IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第284話

「私との再戦、成程。本人は納得しているがコアとしては再戦して自分の相棒が強いという事を証明したいわけだな」

「そういう訳です。多分ヨランドさんに話したら普通に挑んできそうですけど……そうなったら千冬さんは如何します?」

「そうだな、私に対してメリットがあるならやってもやっても良いだろうな。例えば、勝った方がカミツレを一日好きにしても良い権利とかあったら是が非でもやるぞ」

「どのイマジンですか貴方は……んな事でやる気出さないでください」

 

その日の夕食時、食堂で取る予定だったのが千冬から豪華料理も良いがやっぱりカミツレの手料理が一番口に合っているから食べたいと言う要望が飛んできたので急遽夕食を作る事になった。食べるのは他にもセシリアと乱も同席している。束も同席すると思っていたのだが、何やらシーナ関係でやっておきたい事があるといって辞退された。そして料理をしようとしたカミツレだったが此処には実家の野菜がないと思ったのだが、如何やら束が個人的に買っていたらしくそれらを提供して貰って夕食を作った。そんな中でセシリアとヨランドの意思疎通条件の話になっていた。

 

「それにしても、条件を追加されるという事もあるのですね……。私のも追加される事があるのでしょうか……?」

「いや、№303はそのままで固定で行くんだってさ。是非セシリアを応援してあげてくださいって頼まれちゃったよ」

「むぅぅぅっ……」

「それで何で(こいつ)はずっと仏性面なのだ」

 

先程からずっと渋い顔の仏性面を作り続けている乱に疑問を思った千冬、それについては束からカミツレは聞いているらしく答えた。訓練を今まで以上に真面目且つ真剣に行っていたのにも拘らず、機体稼働率が上がる所かMAXレコードから数%落ち込んだ位置で微動だにしなかったので納得が行っていないらしい。

 

「どうせ身体に力が入りすぎていたとかだろ、私にも覚えがある。ある程度力を抜いて訓練に望んだ方が良い結果は出るという物だ。全力を出すなんて一瞬で良い、大切なのはそれを如何に一瞬の後に再び行う一瞬までの間を切り詰めて、続いているかのように見せる事だ」

「ヨランドさんの全力弾幕を真正面からぶった切って進んだ人がいうと説得力ありますね」

「ホントですわね」

「ハッハッハッ、褒めて何も出んぞ」

 

そんな風に機嫌良さそうにしている千冬、その理由はカミツレの料理が今日も美味しいのがあるからだ。千冬にそんな風にいわれるが、乱は頬を膨らませてそれでも自分は出来る限り頑張ったのに全く変動しなかった何処か、MAXより低い結果しか出せなかった事が不満でしかなかった。

 

「だって千冬さんアタシの相棒、すっごい失礼なんですよ!!?―――どうせ貴方程度には達成出来ないでしょうね。まあ出来たら褒めて上げるついでに疎通してあげますよ―――なんて言いやがるですよ!?これが頭に来ない訳ないですよっ全く失礼しちゃうわよ!!!アンタがアタシの何を知ってるっつうのよ!!」

「乱さんを完全に子供扱いしているような感じですわね……」

「だな。私もそんな言い回しを一夏にした事があったからなんだか既視感がある」

 

怒っている乱だが、恐らく№163は家族の次ぐらいに彼女を理解しているのだろう。連れ添った時間としては親しい友人といった所だろうが共に戦ってきた経験に様々な彼女を見てきている、そんなコアは乱が思っている以上に自分の事を理解してくれている。理解が深いというのは非常に大きな要因にもなって行く、それを大切にしていってくれる事を願う。

 

「まあまあ、それは嫌味じゃなくてからかってるだけなんだから良いじゃないか。言うなれば姉が下に向けるそれと同じなんだから」

「それはそれでなんか、ムカつきますよ!!何よ、鈴姉みたいに子供扱いしやがってこのコアが……何時か吠え面かかせてやるわ……」

「まあやる気があるようで何よりだ。兎にも角にもやる気がなければ何も進展しないからな」

「そうですわね、私も稼働率70%を目指さなければ……!!」

 

努力を積まなければならないのはセシリアも同じ、しかしコアの相性でいえば等倍である乱よりも上である為に稼働率は上げやすい。セシリアは間違いなく近々コアとの意思疎通を可能にするまでになる事だろう。そんな中で千冬はエビフライを見ながらある事を呟く。

 

「しかし、今のコア達の殆どは操縦者達を余りよく思っていないという事か……。相性が普通である乱のような操縦者でさえ少ない。セシリアやヨランドのように相性が良い操縦者など更に限定的か」

「ISコア達からしたら自分達を勝手に自分の力の象徴とかに考えてる連中とかは大嫌いなんですよ」

「そう言えば……以前何処かで元々は普通の考えでしたのに、ISに乗っているうちに女尊男卑思想になった操縦者がある時を境に一気に稼働率が落ち込んだという話を聞いた事がありますわ」

「あっそれアタシも知ってる。凄い機動性重視だったのに身体が全然動かなくなったから、砲撃主体にスタイル変えたって奴よね」

「ああっあれか。という事はそれも相性的には普通だった、しかしコアにとって嫌いなタイプになったから相性が落ち込んでしまったのか」

「そういうことです」

 

コアには人格があり、それぞれの性格があって好き嫌いもある。何も嫌いな相手をずっと乗せたくもないし協力的にもなりたくもない。だからこそ稼働率が一気に落ち込んでしまってカタログスペックすら満足に発揮出来なくなってしまったという話も存在している。

 

「それ考えるとある意味カミツレさん最強ですよね、カチドキと相性がベストマッチですもん」

「如何なる時でも最大限の力を発揮出来る状態にある、それだけでも十分過ぎる物だからな」

「流石は全てのコアの父……」

「まあこいつと喧嘩したらどうなるか分からないけどね」




妻「この世界観だと本当にコアとの相性が操縦にも密接に関わってくるんですね」

私「そうだね。稼働率はエヴァのシンクロ率、に置き換えて見ると分かりやすいかもね」

妻「一瞬、ファフナーかと思いましたけどちょっと違いますもんね」

私「あれは似てるけど違うからなぁ」

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