『条件その一。帰省期間は1週間、安全面などを考慮した結果の日数決定であるので了承する事。条件その二。杉山 カミツレは帰省中、毎日IS学園へと連絡を取り報告を行う事。一度でも損なわれた場合強制送還となる。条件その三。実家での生活を思いっきり楽しむ事、これは絶対の条件!』
それがカミツレに課された実家への帰省の条件であった、真耶により意訳がされており三つに纏められていたので分かり易かった。真耶らしい気遣いもカミツレにとっては嬉しい物であった、漸く帰る事が出来る。実家が静岡であるカミツレはそう簡単に帰る事が出来ない、家が比較的近くにある一夏と違って学園での生活がデフォルトなのである。
「フッフッフッ!」
漸く兄や家族と再会する事が出来ると喜ばしい事この上ない、それに今回の帰省はカミツレにとって特別な意味が含まれている。恋人を家族に紹介する事である。帰省の際にはセシリアと乱も同行する事になっており、その時に恋人の事を話すつもりでいる。自分の家族の事だからきっと分かってくれるとは思うが…それでも日本という国の事を考えて複数の恋人がいるというのは受け入れられるか怪しい面が強い。それでもカミツレは確りと話をして理解して貰おうと決意を固めている。
「きっと、分かってくれるさ……」
この事を決めたのは何より恋人達だった。自分という男を守る為にそれに理解を示し決断してくれた彼女たちの為にも必ず家族を説得して見せるという強い意志の元、訓練に励むカミツレ。家族との再会を心待ちにしながらその時が来るまで、鍛錬に励む。
『お兄さんこっちはこれでいいんですよね!?』
『おう、いやぁ俺の弟も隅に置けねぇな。こんな可愛い恋人がもう一人もいるなんて、お兄さん嬉しい!』
『いやだなぁもういい過ぎですよ可愛いだなんてぇ♪』
と、彼の決意は評価されるべきなのだろうが……実はもう家族はその事に付いては了解済みなのである。リチャードとセシリアが彼の実家を訪れた際に、一夫多妻制度についての説明なども行っており家族も理解を示している。加えて乱は休み中に彼の実家を訪れ挨拶を行っている上に農作業まで手伝っており、兄である一海も可愛い義妹が増えたと喜んでいる。尚、家族の意向で内密にされており、カミツレが前日に帰省する事を伝えた時に聞かされたという。
『残念!俺達はもうお前の多重婚は知ってました!!』
『……』
『俺達だってお前の事は真剣に考えてるんだよ、それに言っただろ?お前の決めた事なら俺達は何も言わない。それもお前が納得した上での事なら文句なんて言わねぇよ』
『……有難う。でも兄貴、帰ったら覚えとけよ。最低10発は殴るからな』
『バッチ来い』
という一幕があるのだが、今のカミツレはそれを知らない。今のカミツレは帰省を楽しみにしながら今の自分を鍛える為に強い志を持って、訓練に励み続けている。怪我などをしないように細心の注意を払いながら真耶のメニューをこなしていくのであった。そんなある日……。
「お前の家に?」
「ああ。俺の家にカミツレもこないか?折角の夏休みだし…それに一度ぐらいカミツレと遊んでみたいんだよな、折角同じ男子生徒なんだし」
暑い外でのメニューをこなした後、自室で冷えた緑茶を片手に溜め取りしていた特撮番組を見ていたカミツレ。そんな彼を一夏が尋ねてきたのであった、最初こそ思わず警戒してしまった。以前来た時はシャルロットの件を持ち込んだ前科があるので、また面倒事でも持ち込んできたのでは無いかと警戒してしまった。
「その日の夜は千冬姉と久しぶりに家で飯を食うんだけどさ、前に千冬姉に料理作ってただろ?だから一緒に作れないかなぁと思って」
「むぅっ……」
正直言って単なる一夏の誘いだけなら断るつもりでいた、誘いを受けたとしてもそれに応じてやる義理も責務もないし純粋に訓練に励みたいという思いもあった。しかし…直前に真耶から説教を受けているからか、確りとした休みを取って、一度、訓練から離れてみるのも必要なのではないと思い始めている。それに世話になっている千冬に料理を作ってあげたいという思いも混じっている。
『輝け!流星の如く!!黄金の最強ゲーマー!ハイパームテキエグゼイド!!』
「おっカミツレもこういうの見るか?あっというかこれ神回じゃねえか!?俺もみていいか!?」
「まあ、良いけど…」
「カミツレ来るぞ!!」
「おおっ!!」
「さあご一緒に、サンハイッ!!」
『HYPER CRITICAL SPARKING!!!!』
「「ハイパァ~クゥリティカァアルスパァキィッィイグッッ!!!」」
思わず録画していた物に合わせて一夏と共に叫んでしまった、どうやら一夏自身もこれが好きらしく何度も見ていたらしい。不覚にも一瞬楽しいと思えてしまった自分が恥ずかしくなって来た、そして自分に向けていい感じのイケメンな笑みを向けている一夏に凄まじい苛立ちを感じずにはいられない。正に殴りたい、この笑顔である。
「なあいいだろ!?それとも忙しいのか?」
「ぐっ……」
予定も空いているし正直行くのは全く問題ない…それに行かなかったら今の出来事が拡散してしまう恐れがある。それは嫌だと思ったカミツレはがっくりと項垂れながら行くと返事を返す、それに一夏は嬉しく思ったのか笑いながらカミツレの肩を叩いた。
「よしッ決定!!」
「最悪だっ……」
「あっカミツレって好きなガシャットなんだ?俺は断然『TADDLE LEGACY』だな」
「『HYPER MUTEKI』だろそこは」
と気付けば好きな番組内のアイテムについて語り始めていた、そしてカミツレは語り合っている間笑い続けている事に気付いていなかった。
帰省編は番外編にでもしようかと思っています、本編に組み込むとやたら農作業とかリアルに書き込んで何時本筋に戻れるのかわからなくなりそうですので。
織斑家編を書き終わるまでには、如何するかを決めようと思います。