IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第330話

『へいいっくん、君化け物だね』

「開口一番それですか!?」

 

ピット内に姿を現した束……と言っても本人ではなく勝鬨を通して送られてくる3Dホログラフィックによる投影映像の束。本人は杉山ファームの地下の何処かにある研究施設にいて動けないのでこうして映像を投影させる事で登場する事にした。束本人も話をする気はなかったがカミツレと同じようにコアからのSOSメッセージが来て母親として黙っている訳には行かなくなってので姿を見せる事になった。

 

『リオっちから話も聞いたけどさ、何でハーフモードであんな事出来る訳なの。確かに今の白式は機動面の出力を機体のパワーの方に振り分けてはいるけどさそれでもあんな芸当が出来るとは想定外だよ、まあ確かに束さんのせいでも一部あるんだけどさ……それでもいっくんの規格外さが7割強だよ』

「えっ束さんのせいって何やったんですか」

「やったというのは適切ではないさ、言うなれば想定外のバグ、イレギュラーというのが正しいさ。束も考慮こそしていたが一夏君がそこまで出来るとは思っていなかったから手を回していなかったんだよ」

 

リオノーラのフォローに感謝しながら束は全員の前に雪片夏之型の姿とデータを出力投影させながら語りだしていく。

 

『夏之型はいっくんの要望通りの頑丈さが取り柄の剣、そしてそれの集大成であり完全な姿が通称斬艦刀モードのあれね。あれを使用するには通常時には腰部の装甲兼スラスターの展開装甲を剣に集約する必要があるってのはいいかな』

「はい、それは俺も聞きました」

「俺もです。使う上で発動までの時間稼ぎとかを考える為に頭捻ってました」

 

二人の反応に満足しながら束はデータを夏之型に注ぎ込んで巨大な一振りの剣へと変化させる。装甲が液体のように変化して刀身と融合していく様は一夏としては見慣れた光景だがリオノーラとして非常に興味深くインスピレーションを掻き立てられる光景である。

 

『それで今回の事について、展開装甲について皆には説明した事あったっけ?』

「俺はリオノーラさんに簡単に、リミット・オーバーの時に」

 

装甲その物を組み替える事を可能として、攻撃・防御・機動を自由自在に変更する事を実現。それがリオノーラが"リミットオーバー・ドライブ"を渡しに来た時に聞いた展開装甲の詳細。それに間違いはないと束は語りながらそれについての詳しい情報を出しながら白式に使われている装甲のデータも出力する。が、即座にリオノーラは後ろを向いた。

 

「私は見ないぞ!!だって自分で展開装甲作りたいじゃないか!!」

『いや普通に見ていいよ、というかリオっちだって研究してあのドライブ作っちゃってるから、もう展開装甲作ってるようなもんだからね』

「むぅぅっ」

 

何処か納得いかなさそうにしながらもデータを見ると目を輝かせてしまうリオノーラに研究者としての性を感じる。まあこれ程までの物を見せられて興奮するなというのは無理だろうし、今すぐにこれらを自分の研究に組み込んでみたいという事も強いだろう。

 

『んで率直に言うと展開装甲はぶっちゃけナノマシンに近い性質がある訳、数を揃えれば回路にも機関にもなる。それでいっくんの奴には液体金属的な特性にしてたのさ、そっちの方が刀身と融合させるって言うのが楽だし合理的だからね』

「あ~……俺なんか読めました」

「えっカミツレマジで?」

『それじゃあカッくん言ってみよ~!』

 

束の指差しには~いと元気があるのかないのか分からないような返事を出しながら答える。束が最初に言っていた自分のせいと一夏の規格外さ、そして液体金属の特性の展開装甲で大体話の流れは読む事が出来た。

 

「まず束さんはこれの成長は凄いとは思ってはいたけど流石にこんな速度で成長してあれが出来るとは思ってなかった。だから一部の機構をセットしてなかった、それは多分展開装甲の固定エネルギー関連でしょうね。本来あれはそのエネルギーを飛ばして実現させられる技だけどそれが不完全だった為にエネルギーだけではなく展開装甲の一部が飛び散り、結果としてそれが斬撃となってしまったって事でしょ多分」

『ピンポンピンポンピンポ~ン!!大正解!!如何にもそれが束さんが言いたかった事なんだよ!!』

 

満面の笑みを浮かべながらビシィッ!!と指を向ける束とピースサインを浮かべるカミツレ。完璧に理解して一夏に呆れ半分驚き半分といった表情を浮かべるリオノーラと半分ぐらいしか理解出来なかった一夏。それを見て噛み砕いてカミツレは教える。

 

「要するにお前の成長が早過ぎて束さんがやる筈だった作業をしなかった、そのせいで展開装甲の一部が剥離して相手を斬ったって事だ」

「成程そういう事か……ってちょっと待てマジで俺のせいじゃねえか!?」

「だから最初っから言ってんだろお前化け物だって」

『取り敢えずいっくん、用事終わったらすぐに束さんの所に直行でよろ。それまで斬艦刀モード禁止で』

「んな殺生な!!?まだ俺試合の予定詰まってるんですけどぉ!?それで舐めプしてるとか言われるの嫌なんですけど!!?」

「これに関してはしょうがないだろ、そもそもお前の斬艦刀モードやばいんだから少しは自重してくれマジで」

「理不尽だ……」

「「『それはお前の剣だ』」」

 

こうして一夏はこの一件が片付くまで斬艦刀モードの禁止令が出された、尚イタリアのメテオーラはコアユニットに損傷が出てしまったのでこれ以降の試合には出られなくなった。それが分かった時に一夏は素直に反省して剛剣を制御する為の訓練をする事を決意するのであった。

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