「№001……か、なんで呼べば良いかな?」
『お好きなように呼んでくださって構わぬぞ、なんなら呼び易いようにこのように姿でも変えようかの』
そう言いながら目の前の、暗黒の中に浮かび上がっている姿が変化して行く。先程までの白いドレス姿からビジネススーツのような物へと変化して行き、何処か見覚えと親しみを覚える顔つきと身体つきへと変化して行く。と言うよりもそれをみてカミツレは誰に変化しようとしているのかがあっさりと分かったが、止める暇もないままそのまま変化が終了した。それは自分も良く知っている婚約者の一人である千冬の姿だった。
『これなら話しやすいのではないですかな?』
「余計に話しづらい、千冬さんに敬語使われるとか新鮮すぎてあれだよ」
『むうそうか、好きあっておる同士ならば喜ぶと思ったのだがそういう物ではないのだな』
「大切なのは外見じゃなくて内面だよ。そういう物なんだよ」
『それは申し訳ありませんでしたな。でも折角なのでこの姿を少々アレンジさせてもらうとしよう』
そのまま姿が変化して行く。何処か千冬に似たような顔つきのまま、先ほどの白いドレスを纏った姿へと戻っていった。人として明確な姿をしている方が話しやすいだろうと言う考えかららしい。まあ確かに表情まで白く、口元程度しか見えない物よりは安心して話す事が出来るだろう。
『では、どのような事を話しますかな』
「そうだな……まあと言ってもこれと言って何か聞きたい事はないんだけど、君からしたら俺はどんな風に見える?束さんの子供として俺はどんな風に映ってるのかな」
『ほう、これはこれは……随分な、事をお聞きしますな』
と思い切って聞いてみる事にした、ISコア達からしたら自分はどんな風に映っているのだろうか。それをある意味カチドキと同じくかなり近い距離から見ていた「白式」のコアだったら№001だからこそ尋ねてみたい。自分は本当にコア達に父親として認められているのだろうか、本当は束にはもっと素晴らしい男性の方が良いと思っているのではないだろうか。正直言って様々な不安があった、自分とていきなり500近い子供の親となったのだからその子供達にすかれるだろうかと言う不安もあったので、それらの意味も踏まえての問いだった。
№001は何時の間にか手に持っていた扇子で口元を隠すようにしながら考える仕草をする、確かに言葉遣いなども含めると何処か老成しているような印象を受ける。
『私からすれば父上は―――母上の運命に現れたお相手、と思いますな』
「―――ッ」
『父上は確かに始まりこそ唯の普通の人間だったでしょう、しかしそこから貴方は理不尽なほどに迫り来る運命から逃げずに立ち向かう事を選んだ。只管に努力による研鑽を重ね、自らの力でISコアとの意思疎通を認められた世界唯一の存在となっている。そしてそれは母上の心を射止めるまでになった、これを運命と呼ばずしてなんと呼んだら良いのでしょうね。私には他の言葉を見つけ出せませぬな。我々ISコアは、母上がお相手を見つけられた事を非常に喜ばしく思い、父上に感謝しか言葉に出来ない。それに―――』
「それに?」
『運命、そう捉えた方がとても魅力的で美しく、楽しいではありませぬか』
そう締めながら笑う彼女を見て、思わずカミツレは肩の荷が下りたような気分になった。自分は子供たちに父として思ってもらえている……心のどこかが温かくなってくるのを感じながら有難うと返すと、大した事は言っておらぬよ父上っと嬉しそうに返してくるのがまた可愛らしく思える。
「父親として、如何あれば良いのかって少し不安でもあったんだ。でもそれを聞けて肩が漸く楽になったよ」
『フフフッそれはそれは良い事で、この№001も父上のために何か出来た事を誇りに思いますぞ』
「いや助かったよ。カチドキに聞いてもよかったんだけどさ、こいつはなんか真面目に聞いてくれそうにないから」
『ちょっとカミツレアンタ失礼ですね!!?私だってね、真面目な話ならば確り受け答えしますよ!!』
「ならなんて答えるつもりだ」
『ああうん、良いお父様だと思いますよ』
「おいシーナ、お前もこいつ締めるのに協力してくれ。こいつの私物フォルダ全部削除してやる」
『了解しました』
『私も手伝いましょうぞ』
『あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"しまったつい間違えたぁぁぁああ!!!??』
とこんな所でカチドキに対する制裁が決定した所で、カミツレはもう一つ聞いてみたい事があったのであった。
『なんですかな、私の趣味ですか?』
「いやまあ確かに子供の趣味は興味あるけど……特に響鬼好きがいた事に感動を覚える」
『ムフフフッ流石父上は話が分かる、他のライダーとは違う大人独特の余裕とカッコ良さそして渋さ、そしてあの和テイスト……堪りませぬな』
「超分かる。ってそうじゃなかった……今回「白式」が大改修された事については如何思ってるのかなって思って」
『成程その案件ですな、ふむ良いと思っておりますぞ。寧ろ何で今までやらなかったと言いたい程ですな』
彼女からしたら、最初から機体は欠陥レベルの地雷。初心者にいきなり剣一本とか冗談抜きで頭可笑しいと思っていたとの事、なので今回の改修は彼女としても活躍出来るのと一夏に噛み合っているので大賛成との事。
『父上、恐らくこれからは他のコア達も話したいと来るかもしれませんので覚悟しておいた方が良いかもしれませぬぞ?』
「う~ん、覚悟って言い方はあれだな。子供と話すのは親として当然だし」
『ご立派な事で、しかし人数があれですのでこちらで幾らか人数を絞った上での雑談会という物を開くとしましょう』
「有難いなそれは、なんかごめんな」
『いえいえ、私も父上のお力になれて嬉しい限りでございますぞ♪』
『矢張りカミツレは誑しですか』
『お父様、カチドキがお父様の事を誑しと侮辱しております』
「よし削除決定な、ドライバーとかも絶対使わせん」
『いやああああああああああああああああ!!!!!!!!!』
妻「これ№001にモデルとかいるんですか?」
私「いや特には。強いて言うならスカサハの喋り方を参考したぐらい」
妻「にしても、コアにまで地雷扱いさせられる雪片弐型を搭載してた白式はやばいですね」
私「冗談抜きの産廃機体です」
妻「ならそのまま進化した原作の雪羅は?」
私「放射性廃棄物?」
妻「酷い、だけど擁護のしようがない」