反乱軍を足止めしていた俺はアルバーナ宮殿の屋上に着いて早々にクロコダイルと対峙していた。
「・・・おい、Mr.i・・・・・・どういうつもりだてめェは・・・」
クロコダイルはブチ切れていた。
Mr.2によって東門に捕らえられていた王は、オフィサーエージェントがいない隙をついてチャカによって救出されていたこと。
ビビ王女がペルと共に西門で反乱軍が来るのを待ち構えていること。
ミス・オールサンデーことニコ・ロビンがこの場に姿を現さないこと。
何より反乱軍が何者かからの足止めによってアルバーナに到着していないこと。
どれか1つをとっても"ユートピア作戦"の計画が破綻してしまいそうな事案である。
何より、クロコダイルでは俺に勝つことなどできる訳がないのだ。
「・・・反乱軍の足止めは、てめェだな・・・!!?」
ギロリと、殺気を溢れさせながら睨んでくるクロコダイルは今にも飛びかかってきそうだった。
「あー、Mr.0・・・何か勘違いしているようだが・・・」
「ほォ・・・何か言い分があるなら聞いてやる・・・」
「俺たちとの協定はあくまで"歴史の本文(ポーネグリフ)"に連れて行った際に、その内容を教える・・・ということだろう?・・・俺はまだ何も協定を破ったりなんかしていないぞ?」
ブチィッ!!とクロコダイルの血管が切れた。
クロコダイルは全身を砂にしながら襲いかかろうと向かってくる。
その時、横の方からドガァン!と建物を破壊した音が響いた。
「・・・お前は・・・!俺が!ぶっ飛ばすと・・・言っただろうがァァアアア!!」
突然そんなことを言いながらタンクをからった麦わらのルフィが現れた。
「クロコダイル〜〜〜〜!!!」
「・・・麦わらァ・・・!!!」
2人は睨み合っている。
「おいおい、麦わらの。俺がクロコダイルと闘う流れだっただろう、お前。ま、別にいいけどさ・・・」
空気になりそうな流れだったのでとりあえず横槍を入れる。
「ん?誰だお前?俺がやるに決まってんだろ!」
「Mr.i・・・てめェは後回しだ・・・先にこの麦わらをぶっ殺すからその後相手をしてやろう」
「おいおい、Mr.0・・・麦わらは置いといて、お前が俺を倒せる訳ないだろう!?」
「おい!失礼だな、お前!俺はこんな奴には負けねェよ!!」
そういうと麦わらはクロコダイルに向かって走り出した。
「あああああ!ルフィが生きてるぞ〜〜〜!!!」
「何ィ!?ルフィ〜〜!!?」
宮殿の下から声がする。
下を見てみると、麦わらの一味が勢ぞろいして騒いでいた。
オフィサーエージェントを倒してきたのだろうか。
ところどころ怪我は見られるが、麦わらの一味は少数精鋭部隊なのだろう。
「ワ〜〜〜〜!ニ〜〜〜〜イッ!」
「何度戦っても、お前は俺を殴ることすらできん・・・!また串刺しになりてェ様だな!!」
ドゴォォォン!!
