「グラララッ今日は実に酒が美味ぇ日だ。おい千冬さんおめぇも随分行ける口じゃねか」
「白鯨さんこそ。だが私とて酒豪として名が通っているのですからまだまだ潰れませんよ」
「こりゃ良い飲み相手が出来たぜ。仁志もそれなりには飲むんだがお前さんほどじゃねえからな」
「僕は時間を掛けてお酒の味を楽しんで行くタイプですからねぇ。量も楽しむお父さん程は飲めませんよ」
「やれやれっ次のお酌に回るとするか」
夜になると再び愛理が腕を振るった料理が大量に拵えられていくのであった。今回はカミツレの父である仁志がしっかりとアクセルとブレーキを握ってくれていたので前回ほどの量ではなかったので思わず胸を撫で下ろすのであった。矢張り大恋愛をした結果に結婚した間柄だけあって仁志は愛理の舵取りを取る事が出来るらしく千冬らはある意味理想的な夫婦関係だなと思うのであった。しかもその間は凄まじいほどにハートが飛び交っているのだから、カミツレやかずみんからしたら勘弁して欲しいのだが母の暴走を止めてくれているのだからこの位は我慢するとしよう。
「いやぁやっぱりうめぇな。愛理さんの料理の腕もいいんだろうけど野菜の鮮度と質が段違いだから凄い美味いな!そりゃ千冬姉も俺が作った料理食って腕が落ちたかって言うはずだよ」
「お前案外アレ根に持ってんだろ」
「そりゃお前……今まで俺がずっと千冬姉の料理とか弁当用意してたのにいきなり腕が落ちたか?なんて言われたら根にもつわ。まあだけどこれだけの差が有ったら認めるしかねぇよ」
「おう嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。こっちも食ってみろよ」
「……やばいなんか美味すぎて泣けてきたわ……」
千冬は白鯨と仁志と共にジョッキを傾けて酒を味わいながらカミツレの学園での活躍などを語っていた。酒豪で通っている彼女としても同レベルに飲める相手は希少である上に相手はカミツレの祖父と父、既に肩肘を張らないフランクな口調で楽しく飲めているのが嬉しそうである。学園ではナターシャ位ではあるが教職にあると言う事なので基本的に自重してしか飲まない。そんな酒飲み達にマドカはいそいそと酌をして回る。どうやら酌をする際の楽しさに目覚めたらしい。
一方一夏は同じく男であるカミツレとかずみんと共に席に着いて男同士の気軽な食事を楽しんでいた。IS学園では滅多に味わえない男だけの食事という事に口が思わず軽くなる。一夏とカミツレはよく一緒に食事はするがそれでも周囲は女子が多いので、話題はある程度自重しなければいけないので多少なりともストレスが溜まる。だが今回はそんな事気にしなくていいのである。これが楽しくないわけがない。
「でさその女子がなんていったと思う?―――胸の大きさ何て飾りなんです、私の魅力に掛かったら巨乳の魅力なんて感じなくなりますだってさ。そもそも胸の魅力で人間の魅力計ってる時点でアウトだろって突っ込んだら硬直してたわ」
「まあ箒が大きいからな……それでお前が巨乳好きと思われてるんじゃね?」
「いやまあ確かに箒は大きいけどさ、俺はそうだから惚れたって訳じゃないさ。俺は箒の全部に惚れてるんだよ」
「それってさ、つまり箒ちゃんの胸にも惚れてるんだろ?」
「……かずみんさん俺結構良い事言ったつもりなのにそりゃねぇよ……」
「でも事実だろ」
「……だって、男の、ロマンだし……」
「「否定はしない」」
とこんな風に男だからこその会話も平然としている。ある意味男だからこその会話にある種の癒しを感じる一夏とカミツレ、そしてそんな二人を見て本当に学園での生活が凄いストレスが掛かるんだなと理解して次の料理を薦めるかずみんであった。
「つぅかその台詞は間違いなくカミツレに向けて言うべきだろうが」
「んでだよ」
「おめぇの婚約者見れば当然だろ。まあ乱ちゃんは違うだろうけど」
「いやいやいやかずみんさん、カミツレの場合は年上だから」
「そっかそっちか」
「おうてめぇら纏めて表でろ」
何か侮辱されているような気がしたのかカミツレは額に青筋を作りながらにじり寄るのであった。一応弁護しておくと別段カミツレは年上好きと言う訳ではない。結果的に好きな人が年上が多いと言うだけである、どちらかと言えば当人が年上キラーなのが原因な気もするが……。
「んだよ事実じゃねぇかよ」
「そうだよ。実質的にセシリア達だって精神年齢的なこと考えたら確実に年上だから多分正解だぞ」
「なんか気に食わんから表出ろ。投げの鬼が地獄を見せてやる」
「まあまあ殺気立つなよカミツレ」
「うっせぇドルオタ」
若干口の悪くなっているカミツレに一夏は少々驚いている。これもきっと実家に居るからと言う安心感と嬉しさがあるからだろう。
「あ~もうなんでこんなに美味しいの!?アタシだって結構料理するのにこんな味全然出せないのに」
「それは簡単よ。愛する人へ込めて作ってるからよ♪愛情は最高の調味料だもの♪」
「凄い説得力ですわ……これは私も料理に愛を込めれば今まで以上の味に!?」
「いや既にアンタの料理は違う意味で凄かったわよ」
思い出されるは1年前にカミツレへと手渡したサンドイッチ、当時の激甘の味は改善されたときに思わず言葉を零してしまったカミツレに詳しく聴いたときに思わず絶句してしまった。その時に比べたら既にセシリアはかなりよくなっているのではないだろうか。
「おおっそうだった。カミツレ、さっきヨランドさんから連絡が来て遅くても明後日にはこっちに来れるってさ」
「おおっそりゃいいな、束の奴以外のカミツレの嫁大集合だな。どうせだカミツレ、束も呼びやがれ。嫁全員纏めて晩餐会でもやろうじゃねえか」
「ええっ……まあ束さんは呼べば確実に来るだろうけどなんか不安になってきたぞ俺……」
嫁「そう言えばまた特別編ってやらないんですか?」
私「いやあんまり考えてないけどなんで?」
嫁「いえもう直ぐ300話ですから」
私「……うわっマジだ。モチベーション維持の為の作品な為不定期更新とはなんだったのか」
嫁「それだけ駄目メンタルという事なのでは?」
私「そんなに私苛めて楽しいか?」
嫁「正直快感♪」