の象徴として捉えている人間には絶対にコアは心を開かないし、許可なんてもってのほか。そんな中で一番近いと言えば、現IS学園実技担当教師でもあり『銀の福音』の操縦者であるナターシャ・ファイルスになる。

 

言葉すら交わさないが、互いの感情を読み取る事は出来るようで№451は是非とも言葉を交わしたいと願っているとの事。

 

「それなら許可を出してあげればいいんじゃないですか?」

「いやね、束さんもそう思ったんだけどそれじゃ駄目って言うのさ」

「どういうことですか?」

「№451としては……自分とナターシャの努力の結晶の結果として、何時か束さんの許可を得たいんだって。今はその時じゃないんだって、まあ詰る所今の状態で許可されるなんて納得出来ないって事だね」

 

なんとも意固地というか意思の強いコンビだ、納得が行かないからなんて理由を出されては束としてならどんな状態なら納得行くのが興味がわいてしまう。結果として今も待ち続けている、ということらしい。

 

「やれやれ我が子ながら頑固なものだよ」

「それにしちゃ嬉しそうですけど?」

「アッハハハハッ!!!だってさ、子供がバシッと道を定めてるんだよ?しかも束さんの為でもある、これを喜ばないなんて親じゃないよ!!」

「確かに」

 

そう言っている最中にデータの送信が完了したのか、束はそれらをチェックしながらそれらの解析へと入っていく。深海でのデータも取られているのでそれらは非常に興味深く価値があるものになっている。

 

「そう言えば……一夏は決まったんですかね、追加装備」

「あ~そう言えば……束さんも掛かりっきりになっちゃってたから忘れたな。コア達にサポートは任せてあるから大丈夫だとは思うけど、まあいっ君だし、何かあってもギャグ補正で大丈夫でしょ」

「アンタがそれを言うか……世界で一番破天荒な大天災が」

 

まあ確かに一夏なら大丈夫な気もするが……一応稼動テスト中にカチドキにコア・ネットワークの皆にフォローをするようには言ってあるので安心だとは思うのだが……一応コア達からすれば親戚に当たる訳なのだから。

 

『それはどうでしょうか』

「どういう事だよシーナ」

『コアの中ではお父様と彼の間では越えられない壁があり、優先すべきはお父様という事になっています。中には、お父様と一時期確執があった事を引きずっているコアもいるのでなんとも言えません。お父様の言葉なのでそれを軽く見る事はありえないとは思いますが』

「おいおい……今は別に俺はなんとも思ってないぞ」

『いえそうもいかないんですよ。当時からカミツレと彼はコアの間でも注目されていました、千冬さんの弟と貴方とではどちらを支持するべきなのかと論争も度々ありましたから』

 

そんな事を言われると思わず不安になってきてしまう……本当に大丈夫なんだろうかと思って一夏に通信を繋いでみるのであった。

 

「おい一夏、そっちは如何だ?」

『―――おおカミツレ、いやぁさ……実は俺ある事に辿り着いたんだ』

「ある事?」

『ああっ―――俺さ、雪片を変えたいと思うんだ』

「はっ?」




妻「コア内での男性操縦者論争、そんな物もあるのか」

私「人格があるんだから好みとかもあるだろうからね」

妻「でもこれ、一夏がカミツレを嫌っていて態度とか行動があれだったら相当やばいですよね」

私「だね、今でこそ仲はいいけど。そして、私達も夫婦だけど無理矢理コスプレさせようとするのはやめようね」

妻「えっ~折角新調したエレシュキガル衣装なのに~」

私「だからにじり寄る前に許可を取れと言うとるんだ」

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