「っつう訳で、俺にも相棒出来ました」
『相棒と呼ぶには随分な未熟者で私としては不満じゃが……まあ将来性に期待という事で勘弁してやるとする』
「あ、あの凄い毒舌なんですが……」
『そなたを1年の時からずっと見てるからの』
授業終了後、カミツレの部屋に集まった
「そんな……私が一夏さんに後れを取るなんて……!?」
「こんな、こんな奴なんかに後れを取ったなんて……!!」
「あ、あのセシリアさんに乱さんそんな風に言われると流石に傷つくんですがその……」
『まあそう言われるぐらいに下に見られておるという事じゃな、正当な評価であるが』
「お前さっきから誰の味方なんだよ!?本当に"白式"のコアなんだよなぁ!?」
「ある意味一夏の相棒に相応しいじゃないか」
「どういう意味だ箒ぃ!!!」
と辛辣な言葉ばかり吐く相棒に流石の一夏も戸惑いながら聞き返してしまうが、肝心のコアはコアだからこそ言えるんだよと一貫した態度を貫き続けている。
「愚弟弄りはその辺りにしておいてくれ、それでも一応俺の婚約者の弟さんなんだから。お前にとっても親戚にあたるんだから」
『おおっそうですなお父様、私としたことが……申し訳ないの未熟者』
「絶対思ってないだろ!!」
嬉々として一夏をからかっている姿が脳内で再生されている、コアの中で最も年上の姉的な扱いを受けている№001。そんな彼女としては一夏は唯の遊び相手でしかないのかもしれない、しかしまさかこんな一面もあったとは……ある意味長女らしいと言えば長女らしくはあるのだが。そして同時一夏にはある種の驚きの視線を向けざるを得ない。
「というか№001、君の条件だった二次移行は何処に行ったんだい」
『おおっそれについての説明も必要でしたね、では改めて説明させていただきますがお時間宜しいでしょうかお父様』
「是非やってくれ」
『では御耳を拝借……』
「なにこの俺とカミツレの差は」
納得いかねぇ……と言いたげな一夏だが、コアにとってカミツレは頻繁に戯れる上に話が合うし自分達に新しい娯楽などを齎してくれた大好きな父親。一夏は単に宿っている機体を扱っている人間にしか過ぎない、それでも多少なりとも認めてはいるのだろうが……それでもカミツレほどではないのは確かである。
『改めまして皆々様、お初にお目にかかり私は"白式"のコア人格、№001と申します』
「001って一番最初に作られた番号ではありませんか!?」
「そんなのがこれのISのコア人格なの!?」
「なんとまあ、運命とは残酷だな」
「おいお前ら表出ろ」
と流石に不服に思う一夏をなだめつつ話の続きをさせる。
『此処に揃う皆さま方はご存じかもしれませぬが、我らISコア人格は操縦者と心を通わせる言葉を介する為には母たる篠ノ之 束との協議によって設けた条件を潜り抜ける必要が御座います』
「えっと、例えば……?」
「アタシの場合は機体の稼働率65%の達成、ISコアを相棒として認め、人同様に扱う事、束に認められる、自らの技術を編み出す事だったかしら」
「私もほぼ同じですわね、私の場合は殆どの条件はクリアしてますので残っている条件は一つ。それが稼働率70%以上の状態でBT兵器稼働率が100%ですわ、後本当にあと一歩なのですが……!!」
「んでこの前のヨランドさんの条件が千冬姉との再戦だったっけ……」
そんな中での№001の条件はある意味他のコア達の条件でも屈指の物だった。そしてその条件が―――ISコア№001の条件は機体の稼働率85%の達成、ISコアを相棒として認め、人同様に扱う事、母上に認められる、二次移行へと至る、自分の剣を見つけ出す事。これらである。特に困難だったのが稼働率と二次移行だった筈なのに今回それを突破した扱いになっているのである。
『お父様との戦いの果てにこやつめは二次移行に必要な域にまで到達はしたのです』
「おおおおっマジかぁ!?という事はあれか、次に展開したらカミツレの大将軍みたいに進化してるのか!?」
『それならどれだけ私も良かった事か……』
「な、なんか含みがあるな……」
『到達はした、ほんの僅かな間のみ。全力の一撃にて意識を集中させた時に稼働率は87%を記録してあのまま行けば二次移行出来たのに……こやつめはどんどんそれが低下して二次移行が完了するまで維持出来なかった』
「えっとつまり……」
一夏は一時的に本気を引き出しカミツレに勝ちたい、全てを出し切ってでも―――という思いの下で集中していた。それが稼働率と自らの潜在能力を引き出してコアも認めて二次移行に値するような状態だったのに……そこに到達したはずのゲージがどんどん下がっていってしまった。そして完了まで維持出来ずに二次移行は叶わなかったという訳らしいのである。
「つまり一夏がよしやった!!と思ったら本当はまだまだヘッポコで全力維持しきれなかったから二次移行出来なかった、でも少しだけだけど条件満たしてるから出てきたって事か」
『流石お父様見事な理解です』
「何それ俺が悪いのかよ!!?」
「『お前が悪いんだよ』」
「異口同音やめろぉ!!!」
それでも条件をパスしている判定にしてあげて意志疎通可能にしているだけかなり有情とも言える。これからはまた一人ビシバシと一夏を指導する相棒が増えたのだから喜ぶべきだろう。
「一夏、取り敢えずこれからもっと特訓な。ヨランドさん仕込みの特訓で鍛えてやる」
「断固拒否したいんですが……」
「黙れ、俺の子供を期待させて結果として失望させてんだ。その罪を償え」
「不条理だ!!理不尽だ!!!この悪魔、鬼、人でなし、年上キラー、サディストォォ!!!!」
妻「ポケモン的に言えばあれですか、戦闘中に経験値でレベルアップして進化可能になった筈なのに終わったらレベル下がって進化できなくなった的な」
私「大体合ってる、戦闘中に懐き度溜まったけど戦闘不能になって下がったから条件未達成扱いになった」
妻「うわぁ……なんかポケスペ臭を感じます」
私「レッドのブイかな?」