IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第290話

「いやぁあっという間の臨海学校でしたねぇ……」

「今の内に予言しておいてやる、3年の時にも絶対それ言うからな」

「カミツレ妙に達観してねぇか?」

「IS学園で生活してて達観しないわけねぇだろ」

「あっうん、そうですね」

 

遠めに遠ざかっていく束の島、1週間の臨海学校も終わりを告げてこれから学園へと向けて帰る所なのである。この臨海学校は一夏にとっても、カミツレにとっても有意義でとても意味がある時間となっている。特に一夏なんて機体の大幅な強化と改修がされているので得る物は相当に大きかったはず。恐らくこの臨海学校でそれが顕著になったことだろう。

 

「カミツレ、今度試合頼むぜ!!今の白式でどれだけ戦えるか確かめたいんだよ!!」

「えぇっ~……ぶっちゃけ、俺お前とやりたくないんだけど……。今のお前とやる程俺は自殺志願者じゃねぇよ」

「えぇっ~なんでだよ~!!」

「誰が通常攻撃で絶対防御発動する化け物とまともにやりあうかってんだ」

 

学園へと向かっている船の上でカミツレは一夏からの試合の要請を軽く蹴った。絶対的に嫌という訳ではないのだが機体セッティングに慣れてない今の一夏では不意に全力で攻撃を放って此方が大怪我を負いかけないので出来る事ならば遠慮したいと言うのが本音なのである。

 

「なんだよ折角強くなった俺を見せ付けてやろうかと思ったのにさ!!」

「よし、それなら『極ドライブ』をフル活用した中遠距離攻撃のフルコースを味合わせてやろう。まだ射撃武器の訓練もまともにつんでないお前なんぞじゃ対処しきれない弾幕って奴を味合わせてやろう」

「すいません調子に乗りましたマジで勘弁してください」

 

瞬時に背後に数歩飛びながらのバックスライディング土下座をする一夏に呆れの視線を送るが分かれば宜しいと返す。が、真面目な話をすれば一夏の相手をするとなれば機体性能やらを考えるとやっぱり自分が一番適任という事になるのだろう、付き合いも長い上に二次移行も単一仕様能力も覚醒している自分ならばなんとか一夏の剛の剣もなんとか受け止められるかもしれないのだから。

 

「というかよ、それだったら鈴に相手してもらえばいいだろうに。ハッキリ言って近接アタッカーからしたら鈴ほどの天敵は居ないだろ」

「あ~……確かに「超速零速」は俺の剛の剣としても超天敵なのか……」

「何よ、なんかアタシの事呼んだかしら?」

 

そんな話をしていると抹茶と葡萄味のミックスソフトクリームを食べながら鈴がやってくるのであった。

 

「おおっ鈴ちょうど良い所に!!学園に戻ったらさ、俺の相手してくれないか?」

「まあそりゃ構わないけど、いきなり如何したのよ」

「束さんに白式の大改修を頼んでな、その結果こいつが化け物になった」

「えっ如何言う事よそれ」

 

事情を一切知らない鈴に一夏が自分の戦闘スタイルにおいて如何に雪片が邪魔であったか、そしてそれを削除して各部に調整と言うなの大改修をした結果として生まれた新しい白式と一夏が嚙み合った結果の事を話すと鈴はああっ~っと納得したような呆れたような表情を作りながら確かにカミツレが戦いたくないと言うのも頷けた。

 

「成程ねぇ……そりゃやりたくないでしょうね。というか、一夏アンタ何時から薩摩隼人になった訳?目指すは二の太刀いらずな訳?」

「いや、俺別に示現流を体得した覚えないんだけど……」

「似たようなもんだ馬鹿」

「まあいいわ、そういう事ならこの鈴ちゃんが相手してあげようじゃないのよ。どれぐらい強くなったのか見てあげるわよ」

 

自信たっぷりにしながら鈴は喜んでそれを受け入れた。彼女としても戦ってみたいと言うのもあるのだろう、それに本当に鈴の「超速零速」は近接殺し。まともに一太刀すらいれる事すら困難になってしまう、勝つと言う自信もあるのだろう。

 

「しゃあぁっ流石鈴話が分かるぜ!!カミツレとは違うな!!」

「あ"っ?お前今この場でスピードロップの刑に処してもいいんだぞごら」

「マジすいませんでした調子乗りました……」

「アンタらって本当に力関係が分かりやすいわよね」

 

友人同士のようにも見えるのだが、その実は義兄と義弟。一夏から見たら姉の婚約者であり、自分の婚約者の姉の婚約者。カミツレから見たら婚約者の弟、もう一人の婚約者の妹の婚約者というなんだかややこしい関係にある。まあ一夏の方が間違いなく関係的には下であると言うのは恐らく未来永劫変わる事はないだろう。

 

「あっそうだ、一夏アンタさ射撃武器いれたなら色々と立ち回りとか修正しながらいかなきゃ駄目よ。というか今までの剣オンリーの立ち回りがある意味可笑しかったんだから」

「うんそれは分かってる。今思うと本当に初心者に高燃費で剣一本だけって頭可笑しいよな」

「その上で更に燃費悪くしてロマン砲装備なんかしたら目も当てられないよな」

「何よそれ、馬鹿通り過ぎて唯の阿呆じゃないの」

 

別次元の誰かしらがくしゃみをする。

 

「あっそうだ、一夏ちょっと確認したい事あるんだけど」

「何俺のスリーサイズ?」

「殴るわよ、何時試合をやるかって事よ。というか男のスリーサイズ聞く女が何処にいるのよ!!!??」

「俺ヨランドさんに聞かれたけど」

「……相談、乗るわよ?」

「なんで哀れみの視線を向けられた!!?」




妻「男性に普通にスリーサイズなんて聞きませんよね」

私「おう鏡見ていえや」

妻「失礼な私は聞いた事などありませんわ!!」

私「おうそうだな、メジャー持ってにじり寄って来てそのまま計測する君はいう事が違うな」

妻「身に覚えがありませんわ」

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