IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第54話

土曜日、カミツレは一通りの訓練メニューを終えて自室に戻り身体を休めていた。それと先日の変質者の影響か自室にいる筈なのに気が休めるような気分になれずに溜息を付いていた。当人は全ての盗聴器や隠しカメラを外したといっていたが本当なのか疑問が残る所だ、カチドキに頼んだ調査で無いと分かった筈なのにそんな気持ちがある。人間は一度不快感を覚えると後に引き摺ってしまうらしい。そんな時、自分の携帯がなった。番号は自分の知らない物、警戒心を抱きながらそれを取った。

 

「……はい」

『あっ良かった出てくれた』

「……間違いです」

『待って待って待って!!間違えてないから、貴方に話があって電話したのよ!!』

 

自分に掛けてきたのは先日聞いたあの女の声、更識の物だった。思わず顔を大きく歪めてしまった、ただでさえこっちは訓練の疲れと初の恋人が出来たと思ったら何時の間にか二人目まで出来ているという事態を受け止めるので必死になっているというのに……。

 

『えっと、その……先日は本当に申し訳ありませんでした……その、正式に謝罪をしたいので時間を取りたいんですけど……』

「謝罪は結構、申し訳ないと思う気持ちがあるなら俺に二度と関わるな」

『そ、そうしたいのは山々なんだけど…本当に謝っておきたくて……』

「政府から俺に謝罪して交流でもとれ、とでも言われたのかよ」

 

真耶から更識に関した詳しい情報を貰ったカミツレはより一層の警戒を胸にしながら言葉を続けた。日本政府に繋がっているロシアの国家代表、更識 楯無。実力は折り紙付きらしいが性格面に難があり愉快犯のような一面があると聞かされている。

 

『生徒会長としても話があるのよ……』

「信用があると思ってるのか、俺を手篭めにしようとしているのが見え透いてる」

『本当に何もしないわよ…生徒会にある要望が殺到してて、その事に付いて聞きたい事があるのよ』

「……要望?」

『貴方、部活動に入ってないでしょ?それでこっちに何とかしろって意見が凄い来てるの…』

 

そんな事かと思わず溜息を付いた、IS学園にも部活動がある事など知っているが入る気など全くない。そんな物をやる暇などないからだ。下らない話を口実にするなと呆れ果てる。

 

「俺は部活なんぞする気はない、下らない事に気を向ける余裕なんてない」

『下らないって…それは流石に失礼よ貴方』

「部活動は俺の命と同価値って言いたい訳か」

『そ、そう言う訳じゃないけど…分かったわ。部活動には入る意志はないと伝えておくわ』

「ついでに言っておく、俺は生徒会にも入る気はないぞ。アンタがトップの生徒会なんぞに入って堪るか」

『解ったわ…私も貴方にはもう出来るだけ接触しないようにするわ、本当にごめんなさい』

 

電話を乱暴に切りながら寝転ぶカミツレ、本当にあれが自分が尊敬するヨランドと同じく国家代表なのだろうか。ヨランドとは全く似ていないし雰囲気もまるで違う、兎に角あれはもう信用しない方が良いと決め込む。出来る事ならばもう二度と関わり合いたくはないが……それはきっと叶わぬ願いなのだろう。

 

「……考えるの、止めよ……カチドキ、2時間後ぐらいに起こしてくれ。少し寝る」

『了解、おやすみなさいカミツレ』

 

身体をしっかりと休める事も訓練のうち。よく学んで、よく動いて、よく休むのが一番良いと真耶が言っていた。それに同意しながら襲い掛かってきた眠気に身を委ねて、夢の中に落ちていった。

 

2時間後、カチドキに起こされ目を覚ましたカミツレが眠気覚ましのコーヒーを飲んでいる時であった。再び携帯が鳴り響き始めた、少々警戒しながら番号を確認して見ると再び自分の知らない番号。更識の事があるので警戒しながら通話ボタンを押したがその警戒が杞憂であった事が直ぐに分かった。

 

「もしもし」

『ツェレ、わたくしです、ヨランド・ルブランですわ!』

「えっヨランドさん!?」

『はいそうですわ!元気そうで何よりですわ』

 

電話を掛けてきたのは自分が尊敬する人であり国家代表の理想系とも言えるフランスの大貴族でもあるヨランド、考えてみればヨランドの番号は携帯に登録していなかった。この後に改めて番号を聞いて登録したカミツレだが、学園に入学してから連絡帳がとんでもない名前のラインナップで埋まりつつあった。

 

恋人兼イギリス代表候補生(セシリア)恋人兼台湾代表候補生()元世界最強の教師(千冬)

師匠(真耶)イギリスの大貴族(リチャード)フランスの国家代表(ヨランド)。普通ではないメンツばかりが並んでいる。

 

「お久しぶりというほどでも無いですけどお元気そうで何よりです」

『わたくしも声が聞けて安心しましたわ、本国でまた新人の指導をしているのですが…矢張り貴方ほどの逸材はいませんわ。貴方を教えていた時の高揚感がありませんの』

「はあ……それはそれは……ヨランドさんに弟子入りしようとする人って千冬さんをアイドルと勘違いして集まる人達と同じなんじゃないですか?」

『そうかもしれませんわね……はぁ、ツェレまた貴方に指導したいですわ……』

 

国家代表に此処まで言われるのは正直嬉しさがある、何よりヨランドに言われると何処か照れくさくもあると同時に嬉しくもある。矢張り国家代表はこの人のような人物でないと。

 

「それで今日は如何して電話をくれたんですか?」

『ええ。ツェレ、貴方と織斑 一夏に対して一夫多妻制が適応されるという噂を聞いた事あります?それが実現されそうなので、それを伝えようと思いまして』

「マジですか……態々どうも」

 

ヨランドとしては、カミツレにとっては一大事だと思い連絡して教えようとしてくれたのだろうが……既にセシリアにそれが適応されると仮定した上で動かれている上に、二人目の恋人まで出来てしまっているので何ともいえない……実家にはなんと言えばいいのだろうか……と困っているカミツレにを助けようと、ヨランドは助け舟を出した。

 

『恐らく、これから世界各国から貴方へ干渉が予想されますわ。ルブラン家は貴方を全力でフォロー致しますので、どうぞ気軽に声を掛けてくださいね』

「すいませんなんか、お世話お掛けちゃって……」

『私とツェレの仲ですもの、気にしなくていいのです。もしもお返しをしてくれるのならば、わたくしと結婚してみます?』

「ヨランドさん、声が笑ってますよ」

『あらバレちゃいましたわね♪』


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