IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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この作品、一学期終わるまでに何話掛かるだろうか……。と友人に聞かれて困った私です。

後カミツレ君のイメージCVは誰?と聞かれて答えられずに、何故か怒られた私です。

何故怒られたんだ……。


第59話

「……そうか、いや直接言ってくれて私としても気が楽になった。感謝するカミツレ」

「そっちも最初から本音で言ってくれたからな、それに応じた方がラウラも気が楽だろ」

「まあな」

 

束との邂逅もあり、ますます平穏とは無縁な道を駆け抜けていくカミツレ。そんな彼は以前、お前が欲しいとストレートに言ってくれたラウラに返答を返していた。自分はイギリスを選んだのでドイツにはいけないと。それを聞いたラウラはそこまで取り乱した様子もなく、淡々と事実を受け止めた。寧ろそれが正解だと言わんばかりの対応を見せた。

 

「正直国に仕える軍人としては罰当たりな事を言うが…ドイツを選ばずに正解だ。国内ではかなり不穏な動きが活発になっている」

「例の研究施設の破壊とデータの消去の事か」

「ああ、それに酷く反応していたのが女尊男卑の擁護団体だった。異様なほどの反応を示しながら政府に抗議を行っている」

 

女尊男卑主義者の団体、言うなれば女性を世界の中心にし男性は全て奴隷にすべきだと考えをする団体。その団体によって男性の冤罪などは多発しており、それどころかテロ活動までする過激派まで存在する。それによって現在は危険思想として認定をされかかっており、国際的な問題として話題が上がる事も多い。

 

「やれ政府の役立たずだの、税金の無駄遣いだの、栄光あるヴァルキリー達のお姿をなんだのかんだのと色々言ってきている。まるで自分達の力を穢されたようにな」

「VTシステム関連はその団体が主だったって事か?」

「かもしれん。その可能性が一番高い、それとこれは私の推測だが団体はそれを何処かに売り渡す気だったのではないかと思っている」

 

団体と繋がっている組織、そこへVTシステムを提供する。後から調べて分かった事であるがVTシステムによって破壊された新型のISもVTシステムの搭載が前提に設計されていた物のプロトタイプ、これはシステムだけではなく新型とシステムがセットになっている事になる。

 

「しかし擁護団体の騒ぎようからすると、渡す筈だった物全てが消えて無くなったとみて間違い無いだろう。でなければあそこまで騒ぐ事もないだろう」

「そうか……」

 

ラウラの話は的を得ているし恐らく間違ってはいないのだろう、VTシステムの弱点を改良され扱い易くなっている物。それは大きな戦力になる、加えてそれらを搭載した無人IS……それが実現した場合途轍もなく厄介な事になる。恐らくデータ削除の張本人である束もそれを忌避して、施設の破壊やデータの全削除を行ったのだろう。元々VTシステムは束にとっても嫌う物でタイミング的には頃合だったのかもしれない。

 

「故にドイツを選ばなかったのは良い事であろう、イギリスの代表候補生として頑張ってくれ」

「ああ。素直に受け取らせてもらうよ」

「それとこれを渡しておこう」

 

そういうと懐から一枚の名刺のような黒いカードを取り出しカミツレに渡した。そこにはラウラの名前と番号、それと何やら数字と記号の羅列が書かれている。

 

「これは?」

「私は先日付けで、織斑 一夏の護衛を命令された。なので私は奴を優先しなければならないが、そこには私の連絡先とドイツにいる私の部下達に連絡を行える通信コードだ。何かあればそこに連絡すれば、私の部隊の及ぶ範囲内で力になれる。せめてこの位はさせてくれ、友人として受け取ってもらえるか?」

「心強い贈り物だな。有難う」

「礼には及ばん。ではこれで失礼しよう、またな」

 

最後に強く握手をしたラウラは笑みを浮かべたまま部屋から立ち去って行った、矢張りラウラ個人は信頼に値するのだろう。だがドイツという国その物はそうとは言えなかったという事だろう。VTシステム、新型のIS、自分が目の当たりにした事件はまだまだ息をしていた。しかしそれも束の手によって止められた。これで終わったのだろうかと思った時、携帯がなった。

 

『カミツレ、貴方の恋人からです』

「…カチドキ、お前ワザと名前を言おうとしてないだろ」

『否定はしません。セシリアからです』

 

やや溜息を付きつつも考えを切り替えて携帯を取った。

 

「はい」

『カミツレさん、明日のご予定を覚えておられますか?』

「ああ、一緒に遊びに行くというか買い物に行く奴だろ。臨海学校に備えてって奴」

 

IS学園が迎える夏季休暇前の生徒にとっての楽しみのイベント、それが臨海学校。実習ではあるのだが臨海学校はビーチのある旅館で行われる事になっており、初日は完全な自由時間で泳ぐ事も遊ぶ事も自由。故に生徒達はそれを心待ちにしている。そのイベントの為にカミツレはセシリアと買い物と行く事になっている。

 

『実は乱さんもお誘いしたいと思っているのですが、宜しいでしょうか?』

「ああ俺は大歓迎だよ。乱さんとも親睦を深めないと行けないしね」

『良かったですわ!!実はもう一つお願いが……』

「俺で良ければ力になるよ」

『流石カミツレさんですわ!!では明日楽しみにしておりますわ!!』

「ああそれで頼みって…あれ、セシリア?お~い……切れてる」

 

テンションが振り切れてしまっているのか電話を切ってしまったセシリアにやや不安を感じつつも、恋人の頼みなのだから受けるつもりでいるカミツレ。が一体どんなお願いをする気なのだろうか……少し不安を覚える。

 

「どんなお願いだろ……」

『検索中……彼女が彼氏にする一番のお願い、それが服を選んで欲しいとなっています』

「服か……ありえるなそれ」


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