IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第296話

「さて見えてきたぞ、此処が新・俺達の杉山ファームだっ!!」

 

リムジンで揺られながらその間はかずみんから様々な事を聞かれながらも過ごしていると遂にイギリスにおける杉山ファームがいよいよ見えてきたらしい。窓の方を見てみると其処に広がっているのは大規模な放牧地帯が広がっている、一瞬違うのかと思ったが以前酪農なども始めてみるかと言っていた事を思い出して思わず兄の方を見てみると唯無言でサムズアップを返されて全てを察するのであった。本当に此処が自分の新しい実家なんだと……。

 

「さて着いたぞ」

「此処が俺の新しい家か……」

 

漸く到着した新しい家。ハッキリ言ってしまうと家はとんでもない大豪邸なんじゃないかと覚悟をしていた、アニメの大金持ちなんかが持っている豪邸に噴水や庭園なんかが家の回りに整備されているんじゃないかと思ったりもしていたのだが……元々住んでいた家の2階部分を広げたり一部が大きくなっている程度の物だった。大金持ちの豪邸とは言えないが一般的な人にとっては十分な豪邸になっている。

 

「なんというか、ちょっと意外だな」

「アタシも。イギリスから凄い支援とか補助とか受けてそうだから凄い豪邸になるかと思ってた」

「ああっ最初はその予定だったけど家の爺ちゃんがやめさせたんだよ」

 

一夏と乱の言葉に一部同意しながらもかずみんは何故こういう家になっているのかを告げる。祖父の白鯨曰く、こんな家だと寛げないし俺達に召使なんかもいらない。てめぇの事はてめぇでやるからそれなりのでかさで頼むっと言ったらしい。正直白鯨の言葉には大いに賛同できるし祖父らしい言葉でもある。そんな事を思っているとさっさと中に入ろうと言われて中へと入っていくとカミツレは真っ先にあることを思った。

 

「あれ、なんか前の家に似てる?」

「あっやっぱり直ぐに分かるよな」

 

去年の夏に帰った家に酷く似ている感覚がするというよりも殆ど同じような感じがする。玄関だけだと全く同じ家に帰って来たかのような感覚になってしまっていた。兄曰く、建築関連を担当したリチャードが経営している建設チームが元の実家を忠実に再現してくれているようで家がそのまま引っ越したかのような感覚で住む事が出来るとの事。

 

「にしても、これは似せすぎじゃねぇか……?」

「確かにこれは……以前お邪魔したカミツレさんのご実家とそっくりですわ……」

「うん、一瞬ここイギリスだよね?って思っちゃったもん」

「それほどなのか……」

「なんかチームリーダーのおっさんは日本家屋を一度で良いから設計してみたかったから本当に楽しく仕事させていただきましたって言ってたぞ」

 

そのまま上がっていくが本当に実家そのままである。変わっているのは増築されている部分のみでそれ以外は出来るだけ元の家を再現しているらしい、増築した部分も態々日本から人を招いて日本の建築技術をその場で勉強させてもらいながら作業を行ったらしいのである意味此処はイギリスの中にある日本の杉山家と言っても過言ではないらしい。そんな風に思っていると廊下を走ってくる音が聞こえてくる。

 

「やぁ~んカミツレェ~!!!本当に久しぶり~!!!」

「やっぱり母さんかぁッ~!!」

 

と押し倒す勢いで抱き着いてくる人影を必死に受け止めながら踏ん張ったカミツレ、抱き着いてきたのは予想通りの人物の愛理であった。此処までかずみんがどれだけ母が今日と言う日を楽しみにしていたのかは聞かされているので母のテンションが天元突破しかけているのはよく理解していたので構えていてある意味正解だった。

 

「あぁぁんもう本当に久しぶり~!!もうお母さんってば貴方に会えなくて寂しかったのよ~!!」

「毎週メールとかはしてただろ!?」

「それじゃあ駄目よ、お母さんはカミツレと触れ合って摂取出来るムスコニウムverカミツレがないとテンション下がっちゃうもの~という訳で早速摂取~♪」

 

強く強くカミツレを抱き締める愛理は至福と言っても過言ではないような恍惚とした表情をしている。それだけでセシリア達はカミツレは母親に心から愛されていると言う事がよく分かる瞬間だった。そんな愛理はセシリア達に気付くと益々嬉しそうに笑顔を作って笑いかけた。

 

「セシリアちゃんに乱ちゃん、それに千冬さんまで!!あらあらこれで束ちゃんとヨランドさんがいればカミツレのお嫁さん全員大集合ね!!一夏くんもよく来てくれたわ!!」

「はいっお母様、来ちゃいました」

「やっはろ~です愛理さん。お世話になっちゃいますね!」

「お久しぶりです、暫しの間お世話になりますね」

「え、えっとただいまでいいのかな……兎に角元気そうでよかったです愛理さん」

「そうね、マドっちもお帰りね」

「はいっ嬉しい恥ずかしながら帰ってまいりました!!」

「や~ん娘も最高~!!」

 

そう言って皆を抱き締めて回って行く愛理、もうテンションは完全に限界を突破していることだろう。カミツレだけでもテンションが凄い事になるのに将来的な家族が大勢来てくれたなんて事になれば愛理のテンションは更に凄い事になるだろう。

 

「さてとそれじゃあみんなお腹すいてるでしょ!!腕によりを掛けてご飯作ってるから食べて頂戴ね!!」

「作ってる……って事は……」

「覚悟しとけカミツレ、マジでやべぇ量だから」

 

この後、皆全力で食べまくった。




私「映画見に行きたいマジで……」

妻「それじゃあ今度私と行きましょうよ」

私「おうっ行こう行こう!」

妻「その後は桜コス着て下さいね」

私「……やっぱ取り消し」

妻「利きません♪」

私「ウソダドンドコドーン!!!」

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