IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第331話

「カミツレ君、如何やら正式に今回の催しの中止が本格的に決議されたらしいよ。まあ理由は……察するだろ」

「ああ、うちの愚弟がマジですいませんでした」

 

一夏がやらかした一件で一時的に止まってしまっている各国共同での正式な手合わせの場、だがしかし一夏の剛の剣が予想外の事実を引き起こしてしまった。イタリアのIS、メテオーラのコアユニットを損傷させてしまった。それにより各国はこのまま本当に続けて大丈夫なのかと不安に駆られた、カミツレと違って先程の一夏の試合は初戦でまだまだ試合は残っている。男性IS操縦者の稼働データは非常に貴重だがその代償にコアユニットを傷付けさせる訳には……という意見が多数出ている。

 

加えてイタリアの対カミツレ戦参加不能というのは公平さを欠く事にも繋がるという事で、それらを踏まえると一旦中止にしてまた後日に改め直すのが一番なのでは、というのが各国代表によって話されている。イギリス代表はリチャードなのだが彼に対して一夏への問い詰めが起っているが正確には一夏はイギリスの代表候補でも彼のISには手は触れていないので何も分からない、知りたかったら自分で束に問い合わせろで通している。まあカミツレはその場合の窓口にもされそうだが……。

 

「いやなんかその……すいませんでした」

『まあ今回はいっ君だけが悪いとは言い切れないさ、束さんもやる事やってなかったからね。いやまあ流石にそうはならんやろ、と思った結果がこれだけどね』

「なってるやろがいって事になるとは思いませんよ」

「流石ミス織斑の弟君、という所かな」

 

一夏単体で言われると微妙に説得力に欠けるのだが……代わりに千冬が出てくると一気に説得力が深まるこの不具合は一体何なのだろうか。大体彼女のキチガイ染みた実力が及ぼした事ではあるのだが。

 

「それでこれからどうなるんですか?」

『束さんもそっちの会議をモニターして見たけどほぼ満場一致で中止するっぽいねこれ、いっくんやっちまったな』

「うぇぇぇぇ俺の剣はイベント切断剣になったぁぁぁぁ!!!?」

「これがFGOのイベントだったらお前殺してたわ」

「ハイライト消した目で言うなよマジでやりそうで怖いわ!?」

「マジでやるよ俺は」

 

死んだ瞳で笑いかけてくる義兄に何者をも抑えつけるかのような圧倒的な凄味と迫力、それが全くの事実であると思い知らされると同時に自分のやってしまった出来事の重さを思い知る。膝から崩れ落ちて頭を下げながら懇願するかのように謝罪する。

 

「単純に早く終わらせるのと強制終了は違うんだぞ、殺したくなかったけど殺してしまったと殺したかったけど死んでほしくなかったは全然意味違うんだお分かり?」

「いや待ってくれカミツレ君どういう事なんだそれ、私は全然意味が分からないんだけど」

『奇遇だねリオっち束さんも全然わからねぇ……』

「な、なんてことを俺はしてしまったんだぁ……ぁぁぁっぁぁぁぁ!!!」

『〈それは確かに死刑に値する行為ですわ、うんカミツレがキレるのも分かりますわ。〉』

「『いやなんて今ので理解出来るの!?』」

 

幾ら細胞レベルでのオーバースペックと大天才でも興味を示した事の無いジャンル内で生まれたパワーワードの意味不明さには混乱する模様。彼女らからすれば全く未開の言語で会話しているのに等しい程の意味不明さに等しいのだろう。因みに作者も殺したかったけど死んでほしくはなかった、割とマジで。

 

「それだけ反省出来てるんなら良いけどさ……この後の処理とか一体どうするんだよ」

「う~ん……まあカミツレ君と一夏君のデータを提供するとかにして収拾を付けるという手も無くも無いが……」

『別に束さんが各国の弱みを握ってるから納得しねぇとそれらを公開して社会崩壊の序曲奏でるぞ、みたいな感じで脅してみる?』

「待って束さんマジで待って、そんな序曲奏でないで束さんが悪者になる」

 

そんな一言で取り合えずそんな手段を取る事はやめた、同時にその表情には自分を思いやってくれているカミツレへの愛に満足気にしている。そんな中でカミツレが頭を捻って各国が納得するかのような物と言われてある考えが思いついた、それは先程もあった千冬の事を思い浮かべ同時に働いた閃きに口角を持ち上げた。

 

「―――リオノーラさん、各国の皆さんにこれから起こる事を絶対に口外しない事と秘密裏且つ胸の内に秘めるという事を条件に出しながらそれらを飲んでくれるなら最高の一戦を見る権利を上げるって連絡できます?」

「出来なくはないだろうが……何をする気なんだい?」

「束さん、千冬さんの暮桜の近代化改修は終わってます?」

『終わってるよってまさかカッくん……!?』

「ヨランドさんには俺から話を付けておきます、大丈夫―――各国は乗りますから」

 

その約2時間後、一夏の影響で中断されていた各国合同代表候補生による練習試合は円満に中止になる事が決議された。そしてそのまま各国代表らはその場を去っていくのだが―――彼らの表情には一切の悔恨や不満げな表情などはなく寧ろ興奮と悦びに満ち満ちていた。一体何が行われたのか、それはカミツレが行った極上の一戦を見せ付けたからである。

 

データは取らず、胸の中に留めて絶対に秘密裏にする条件で見る事が許されたそれはそれに値するだけの価値と味を持っていた。極上という言葉では飾り切れない程の魅力にあふれたそれに各国はあっさりと釣られた。一体何をしたかと言われれば―――自分達の代わりにある方々が戦ったのである、正しく世界最高最強峰の決戦が……。

 

織斑 千冬、ヨランド・ルブラン。それらの全力の激突が行われたのである。

 

「……なあカミツレ」

「んだよ」

「俺改めて千冬姉の強さを知ったけどさ、それ以上にそんな千冬姉とヨランドさんをあっさりと誘導できるのお前だけなんじゃねって思うんだ」

「さてどうでしょう」




私「まさかのヨランドさんと千冬さんの激突でお茶を濁すという暴挙」

妻「濁すには豪華すぎませんか……?それでこれどっちが勝ったんですか」

私「詳しい描写出来る気はしないけどそれは次回」

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