IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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乱「アタシのテクニック初お披露目だったのに……全部持って行かれた……」
カ「乱ちゃん……これも全部、織斑が悪いんだ」


第81話

二学期も始まり通常の授業も行われ何時も通りになり始めているIS学園の日常、一夏と友人となったカミツレは一学期とは違った感触を味わいながら二学期を張り切って過ごしていた。自分に齎された専用機「蒼銀」が良い刺激となって更に努力に身が入るようになっている、その努力は軍人のラウラが見ても感嘆する物で本当にドイツにスカウト出来なかった事を悔しそうに嘆いていた。対する一夏は千冬の元で変わらず努力を続けているが、最近ではその成果が出始めているのか千冬に基本習得の判を押され、現在は応用の習得に努めている。

 

「俺の目標はカミツレにライバルって言わせる事だからな!この位じゃ満足しないぞ!!」

「ならもっと努力しろ、あいつはお前の数倍の努力をし続けているんだ。追い着く所か置いて行かれるぞ」

「分かってるよ!やるぞぉぉ!!!」

 

友人になった事は一夏にとってもいい影響を与えており一層の努力に務めている。それは千冬も認めざるを得ない物になり始めており千冬にとって、教師としても姉としても嬉しい変化であった。自分から『零落白夜』を生かすにはフェイントを織り交ぜた攻撃が有効ではないかと提案してきたりと一学期から大きく成長している姿に思わず千冬はホロリと涙を流していた。

 

そんなある日、SHRと一時限目を使用してでの全校集会が行われた。新学期になった事で行われる業務連絡や間もなくとなっている学園祭についての事であった。全校生徒が一堂に会しているだけあって非常に姦しい、進行役が言葉を続けているのに声が聞こえ続けている。そんな中、生徒会長から説明となると一気に静かになって行く。

 

「やあ皆、おはよう」

 

段上で挨拶した人物を見た時、カミツレの表情は零下にまで冷え込んだ。そこに立っているのは自分の部屋に侵入して来た上に痴女的な姿を見せ付けてきた国家代表というのも疑わしく、妹とは外見は似ているが内面は全然似ていない更識 楯無の姿だった。そんな友人の変化に隣に座っていた一夏は思わず驚いてしまった。

 

「お、おいカミツレ大丈夫か?気分悪いなら保健室付き合うぞ」

「……気にするな。あの女が気に食わないだけだ」

「あの女って……生徒会長の事か?何かされたのか?」

「……俺にとって最悪な事をな」

 

詳細を省いて自分に齎した印象を率直に伝えると一夏は此方を見つめてくる楯無に良い印象を抱かなかった。友人の言葉を信じない訳ではない、しかしカミツレは理由もなく他人を嫌うような事はしない。そう確信出来る、取り敢えずウィンクを飛ばしてくる楯無には気を付けたほうが良いと心に決めた。

 

「という訳だから、今回は学園始まって以来の男子がいる学園祭になる。だけどそれに浮かれてハシャギ過ぎたりしない事。それじゃあ学園祭についての業務連絡はこれで終わりにするけれど…先生方からお話があるみたいなので其方にバトンタッチさせてもらうわ」

「うむ……皆おはよう」

 

楯無に代わった壇上に立った千冬、彼女が声を出した途端に全員がし~んと静まり返った。それに一夏は苦笑し、カミツレはだろうなと思って笑みを浮かべる。

 

「二学期が始まった事で皆も気を引き締めつつ学業に勤しむ事を期待する。学園祭も控えているが皆、羽目を外しすぎて怪我がないようにして貰いたい。そして此処で新しい先生を紹介したいと思う」

 

千冬がそう言うと壇上へと一人の女性が上がって行く、カジュアルなスーツを着こなし長い髪を靡かせながら上がったその女性に、カミツレは見覚えがあった上にその時の事を思い出させた。ワザとなのかそれともお洒落なのか、掛けていたサングラスを外しながらマイクに向き直ったのはナターシャ・ファイルスであった。

 

「どうも初めまして皆さん、今ご紹介に預かりましたナターシャ・ファイルスです。今日からこの学園で先生をする事になりました。実技担当として1年生を教える事になってます、不慣れな所もあるかと思いますが私なりに努力して行きますので宜しくお願いします」

 

丁寧に挨拶をしながら頭を下げるナターシャに対して生徒達から拍手が送られる。カミツレも笑顔を浮かべながら拍手を送る、あの時の話通りだ。この学園に出向してきたという事はあのコアは救われたという事でもあるのだから。空を飛ぶ事を喜びとする優しい束の子供が、軍用という呪縛を解かれて競技用として生まれ変わった事を示している。

 

「―――っ!―――♪」

 

生徒の中にカミツレがいる事に気付いたナターシャは、そちらへと柔らかな笑みを浮かべて手を振りながら壇上から降りた。彼女もこの学園に来る事を心待ちにしていたのだ、此処に来れて悲願を達成できたのも彼のお陰。それに感謝しながら此処で教鞭を取る事に思いを馳せているナターシャの肩を千冬が叩いた。

 

「お前はまず、慣れて貰うために1年1組で副担任補佐をして貰うぞ。真耶から色々と教わりながらサポートしてやってくれ」

「ええ分かったわ」

「それと、良く来たな。歓迎するぞ」

「フフッ有難うね」

 

「という訳で改めてナターシャ・ファイルスよ、今日からこの1組の副担任補佐をする事になったわ。基本的に実技だけど時々通常科目も担当させてもらうからよろしくね♪」

 

SHR後の教室で茶目っ気たっぷりにウィンクするナターシャにクラスから歓迎の声が溢れる。新しい一員となった彼女を皆が歓迎している。千冬とも真耶とも違った大人が加わった1組は色んな意味でバラエティ豊かになっていく。

 

「千冬、このクラスはとても楽しそうね。来て早々だけど良かったと思うわ」

「それは結構な事だ。しかし此処では織斑先生だぞ、ファイルス先生」

「あらそれはごめんなさいね、織斑先生♪」


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