IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第304話 特別編6:その4

「はぁっ……ったくあたしも餓鬼ね本当に」

「お疲れさまお嬢さん」

「カミツレ、アンタ分かって言ってるでしょ」

 

戻ってきた鈴は何処かダルそうに肩を回しながら自分が向こう側の鈴音に対して何処か子供っぽい対応してしまったことに対して溜息を漏らしていた。彼女にとっては向こう側に自分にやったことは黒歴史だからと言って過去の自分を力に物を言わせて叩きのめしたのと変わりは無いと思っている。似たような物かもしれないが自分と彼女は生きる世界が違い成長の過程も違っていたのだから違っていて当然なのにそれを許容出来ていなかった。鈴からしたら子供っぽく思えてしまったようだ。

 

「にしても凄い圧倒的だったな。向こうの鈴ってやっぱり「超速零速」使えないんだな。前に千冬姉が使えないのかって聞いたら「最速低速」とどう違うのかって返してたし」

「マジィ?あれこそお姉ちゃんを象徴するような技術なのに……」

「それを言うならこのあたしを象徴するって言いなさいよ、あっちをあたしと比較したら失礼よ。歩んできた道のりが違うのよ」

 

そう言いながらも鈴は懐から適当に飴を取り出すとそれを口へと放り込む。それらを転がす様は何処か様になっており、貫禄じみている物が出ている。

 

「鈴、そのなんて言ったらいいのか……」

「お、お前だって凄い頑張っていたぞ!!うんそれは間違いない!!」

「……」

 

戻ってきた鈴音に対して織斑と篠ノ之は励ましの言葉を送るが肝心の彼女は心あらずと言った感じだった。全く歯が立たなかった、それどころか軽々と自分の全てを上回る技術と実力を見せ付けられるだけで終わってしまった。悔しさで俯いている訳では無い、実力の差に絶望している訳ではない。

 

「アンタさ、自分に失望する暇があったら努力すれば?」

「……」

 

自分自身に失望している、それを見抜いた鈴はそんな声を掛けた。光が無い表情を作るもう一人の自分に対して鈴は語る。

 

「あたしだって絶望した、失望もしたし怖いと思ったこともあった。だけどあたしはそれを全部訓練にぶつけてきた。何もかも飲み干して自分の力に全て還元してやるって思いで今まで色んな経験をしてきたのよ」

「全てを経験と力に……」

「ちょうど、あたしに対抗して来て一緒にISの世界に飛び込んできたアホな従妹もいたから余計に闘争心に火がついてたしね」

「ちょっとお姉ちゃん誰がアホな従妹よ!!」

 

鈴が此処まで強くなっていたのは同じくISの世界に飛び込んだ乱の影響も大いにあった。負けず嫌いで自分のライバルを自称しながらもどんどんと迫って来る乱の存在に鈴は触発され、更なる努力を積むようになり乱もそれに負けないように努力をし続けた。お互いがお互いを刺激し合う関係になっていた。

 

「あんたに足りないのは貪欲な向上心よ、あたしに言えるのはただそれだけ。後は自分で何とかしなさい」

「……うん分かった。ありがとうね、あたし」

 

顔を揚げた鈴音はまるで鈴が笑ったかのような気持ちのいい笑顔を作ると、元気を取り戻したかのように大きな声をあげて頑張るっと気合をいれていた。どうやらもち直したようで鈴も安心したような表情を浮かべていた。しかし直ぐに頭をかきながら困ったような顔をする。

 

「あ~あったく……こういう事をするなんかむずむずするわね、苦手な事をするもんじゃないわね」

「よく言うよ。カミツレさん知ってます?お姉ちゃんってば中国の候補生の間だと姐御的な存在で結構頼られたり相談とかよく持ちかけられてるんですよ」

「へぇっなんかイメージに合うな」

「そう言えば鈴って結構姐御肌っぽい所あるもんな。俺も昔、弾と一緒によく相談のって貰ったし」

「あれはあんた等が鈍くて頭の回転が遅いのが見てられなかっただけよ、こういうのはあたしのキャラじゃないし得意でもないってのったく……」

 

