「いやぁ大迫力のヒーローショーだったわね、まさか敵側の魔進チェイサーの中からチェイサーが簪を助け出すなんてビックリ仰天よ」
「ええっ私も仮面ライダーと言う物はよく分からなかったのですが、兎に角熱くて面白いと思いましたわ。特にあのアクションはISの近接戦闘にも応用が利きそうでこれは参考の為にも本編視聴をしたいですわね」
「なんかもうヒーローショーって範疇を完全にオーバーしている気がしたけどね俺は……だってあれ明らかにISとしての装備フル活用してたよね」
「まあそこは……」
「た、束さんの島ですし……」
「それで納得出来ちゃうからやっぱあの人卑怯だわ」
ヒーローショーの見学も終わった3人は再び買い物を再開するのだが話の内容は矢張りというべきか先ほどのライダーヒーローショーであった。ヒーローショーにはドライブ、アギト、キバという統一性のないチョイスのライダー達が登場して演出マシマシ、ISの装備をフル活用したショーが繰り広げられていた。此処が束保有の島だからこそ出来るフリーダムさがそこにあった。
「というかカチドキ、お前の発案だろ確実に。洗脳されている振りを魔進チェイサーでして、人質を助けるタイミングになったらチェイサーに変身するって言うのは」
『あっバレました?』
「あったり前だ、この前散々チェイサー初変身時のカッコ良さをスレで語ってたからな」
そのヒーローショーを行っていたのは当然と言うべきか、カチドキに加えて№303と№163。即ちこの場の三人の相棒がやっていた事になる。本当に何をやっているのか……まあ肝心の簪はチェイサーにお姫様抱っこされて救出されたので凄まじく目を輝かせて感動していたのだが……まあ気持ちは分からなくもないと思うカミツレであった。
「はぁっ……自重はしろよ?」
『大丈夫です。あれでも十分自重してますから』
「ラストの全ライダーからライダーキック総攻撃に説得力を感じねぇよ」
しかもキバのウェイクアップに合わせて周囲のライトが落ちて映像投影で態々満月を映し出すと言う徹底振りまで行っているのだから、もう自重する気0である。まあ何かあったら自分が叱ればいいかと思ってもう放置する事にする。一々突っ込むよりも最後に全体的に突っ込んだ方が楽だし。
「もうちょっとマシな店ってないのかな……?」
「う、う~ん……なんかコア達の趣味全開な場所が主ですもんねぇ……」
「喫茶店・ミルクディッパーもまともそうですが……」
「あっそこもライダー系だけど……他よりもマシ、なのか?」
「ふふ~ん、ランランランラ~ン♪」
「随分上機嫌だな束」
「そりゃそうだよ。カッ君のお陰で宇宙空間活動仕様型インフィニット・ストラトスのセカンド・フェイズが見えて来てるんだからそりゃ気分もいいよ」
カミツレがセシリアと乱とのデートを楽しんでいる頃の事、島の中央部の地下に存在する束の研究施設には大型の投影モニターに向かいながら投影キーボートを叩き続けている束を後ろから見守っている千冬の姿があった。こうしてこの二人が二人だけでいるのも随分と久しぶりの事なのか、随分と懐かしそうにしている。
「それで宇宙活動仕様型の進捗はどんな物なのだ」
「初号機のシーナの段階でも十分なぐらいに宇宙空間での活動には支障は出ないだろうね、それでもカッ君が取ってくれたデータとかを使って改良とか調整しておきたい部分がごまんと出て来たんだよねぇ」
今の段階でも宇宙の活動には支障はなく、十分過ぎるほどの動きはしてくれるだろうとデータとしては出ているが束としては修正して起きたい部分が多分にあった。
「本当の意味での操縦者とのシンクロ採用型だからね、降りた時にカッ君が無意識な内に文字を拡大しようとしちゃったって言ってたから搭乗者が降りた時に意識の切り替えが出来る設定もしておかなきゃいけないからねぇ」
「シンクロ採用型か、それもまた今の社会を十分に揺るがす技術だろうな。ISと人間のシンクロなど今以上の物など難しいと言うのが通説だからな」
「それは単純に研究不足なだけだよ、あいつら束さんの技術を応用発展させる気が全然無いんだもん。やってるのはリオっち位だよ」
現状としてISを動かしていく際の稼働率、それはISと操縦者がどれほどまでにシンクロ出来ているかを示す物にもなっているがそれらを改善しようとせずにそのままの設定で行っているのが今の世の中。束としてはやりにくいなら自分で変えてみるという気が無い世の中に対してどんだけ自分におんぶに抱っこなつもりなのだと少し呆れている部分がある。
「それよりさ、ち~ちゃん束さんに何の用があるの?態々コア・ネットワークを通じてアポを取って来るなんて珍しいじゃん」
「毎回毎回唐突に現れるお前より遥かにマシだ。何、話と言うのは単純だ。束―――お前に頼みがある」
「ち~ちゃんが直接するお願いね、もしかして―――」
「ああ。私の機体、暮桜に付いての事だ。ヨランドとの再戦、その為に力を貸してくれ」
「ふむ……いいねぇその目、久しぶりに見たよち~ちゃんのギラついた鋭い目、いいよ。力を―――貸してあげるよ」
妻「安定のコア達の暴走」
私「ある種正常の範囲内の暴走だからまだOK」
妻「なら私のもまだ正常の範囲内ですね」
私「君のはアウト」