IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第276話

宇宙空間活動仕様型ISのテストも順調に進んでいき、ラストとなった極限環境での耐久テストも恙無く終了してカミツレとしても肩の荷が下りたような気分であった。慣れないISの操縦というよりもある意味自分の身体でのテストともいえる事にカミツレも疲れを感じている。それでも束の夢に貢献できた事に関しては嬉しく思っているので、別段苦とも思っていない。強いていうのであれば……

 

「いかん、まだ乗ってる時の感覚が抜けきってない。無意識に視界端の文字を拡大しようとしてた」

「う~んこれはこれで改善点だな~、何か考えとかないと」

 

シーナに乗っている時の感覚が抜けきっていないのか、ついついハイパーセンサーが未だに視覚とリンクしているつもりで拡大をしようとしたり真上や真下が見えないことに疑問を思ったりしてしまった事位だろう。神経接続などを行って自分の身体としてISを動かすゆえの弊害という奴だろう。こればっかりは慣れか対策を講じて貰うしかないだろう、カミツレは目を閉じて意識を集中して、もうシーナには乗っていないと強く意識する事で何とかそれをかき消す事が出来たものの、長期間乗っていたらある種の依存が生まれないか不安になるのであった。

 

「う~んでもこれはこれで興味深いデータになってるんだよなぁ、有難うねカッ君」

「如何致しまして、この位なんともないですよ。それで一夏の奴はどうしてます、順調に調整の方は進んだんですか?」

「そっちも恙無く進んだよ、細かい部分の調整とか大変だったよ。あそこまで展開装甲の機構をフル活用した武器とか初めて作ったからね」

「思ったんですけど……あの斬艦刀って普通の操縦者相手に使っちゃって大丈夫なんですか?」

 

一夏の剛の剣は唯でさえ重くとんでもない威力になる、それこそ「零落白夜」いらずな一撃必殺の攻撃を通常攻撃で行ってくるような物。火力全振りという言葉だけでは済まさない、まだ体得して間もない時ですらラウラのワイヤーブレードを切断するという事をやらかしている。雪片が剛の剣と相性が悪いにも拘らずあの火力を叩きだせるのである、それが剛の剣と相性ベストマッチな剣を与えられた一夏が剣を振ったらどんな破壊力になるのだろうか……想像も出来ない。

 

「ある意味、零落を使うよりも酷い事になりそうな気がしますけど……」

「あ~成程そういう事ね。まあ確かに通常モードならいざ知らず、マキシマムモードでやったらぶっちゃけやばいね。「零落白夜」とは別の意味で絶対防御を貫通するだろうね」

 

「零落白夜」はISが展開しているSEによるバリアを切り裂き、絶対防御を攻撃する事で大きなダメージを与える事が出来る物、出力制限さえしなければISを両断することも出来る程の能力がある。しかし、新たな剣である「雪片夏之型」のマキシマムと一夏の剛剣の組み合わせはとんでもないレベルでやばい。正直言って、千冬とはベクトルが違うが結果としては同レベルでやばい。

 

まず一夏の剛の剣は「雪片弐型」との相性が悪かった関係で真価を発揮出来ていなかった。しかし「夏之型」では完全発揮出来るようになっていて、とんでもない破壊力を出せるようになっている。そして、これに「雪片夏之型」の究極の姿である通称、斬艦刀モードとも呼ばれているマキシマムモードで剛の剣が使用されると……純粋な実体剣ではある物の、その圧倒的な威力が一気に倍増されていき、バリアを文字通り粉砕した上で絶対防御を揺るがすというとんでもない事象が発生する。

 

「……えっそれ相当やばくないですか」

「くっそやばいよ。一応絶対防御と操縦者保護機構の緊急モードで操縦者は守る事が出来るけど、命中時の威力とか衝撃でISは大ダメージは必死。多分……一撃でSEを最低でも6~7割削る」

「……やばすぎて草も生えませんよ」

「でしょ。だから今さっき全てのコアに対して絶対防御と操縦者保護機構のアップデートデータを送っておいたよ、これで取り敢えず大丈夫だろうけど……まさかいっ君の剣があそこまでやばいとは思わなかったよ……」

 

束ですら予想だにしなかった一夏の一撃の破壊力、なので斬艦刀モードは簡単には使わない事や制約などを課してそう簡単には使えないように設定はして置いたので大丈夫だとは思うが……絶対防御と保護機構の更新がなかった場合に何が起こるかなんて考えたくもない。一夏も束に説明されてその危険性を理解したのか、使う事を自重する事にしたとの事。

 

「取り敢えず、マキシマムの他にハーフモードを追加しといたよ。半分までなら何とか競技でも使用出来るからね、それでも威力とんでもないけど」

「あいつ、ある意味俺より規格外になってませんか?」

「だよね~……でもさ、こう言われたら納得しない?しょうがないよ、だってち~ちゃんの弟だもん」

「不思議、凄い納得出来ちゃった」

 

卓越した技術で世界を征し、圧倒的な頂点へと上り詰めた千冬。一方一夏は圧倒的な力によって相手をねじ伏せる戦法を確立させてしまった、なんというか……この姉弟色んな意味で似ている。

 

「というか、零落って今のあいつに必要あるんですか?」

「……ぶっちゃけいらんかもしれないね」

「今からでも単一仕様能力がポケモンで言うところの"みねうち"にならねぇかな……」

「だとしても、馬鹿でかい剣振り下ろされる事には変わりないからね?いっ君にはセーフティシステムでも組んであげた方がいいかも……」




妻「まさかの一夏が規格外……!!?」

私「原作からしたら考えにくいけど、あの千冬さんの弟だからね」

妻「そう言い直されたら納得出来るのが怖いです」

私「大丈夫私も怖い」

妻・私「「これから一夏は何処に向かうんだ……」」

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