巨人族の弟子   作:猫ペンギン

10 / 17
第10話

"ユートピア作戦"まであと僅か・・・

 

夢の町"レインベース"にて、B・W社員が集っていた。

 

「ずいぶん暴れてくれたもんだな、王女様。さすがは元我が社のフロンティアエージェントだ。だが観念しな!ヒハハ!」

 

ビビ王女が地面でへたり込んでいて、その周りを人相の悪い男たちが囲っていた。

 

しかしその時、B・W社員は突然、ガトリング銃を持った鳥の銃撃で次々に倒れていった。

 

「何だ!!あの鳥は・・・!!」

 

「ハヤブサッ!!でけぇ!!」

 

「何で鳥がガトリング銃を!!」

 

「くそッ撃ち落とせ!!!」

 

B・W社員を避けて、そのハヤブサはビビ王女を掴み、上空に飛び上がると、近くにある建物の屋上に降り立った。

 

「お久しぶりです、ビビ様。少々ここでお待ちを!」

 

「ペル!!!」

 

ビビ王女は、久しぶりの護衛隊副官との再会に笑顔になる。

そのビビ王女の言葉を聞いたB・W社員達は顔を青くしていった。

 

「・・・ペル!?まさか"ハヤブサのペル"・・・!!?アラバスタ最強の戦士じゃねェか・・・!」

 

「"トリトリの実"モデル"隼(ファルコン)"・・・世界に5種しか確認されぬ"飛行能力"をご賞味あれ・・・」

 

そう言うと、ペルはその場から姿を消すかのような速度で飛び出した。

 

「!!!見えねェ!!!」

 

「撃て!!撃ちまくれ!!」

 

B・W社員達は一心不乱に辺りを狙撃していくが、ペルはその隙間をかいくぐり爪で肉を抉っていった。

 

「"飛爪(とびつめ)"」

 

そこにいた社員達は1人残らず地面に倒れた。その光景を見ていたビビ王女はホッと息をつく。

 

「助かった・・・!急がなきゃ、みんなの所へ・・・!!」

 

「そう、その気なら話は早いわ・・・」

 

「ミス・オールサンデー!!」

 

ビビ王女を連れて来るように指示を出されたロビンがその場に現れ、ビビは思いっきりロビンを睨みつけた。

 

「副社長・・・!!」

 

「"三十輪咲き(トレインタフルール)"!!・・・"ストラングル"!!」

 

何人か意識のある社員達がホッとしたように声を出した。

しかし、社員達はロビンによって意識を刈り取られるのだった。

その様子を呆気にとられたように見るビビ王女。

 

「・・・どういうつもりなの?」

 

「ビビ様・・・この方は信用して大丈夫です・・・!」

 

ペルがどうしてこの女のことを知ってるのか、なんで援護するようなことを言うのか分からない。ビビ王女は声も出せずに驚いていた。

 

「私はクロコダイルを倒そうと思っているの。ただ、麦わらの一味がクロコダイルを倒すのが理想的だと考えている・・・私と彼はあまり表に出たくないから・・・だから何も言わずに屋敷に招待されてくれないかしら・・・」

 

「・・・ナメんじゃないわよ!!いきなりそんなこと言われて、はいそうですかと納得できないわ!!」

 

ビビ王女はそう言って攻撃を仕掛けるが、ロビンはその腕を止めて面白そうに言う。

 

「まぁ。お姫様がそんなはしたない言葉、口にするものじゃないわ。ミス・ウェンズデー」

 

「今更そんな都合のいいことを・・・!!よくもイガラムを・・・!!」

 

「・・・ビビ様!イガラム隊長は無事です!つい先程帰ってこられて、今頃国王軍は反乱軍を鎮圧するためだけに動いています!!」

 

ペルがイガラムの無事をすぐに報告する。ビビ王女はその言葉を聞いて、目に涙を浮かべる。

 

「え・・・本当に・・・」

 

「さぁ、そんなこと今はどうでもいいんじゃなくて?この国を救えるのだから・・・私について来てくれるわね?」

 

ビビ王女はまだ理解しきれなかったが、力なく頷くと立ち上がった。

 

「クロコダイルの前では、私が裏切ろうとしていることは黙っていてちょうだいね・・・」

 

ロビンは"レインディナーズ"への道中で今回の作戦をビビに伝えていく。

そして、レインディナーズの"秘密地下"に到着した。

 

「クロコダイル!!!」

 

ビビ王女は地下アジトに到着するなり、クロコダイルへ声を上げた。

麦わらの一味は檻の中で捕まっており、ビビが来たことに驚いていた。

 