照れくさそうにしているが満更でもなさそうにしている辺り、やっぱり気質的にそういった事が向いているような鈴。そんなこんなで鈴音との対戦が終わったのだが織斑と篠ノ之は鈴へと向けている視線が全くの別物へと変わっていた。

 

「す、すげぇ……なんだあの技……?!」

「一瞬でスピードを……」

「な、なああの技って俺にも出来たりするか!?」

「無理を言うな。あれは鈴だからこそ出来た事だ諦めろ、お前では確実に出来ん」

 

と言ってくる織斑を箒が諌める。それにムッとする織斑だがそれよりも早く篠ノ之が反応した。

 

「何を言う、一夏ならば絶対に出来るに決まっているではないか!!こいつがどれ程の努力を積んで成長しているのかも知らないくせに知ったような口を利くな!!!」

「あれはハッキリ言って努力でなんとかなるような技術ではないから言っているんだ。あれは鈴の天性の才能が作り上げた技術だぞ、出来る訳が無い」

 

そう断言する箒、それに益々苛立ったかのように篠ノ之は掴み掛る勢いで近寄って怒声を上げる。幾ら異世界の自分だろうと思い人を悪く言う事は許せる事では無いらしい、そしてそれを向こう側の一夏にも持ち掛けて同意を得ようとする。

 

「おいそっちの一夏、お前だって鈴の技を直ぐに使えるようになると思っているはずだろう!!」

「いや思ってないけど」

「なッ……!?」

 

だが篠ノ之が期待していたような答えは一切返ってこない。即答で思って居ないと言う否定が齎されたのであった。

 

「あれは技術というか、あれは鈴特有の技だからなぁ……あれを習得しようと思ったらすげぇ時間掛かるし俺には向いて無いと思うな。そもそも「白式」だとやりにくいからな」

「な、何だと!!?」

「いや確かに出来たら凄い強いんだけど、高出力機だと「超速零速」どころか「最速低速」は絶妙なタイミングとスロットルワークをしないとスラスターが凄い消耗して危険になるんだよ。下手したらスラスターが負荷に耐え切れなくなるんだよ、今の俺だとぶっちゃけ色々不足し過ぎてて力不足」

 

出来る事ならば習得したいと思っていた一夏ではあるが、彼の専用機のセッティングにはそれは見合っておらず使えるようになろうとは思っていない。自分の技術と経験が十分な域に達してから考えた方が良いとラウラにも言われているのでそれに従っている。

 

「ほらな。私の一夏ですらこう言っているんだ、諦めろ。あいつはかなり自分を観る目は確かだからな」

「おいおいやめてくれよ、俺は唯自分をちゃんと観ないと昔に戻っちゃうと思ってるだけだよ」

「フフフッ昔と比べて本当にいい男になったな」

「やめてくれ、それはカミツレに向けて言うべきだろ色んな意味で」

「よし一夏面貸せ」

「マジ勘弁」

 

篠ノ之の目の前で行われているもう一人の自分と一夏の間にある絆の深さを感じる言葉のやり取りに何処か、もやもやとした物を感じた。あれこそ自分が求めていた彼との関係なのに、自分が幾ら望んでも出来ないのに何故あちらの自分は出来ているのかと悔しく、嫉妬を覚えてしまった。そして篠ノ之は箒に指を差しながら言った。

 

「おい、そっちの私!!私と勝負しろ!!!」




妻「グフフフッ……いい写真が撮れました……」

私「そりゃよーござんした……。何回シャッター切れたか分らん位に撮られた……」

妻「そういえば……紅椿って実際のところで強いんですか?」

私「ああっ~……ワンオフ使えば回復出来るし、一応全距離対応型だから強いと言えば強いかも知れないけど……白式とは違う意味癖が強すぎて操縦者を試す機体」

妻「あ~……ZZ的な?」

私「それはなんか違うと思う」
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