クロコダイルは麦わらに殴られて血を出しながら吹き飛んでいく。
「だ・・・誰だ・・・?あれは!!」
まさかクロコダイルが殴られると思っていなかったコブラ王とイガラム は驚愕しながらその光景を見ていた。
麦わらは殴った後も次の攻撃の態勢に入っている。
「ゴムゴムのォ・・・」
「クッ・・・小僧・・・!」
殴られた後も、クロコダイルも態勢を整えるために立ち上がるが、すぐに肩を掴まれた。
「"丸鋸"!!!!」
すごい縦回転をしながら、クロコダイルに頭突きを食らわして、またクロコダイルは後ろの方に飛んでいった。
「へェ・・・やるじゃないか、麦わらの・・・」
「立て・・・!」
クロコダイルとの闘いに集中しており、瞬きすらせずにクロコダイルを睨みつけている。
「あの時お前の手にかかった"ユバで貰った水が教えてくれたんだ・・・水に触れたらお前は砂になれなくなる!だから雨を奪うんだろ。お前は水が恐ェから!!これでお前をぶっ飛ばせる!!こっからがケンカだぞ!!」
そう麦わらが言うと、クロコダイルは高笑いしながら上体を起こした。
「ハッハッハッハッハッハッハッハッハ・・・・・・お前が!?おれに勝つ気なのか・・・!?」
「ああ」
「確かによく見抜いたもんだ。死に際のあの状況でな・・・だが、そんなことじゃあ埋め尽くせねェ格の差がおれとお前にはある・・・それが"七武海"のレベルだ・・・!!」
「・・・お前が七武海だから何だ・・・!だったらおれは・・・"八武海"だ!!!」
麦わらの一味は頭を抑えて、その発言を聞いていた。
クロコダイルも呆れている。
「一体、あの男は・・・」
コブラ王がポツリともらした。
「あいつが、例の麦わらの一味の船長だな。あいつがクロコダイルを倒せるなら、それが一番良いんだが・・・」
「では、彼が・・・ビビをこの国へ送ってくれたという・・・」
俺とコブラ王が喋っている間に、麦わらはクロコダイルを殴ろうと、腕を思いっきり伸ばしたが、クロコダイルはそれを難なく避けてしまった。
「そんなもの避ければ意味はなく・・・濡れていようがいまいが・・・おれの掌はあらゆる水分を吸収できる・・・」
伸びきったその腕を掴み、水分を、吸収してシワシワにしていく。
焦ったルフィはクロコダイルを蹴りあげてその拍子に掴まれた腕を離させると、樽の水を飲んで腕を復活させた。
そして、またクロコダイルをぶん殴る為に腕を伸ばした。今度はその腕を弾いて、腕を掴まれないようにしていた。
しかし、それも難なく避けられてしまう。
「コザかしい・・・"砂漠の宝刀(デザート・スパーダ)"!!!」
クロコダイルが反撃したその技は、砂を巻き上げて相手の身体を切るものだった。
麦わらはギリギリで避けたが、宮殿がスパッと切れ、ところどころが崩れ落ちた。
武装色を覚えたらあの技は強すぎるだろうが、俺には効かないだろう。
「ゴムゴムの・・・」
また腕を伸ばしている。
ずっと同じような技ばかりで、クロコダイルは冷静になっていた。
「何度も何度も同じ技で・・・勝つ気はあんのか?」
「ああ!!満々だぞ!!!」
そういって伸びた腕に他の身体を近づけて、クロコダイルに裏拳を決めた。
その後、樽を持ち上げるとクロコダイルに水をかけようとしたが、クロコダイルは砂嵐を起こしてその水から避けるのだった。
麦わらは飛んでいきながら、慌てて樽を取り直した。
「クハハハハ!必死じゃねェか"麦わらのルフィ"・・・その樽がなきゃあ、結局なにもできねェって訳だ・・・これじゃ、初戦と何も変わらねェじゃねェか!クハハハハ!!」
「・・・お前の言う通りだ・・・これじゃあ何も変わらねェな・・・!」
そう言うと麦わらは樽に入っている水を全て飲み込んでいく。
その身体は水風船のように丸くなっていくのだった。
「これで今までの俺じゃねェ!!!」
「・・・正気かてめェ・・・・・・フザケてんじゃねェぞ小僧ォ!!!」
激昂したクロコダイルが麦わらに怒鳴りつけたが、麦わらは口から水の塊をクロコダイルにぶつけた。
クロコダイルはそのせいで身体が動かなくなっている。
「誰がフザけてるんだ!!?俺はいつでもまじめだぞ!ゴムゴムのォ・・・"バズーカ"!!!」
そう言って腹を両手でぶん殴ると、クロコダイルは宮殿の一角を巻き込みながら吹っ飛んでいった。
全然まじめな戦いに見えないのは2人とも能力者だからだろうが、まさかここまでやるとは思ってなかった。
しかし、時間をかけすぎだな。
