IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第6章~世界へと見せつけろ編~
第294話


「まあという訳で出発する訳ですが……全員忘れ物はないでしょうね」

「大丈夫だカミツレ、千冬姉の荷物も俺がちゃんとチェックしたからな!!」

「うむ大丈夫だ兄さん。変身ベルト一式や着替えなども準備OKだ!!」

「うん、なんで一番最初にライダー系を上げたのか理解出来ないけど準備出来たのは理解出来たよ」

 

夏休みに入ってから遂にカミツレが実家へと帰る日がやって来た。その日はセシリア、乱、千冬、一夏、マドカと帰る為に日程調整しているのでやや出発は遅くなったのだが、カミツレとしては去年の里帰りにはかなりの時間が掛かったので、それに比べて早く帰れる事になっているのだから特に気にはしてない。

 

「此方も大丈夫ですわカミツレさん、早速空港まで行きましょう」

「う~んいよいよイギリスかぁ~……カミツレさんとの事もあってイギリスとの関係の為にも気合入れていかないとね!!」

「あっそっか、乱さんは台湾の代表候補生だからその辺りも気を付ける必要があるのか……。俺もどうしようかな……なんかもうイギリスで良いような気がして来たぜ俺」

 

この中で唯一の代表候補生ではない一夏が思わずそんな事を言い出す。正直それは政治的には難しくなるかもしれないが、その辺りはイギリス政府の努力やリチャードに頼んでしまえば何とかなってしまいそうな気もする。必要な時は交流として国外派遣を認めるとかになればいける気もするが最終的にはもう束に全て任せてしまえば何とかなりそうな気もする。

 

「まあそれも一つの選択肢として考えておけ、私としてはお前もイギリスに行けば気が楽だし私もイギリスに行く口実の一つになるしな」

「おいおい俺は理由付けかよ千冬姉……」

「まあ姉さんにとっては一番大切なのは兄さんだ、諦めろ一兄貴」

「分かってるけどよ……というかよマドカ。その一兄貴って止めてくんね、なんか一市民の亜種みたいで嫌だぞ俺」

 

最近マドカは一夏の呼び方を変えていた。一夏の成長などを考慮しつつ今日までに一度、強化改修された白式と戦ったのだが結果はマドカの勝利に終わった。しかし内容としてはかなり追い詰められてからの逆転勝利に等しかった。まだ以前の白式の対戦感覚が残っていたのもあるだろうが、一夏の一撃の重さが影響しているのは明らかであった。

 

「だが断る。この杉山 マドカの好きな事の内の一つ、YESと言える事を敢てNOと答えて相手の期待を裏切る事!!!」

「趣味悪すぎんだろ!!?おいカミツレお前の妹がなんか悪い趣味を覚えてるぞ!!」

「平常運行だろ」

「さすが兄さんは分かってる、それに比べて一兄貴は……」

「いやそこで侮蔑の視線は可笑しい」

 

そんな風なコント染みた一幕がありながらも、束が手配してくれた自動車に乗り込んでいくのであった。因みにこの自動車も束製で通常では考えられない性能などをしている、制御はコア・ネットワークが管理しているので万が一の事故もありえない安全運転で進行していく。そしてあっという間に空港へと到着すると束製の航空機へと乗り込んでいくのであった。

 

「これも束製だと聞いているが……まあ性能面は色んな意味で安心出来るんだがやりすぎてないだろうな」

「あ~うん、その心配は多分無意味だと思います」

「矢張りか……まあこの際安全にイギリスまで飛んで貰えればもうなんでも良い」

 

と若干投げやりな千冬だが彼女としても束のやり口やパターンは知り尽くしているので、ある種当然のような反応しか出来なくなっている。身体を沈めるように椅子へと座り込むと同時に窓際からドリンクが飛び出してくる。

 

「おっ気が利いているな。中身は……おおっビールではないか!!ツマミはないか!!」

 

そういうと即座にチーズやら裂きイカなどの酒のツマミがやってきて千冬は笑顔を作りながらそれを食べながら一杯やるのであった。

 

「千冬さんいきなりお酒ですの?イギリスまで12時間のフライトだというのに、流石に気が早すぎませんか?」

「何そう硬い事を言うなセシリア、それにこのビールの味からしてきっとノンアルコールだ」

「そういうのって、味だけで分かる物でしたっけ……?」

「私の舌を舐めて貰っては困るな」

 

と其処で無駄にイケメンでカッコいいドヤ顔を浮かべる千冬にカミツレと一夏が深い深い溜息を吐いた。まあノンアルコールなのだから許すべきなのだろうが、この中で唯一の年長者で自分達の保護者的な立場で共にイギリスへといくのだからもっと確りとして欲しい物だ。

 

「そう言えばさカミツレ、イギリスには当然かずみんさんと愛理さんがいる訳だよな?」

「そりゃな」

「カミツレのご家族って他に誰がいるんだ?他に兄弟とかいるのか、マドカ以外に」

「いやいないな。居るのは俺の父さんにお爺ちゃん位だな」

 

義兄となるカミツレの家族は以前愛理が言ってくれたように自分の家族にもなる、どんな風に呼べばいいのかと思っているらしく戸惑っている一夏に適当に呼んでおけと言っておく。

 

「時にカミツレ、お前のお爺様は酒豪だと聞いたか本当か」

「ええまあそうですね。平気で日本酒を一瓶飲み干しますし」

「ほほう……?それは是非とも飲み比べをせんとなぁ……!!!」

「あ~あ……これはツマミを作るのが大変なパターンですね、おい一夏手伝えよ」

「いやまあいいけどさ……そんなにすげぇのカミツレの爺ちゃん」

「ああ。米俵を担いでダッシュ出来る程度には」

「何それ怖い」




私「二回目の帰省編、多分実家での日々だけじゃなくて研究所もいれるから相当濃くなるんじゃないかな」

妻「今までだって十分濃いですから大丈夫ですよ。これを読んで下さってる皆様なら着いてこられますよ」

私「初見さんとかどうするんだよ」

妻「初見さんがいきなり最新話って読むんですかね?」

私「一理ある」

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