「・・・やァ・・・ようこそアラバスタの王女ビビ。いや・・・ミス・ウェンズデー。よくぞ、我が社の刺客をかいくぐってここまで来たな」

 

余裕そうに腕を広げて迎え入れるクロコダイルは、ビビ王女をバカにするような笑顔を浮かべた。

 

「来るわよ・・・!どこまでだって・・・!あなたに死んでほしいから・・・!Mr.0!!!」

 

「死ぬのはこの、くだらねェ王国さ・・・ミス・ウェンズデー」

 

そう言われて、ビビ王女は階段を駆け下りていく。

 

「お前さえこの国に来なければ・・・アラバスタはずっと平和でいられたんだ!!"孔雀(クジャッキー)" "一連(ストリング)スラッシャー"!!」

 

スパァン!とクロコダイルの頭部と、その後ろにある椅子を吹っ飛ばす。しかし、クロコダイルはスナスナの実の能力者。体ごと砂にして、ビビ王女を後ろから羽交い締めにした。

 

「気が済んだか・・・ミス・ウェンズデー・・・この国に住む者なら・・・知ってるハズだぞ。このおれの"スナスナの実"の能力くらいな・・・・・・ミイラになるか?」

 

クロコダイルはそういうと、ビビ王女を空いている椅子に座らせた。

 

「座りたまえ・・・。・・・そう睨むな。ちょうど頃合・・・パーティの始まる時間だ。違うか?ミス・オールサンデー」

 

「ええ・・・7時を回ったわ」

 

クロコダイルはそれを聞いて、この作戦をビビ王女に教えていく。

もう作戦が止まらないと思っているから。

 

「クハハハハハハハ・・・ハッハッハッハッハ!気に入ったかね、ミス・ウェンズデー。君も中程に参加していた作戦が今、花開いた。耳を澄ませばアラバスタの唸り声が聞こえてきそうだ!・・・そして心にみんなこう思ってるのさ、俺たちがアラバスタを守るんだ・・・と!!」

 

「やめて・・・!なんて非道いことを・・・!!」

 

ビビ王女はもう聞きたくないと耳を塞いだ。

先ほどミス・オールサンデーに聞かされた話では、ユートピア作戦の開始はされないということだった。

ただ、ここは水に囲まれた地下アジト。

もし、クロコダイルがミス・オールサンデーの考えなどお見通しだとしたら、クロコダイルの言う通りに国王軍と反乱軍が争っているということだ。

一刻も早く地上に行って確認するまで、居ても立っても居られなかった。

手足を縛られたビビ王女は椅子から倒れ降りて、ミミズのように這いつくばって出口を目指している。

 

「オイオイ・・・どうした、何をする気だミス・ウェンズデー」

 

クロコダイルは嬉しそうに話しかける。

 

「止めるのよ!!まだ間に合う・・・!ここから東へまっすぐアルバーナへ向かえば・・・!!反乱軍よりも早くアルバーナへ向かえば・・・!まだ反乱軍を止められる可能性はある!!」

 

「ほぉ・・・奇遇だな。オレ達もちょうどこれから、アルバーナへ向かうところさ。てめェの親父に一つだけ質問をしにな・・・一緒に来たければ好きにすればいい・・・」

 

そう言ってクロコダイルは懐から鍵を取り出してみせた。

 

「鍵・・・・・・!?それは・・・」

 

「鍵ィ!!?この檻の鍵だな!!?よこせ、この野郎!!」

 

檻の中で大人しく捕まっていたルフィがクロコダイルに吼えるように叫ぶ。

しかし、虚しくもその鍵はクロコダイルによって、部屋を囲むように設置されたバナナワニのいる水槽の中に落とされてしまった。

 

「お前の自由さ・・・ミス・ウェンズデー。確かに反乱軍と国王軍の激突はまだ避けられる・・・奴らの"殺し合い"が始まるまであと"8時間"ってとこか・・・時間があるとは言えねェな・・・ここからアルバーナへ急いでも、それ以上はかかる・・・反乱を止めたきゃ今すぐにでもここを出るべきだ、ミス・ウェンズデー。無論こいつらを助けてやるのもお前の自由。この鍵を開けてやると良い・・・・・・もっとも、ウッカリおれが鍵をこの床の下に落としちまったがな・・・」

 

クロコダイルが喋っている間、ビビは床の下を見て、考え込んでいた。

早くクロコダイルがこの部屋を出て行ってくれないか・・・ということを。

(まだ完璧にミス・オールサンデーのことを信用できないけど・・・ルフィさん達の捕まっている檻の鍵の複製品は先程ここに来る途中で貰っている・・・この鍵で合うと思うけど2つあれば安心・・・)

