IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第337話

「―――ったく面倒な事になりやがった……何が召使だあのくそ王女、トムヤムクンで顔洗って出直してきやがれってんだ」

「義兄さん凄い毒舌だな……」

「これでも大分オブラートにしてるつもりだよ箒、あれでよく分かった。世間知らずの傍若無人な王女様ってとこだろうな」

 

昼休み、此処に至るまでアイリス王女様は幾度も此方に絡み続けてきた、ハッキリ言ってウザいレベルまで。かといってそれをハッキリ形にすると隣の護衛が許さない、面倒な事限りないのでこうして家族と友人たちだけでカミツレの部屋に集まって昼食を取っている。少々狭いがそこは余りに気にせずにカミツレお手製の食事を食べている。

 

「にしてもカミツレ、良くあんな返しが思いついたな。男の召使云々という奴」

「あああれ?前にセシリアとヨランドさんに聞いて見たんだ、アニメとかで男の召使とかよく見るけどあれってリアル的に見たらどうなのって」

「成程」

 

と納得しながらカレーうどんを啜るラウラ、確かに貴族という意味ならば現実に繋がりを持っているのだからそれで確かめてみるという手段もあるのかと思いつつも隣のセシリアに顔を向けてみるそこでは乱と共にイラついているかのようにうどんと格闘している姿があった。

 

「アンタらねぇ……少しはいい顔しなさいよ、折角カミツレの所の野菜たっぷりカレーうどんがまずくなるわよ。そんなんだから玲姉に馬鹿にされんのよ」

「だ、だってあの王女カミツレさんに失礼ばっかり言うし、凄い偉そうで嫌な奴なんだもん!!」

「まあ王女様だからそこはしょうがない」

「そういう話ではありませんわ簪さん!!あの方は何も理解していないのです、そこが苛立つのです!!」

 

色に赤が混ざっている辛口カレーうどんを啜っている簪に思わず反論してしまう、確かに愛しのカミツレに対する態度も気に入られないだろうがそれ以上に腹が立つのは王女の考えの浅さにあるのである。

 

「カミツレはもうイギリス、台湾、フランスと深い関係にある事に加えて千冬さんに束さんって世界的な影響力を持つ人と婚約している。もう影響力は国以上の人物って言える人、そんな人を冗談でも召使にするなんてぶっちゃけ国際問題待ったなしだもんね……僕の時以上に、ねっ一夏」

「いやホント勘弁してください……」

「フフフッ冗談、もう気にしてないよ」

 

やや意地悪気なシャルに遊ばれる一夏だがそれを聞いて改めて同時に自分もそんなカミツレに対する影響力を踏まえると世界屈指の力に等しい物を秘めている事を理解して喉を鳴らしてからレモン水を喉奥へと流し込む。

 

「姉さんが一時的に居たというだけだからな、ある程度の力はあるだろうが……義兄さんや一夏をどうにかする程ではないだろう。それに第七王女だろう、それって最早政略の道具の領域だろう」

「ああ、政略結婚の駒というのが多い事になるな」

「だからこそ自国には強い干渉は出来ない、だから自由に動けるって事、にしてたってフリーダムすぎるわよ。あっカミツレお代わりお願い」

「あいよ、新しく茹でるから待ってくれ。極太にするか?」

「お願い」

 

と友人から完全に親戚のノリになっている鈴とカミツレ、と同時にまだ見ぬ玲姉とやらが加わるのだろうか。乱のご家族にはまだまだ会う事ができていない、秋ごろにはイギリスと台湾そしてフランスの庇護下にある土地に引っ越す事になっている。まあぶっちゃけ杉山ファームの一角なのだが。

 

「何なら私が何とかやってもいい、これでもそっち系の技術はある。兄さんがやって欲しいならやるが」

「やめとけマドカ、面倒な事にしかならないしお前が危険になるだけだ。後口周りカレー塗れになってんぞ」

「マドカさん此方をお向きください……はい、綺麗になりました」

「むっすまない」

 

マドカの申し出は素直に有り難くもあるが短絡的になりすぎるのもいけない、兎に角出来るだけ向こうに干渉しすぎないように距離を取りながら過ごすのが一番いいのだが、向こうが一方的に近づいてきているのでそれも難しい。加えてあからさまな程に自分の手中に収めようとしているのがネックになる、下手に拒絶するのもまずいと言ってもアプローチを受け入れる訳には行かない。本当に面倒な事になっている。

 

「つったてさ、次の授業ってクラスのIS機動訓練だろ。しかも専用機持ちの中から模擬戦を行う事になってる、それが俺とカミツレだし……余計に興味引く事になるに決まってんじゃねえか」

「もういっその事、全力見せ付けてドン引きさせるか?」

「全力って……」

「危険性を見せ付けんだよ、これ以上近づいたらぶった切るぞって」

「おいおい穏やかじゃねえぞ……」

「帰れシュルク……あっそうだ一夏、お前斬艦刀モードのリミッター解除して俺と戦え」

「―――いや千冬姉に怒られるだろ……」

 

一瞬一夏の表情が死に、直後に全力で手を横に振りながら拒絶する。

 

「お前だって試したいって言ってただろ、それをやってやるって言ってんだよ」

「いやいやいや……束さん直々にリミッター掛けられてんだぞ、それを解除とか……」

「今許可貰えた」

『早っ!?』

 

話を聞いていたカチドキが束に速攻で話を通して許可を取り付けた、これからはISコアが許可に値すると認証すればリミッターが順々に解除されていくようになっている。コア・ネットワークのコア達がそのリミッター解除許可権限を握っているので一夏は自力では解除できないので"白式"に語り掛けて許可を願う事になる。

 

「俺の雪片っていつからプロトな騎士王の聖剣になった訳?」

「笑わせないで、一夏が理想の王子様とか片腹大激痛過ぎて殺したくなるから」

「声もあの騎士王みたいにカッコよくないもんな」

「言いたい放題か簪にカミツレぇ!!!」


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