あと少しで倒せないようだったら、俺が手を出すとしよう。
瓦礫の中からクロコダイルが立ち上がったと思ったらまた座り込み、地面に掌を向けて麦わらに話しかけた。
「いいか麦わら・・・地表にある全ての岩石は・・・崩壊するものだ・・・"干割(グラウンド・セッコ)"!!!!」
宮殿屋上にある草木は枯れ、地面はひび割れていく。
俺はコブラ王とイガラムをちょっとだけ浮かせているから問題はないが、麦わらは宮殿屋上から落ちそうになっていた。
「あっ・・・危ねェっ・・・あんのヤロー!!"水水の銃(ピストル)"!!」
そう言って水の塊を先ほどのように口から発射したが、クロコダイルは片手を上げると、その水を飲み込んでしまった。
「・・・おれの能力を殺した気でいたか?"水ルフィ"・・・だがそりゃあお門違いだ。砂の能力の真髄は"乾き"にある!!・・・見ろ。この右手は全てに"乾き"を与える手だ!底なしにな・・・!!木も・・・石も・・・土も!地表は全て砂に還る!!!・・・干涸らびろ"侵食輪廻(グラウンド・デス)"!!!」
宮殿屋上にある芝生を全て砂漠に変えてしまい、コブラ王は絶望感でいっぱいになっていた。
麦わらもなんとか飛び跳ねて、屋上の端で何とか落ちないように柵に捕まっていた。
「余計な体力を使わせやがって・・・」
クロコダイルは麦わらの首を片手で掴み、麦わらが口から上に向かって吐き出した水を避ける。
「ハズレだ・・・またお前の・・・敗けだったな、麦わらのルフィ・・・」
どんどん干涸らびさせていくと、そのまま屋上から落としたのだった。
宮殿の下の方で麦わらの一味が騒いでいる。
「次はお前だ・・・"Mr.i"いや、クロス・・・・・・」
「あぁ。お疲れのところ悪いんだが、もう時間がない。すぐに終わらせるぞ、クロコダイル!」
「抜かせ・・・」
クロコダイルは距離を詰めようと砂になって飛んできた。
俺には水がないから、覇気で闘うしかない。
俺の能力は、相手の攻撃は全て防御できるのに"自然系(ロギア)"に対する攻撃力がほとんどない。
並大抵の人間を殺せる能力ではあるけれど、このままこの世界でロビンを守るためには全然足りない力だ。
エルバフの巨人たちは"エルバフの槍"を用いた大技があるが、サウロは覇気の力を守りの力として使用していた。
その防御力も引き継いだ俺にはいかなる攻撃も効かない。
そんな俺がサウロに教えてもらった、唯一、ロギアに攻撃できると猛特訓した力。
あの黄猿をも退けた力。
至ってシンプルな覇気の力・・・
"武装色・硬化"
俺はそう言うと、コートの内側にあるダガー・ナイフを6本だけ取り出して、クロコダイルに向かって投げた。
「"同方向・強化"」
とてつもない速さで飛んでいくナイフがクロコダイルの身体を捉える。
「ぐっ・・・てめェ・・・ほんとに・・・」
クロコダイルは出血しながら立ち止まりこちらを睨む。
「"乱血"」
そう言って俺はナイフを乱方向に回転させる。クロコダイルの身体はたった6本のナイフによって内部まで蹂躙されていく。
内臓や皮膚はボロボロだろう。
クロコダイルは白目を向いて、身体中から血を吹き出して、その場に倒れたのだった。
ただの投げナイフだが、武装色硬化したナイフを身体から離して使うのはすごく大変なことだった。
どんどんナイフを纏う覇気が薄くて弱くなっていくものだから、訓練に訓練を重ねたのだ。
こんなことができるのは、俺とあの男くらいのものだろう・・・。
いとも簡単にクロコダイルを倒した俺はコートの中から骨つき肉を取り出してかぶりついた。
「約束だぜ、コブラ王。俺たちを"歴史の本文(ポーネグリフ)"のとこまで連れて行け」
「・・・あぁ・・・!!」
コブラ王は力強く頷いたのだった。
「あぁ!クロコダイルが!!おめェがやったのか!」
麦わらは上に吹き出した水を飲んで復活したのかすぐに屋上に上がってきた。
「ん?お前が敗けちゃったからな・・・悪いが倒させてもらった」
「なにィー!俺は負けてねェぞ!今からぶっ飛ばすとこだったんだ!!やっぱお前むかつくなァ!ってお前!それは!!」
麦わらは俺の持っている肉を羨ましそうに見てきた。
「あぁ?これか?良かったら食うか?」
全部言い終わる前に俺の手から骨付き肉を掻っ攫っていった。
「!!!お前めちゃくちゃ良いやつじゃねェか!!!」
そう言って麦わらは骨付き肉を食べながら、疲れ果てたのかその場に倒れてしまった。
「なぁ・・・コブラ王。こいつ面白い奴だな・・・」