 

そうビビ王女が考えている間にも、クロコダイルが投げ込んだ鍵をバナナワニが飲み込んでしまっていた。

 

「あっ!!ワニが鍵を・・・!!」

 

「おい、どうしたビビ!!」

 

「バナナワニが檻の鍵を・・・飲み込んじゃった・・・・・・!」

 

「何ィ!!?なんとかしろ!おれ達をここから出せ!!おれ達がここで死んだら!!誰があいつをぶっ飛ばすんだ!!!」

 

ルフィがビビに向かって言い放ったその言葉に、去ろうとしていたクロコダイルが耳にして、立ち止まり振り返った。

 

「・・・自惚れるなよ・・・・・・小物が・・・」

 

「・・・お前の方が、小物だろ!!」

 

2人は睨み合う。

檻の中で、鼻の長い男ウソップとオレンジ髪の女ナミが、あまりの威圧感で気を失いそうになっている。

 

クロコダイルはロビンを引き連れて、部屋を出て行った。

 

##

 

 

「おい!何してんだ!ビビ!!ワニがそこまでやってきてるぞ!!」

 

「それは、檻の鍵・・・!!?なんでビビが鍵を・・・」

 

ビビはクロコダイルが居なくなるのを確認すると、すぐさま檻の方へ駆けて行った。

 

「・・・開いて・・・早く・・・お願い・・・」

 

後ろからバナナワニがビビを襲おうと歩いてくるものだから、ビビは焦ってしまい、なかなか鍵を開けることができない。

 

・・・ガチャッ!!

 

鍵が開いた時にはもうビビの後ろから大きく口を開けたバナナワニが迫っていた。

 

「ゴムゴムの・・・銃(ピストル)!!」

 

開いた途端に檻の外に出たルフィがバナナワニの顔を思いっきりぶん殴り、ズドォォンと音を立ててバナナワニは床に倒れた。

その拍子かどうか分からないが、部屋が崩れてきて、ところどころから水が入ってくる。

さらに、次々と別のバナナワニが部屋に入ってきたので、ウソップとナミは大騒ぎしていた。

 

「三刀流・・・龍巻き!!!」

 

「ホワイト・ブロー!!」

 

しかしそのバナナワニ達も呆気なくやられていくのだった。

その時、やられていくバナナワニのうち一体の口から、とてつもなく大きな白い球体が出てきた。

一同が驚いてその球体を見ていたら、卵のようにヒビが割れて中から人間が出てくる。

 

「"ドルドルボール・・・・・・解除!!オオ・・・!み・・・水!!水だガネ!奇跡だガネ!」

 

「「「なにーーーー!!!!」」」

 

「おい・・・あいつ・・・!」

 

「・・・Mr.3・・・・・・なんでワニのお腹の中から・・・?」

 

麦わらの一味が驚いている中、Mr.3は溜まっていく水に顔を入れ、水をゴクゴクと飲んでいた。

 

「ぷはーっ生き返った!!死ぬかと思ったガネ!」

 

完全に復活したMr.3は嬉しそうに笑っている。

 

「フフフ・・・!クロコダイルめ私を仕留めた気でいるだろうが甘いガネ!私はコイツに食われる瞬間、最後の力を振り絞って、この"ドルドルボール"を作り出し、その中に身を隠すことでなんと、この身を守っていたのだガネ。我ながら素晴らしい作戦だったガネ!ん?しかしこの"ドルドルボール"に付着している鍵のようなものは一体・・・!」

 

そう誰に説明したのか分からないが長い独り言を言い終えたMr.3は振り返った。

 

「ギャーーーー!!お前らは!!!ヘブッ!!!!」

 

そしてルフィに殴られて気を失うのだった。

 

「なんだったのかしら、一体・・・そういえば、ビビ。その鍵どうして持ってたの?」

 

「・・・ミス・オールサンデーがくれたの」

 

「え?それってどういう・・・」

 

「オイオイ、それは後に回そうぜ!それよりここから早く脱出しよう」

 

ナミとビビが会話しているのを、ウソップが止めたその時に、壁からピシッ!!と音がして、勢いよく水が入ってくる。

 

「うわぁあ!壁が壊れたァ!!」

 

「通路まで壊れた!脱出だ!脱出するぞ!!」

 

そう言っている間にも、水がそこにいる全員を飲み込んでいった。

 

「「「あああぁァァアアア!!!!」」」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。