巨人族の弟子   作:猫ペンギン

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前回、最終回でもいいかな?と思える終わり方をしましたが、まだまだ続きます。

空島編に突入します。


15話 挿絵:海賊旗

「あーーー!!!」

 

甲板にいるギャルディーノが悲鳴をあげた。

暗黒丸は順調に進んでいたけど、なにかあったのだろうか。

 

「ナーニよーーう?ギャルディーノ!うるさーいわよーーう!!」

 

「おめぇ達、うるせェんだよ!この"バッ"!」

 

ベンサムがギャルディーノより大きな声で注意すると、アマベルが更に大きな声で怒っていた。けれど、それを無視するようにギャルディーノが声を荒げている。

 

「"記録指針(ログポース)"が、上を向いてしまったガネ・・・船長!!クロス船長!どうするガネ?」

 

「・・・より強い磁力により"記録(ログ)"が書き換えられてしまったのね・・・空島がこの上にある!」

 

ギャルディーノとロビンがそう話すと、みんなが空島というワードにワクワクし始めた。

 

「空島って本当にあるのかしら?」

 

「キャハハハ!行ってみれば分かるんじゃない?」

 

「どうやって行くっていうんだよ!?・・・どうする船長・・・?」

 

ポーラ、ホーンビー、クラヴァも甲板にある畳の上でお茶をしていたが、座りながら会話に参加してきた。

ついさっきまで、この3人はマストに張っている帆に海賊旗のシンボルを描いていたが、それももう終わっていた。仕事が終わって一息ついていたのだろう。

 

「・・・空島にも"歴史の本文(ポーネグリフ)"がある可能性が高いな。今のところ何のヒントもないし・・・みんなが行ってみたいなら行ってみるか?」

 

おぉ!とみんなが嬉しそうに笑ったが、副船長のベンサムと参謀のロビンだけ顔を険しくしていた。

 

「行くってドゥーやって行くっていうのよーーう?そりゃあ、あちしも行ってみたいけどねぃ!!?」

 

「確かに、どうやって行くかは考えないといけないわ・・・このままここに居るわけにも行かないし・・・」

 

「確かに、言われてみるとそうだガネ・・・どこか近くの島で情報収集するのが一番良いかもしれないガネ」

 

ギャルディーノが最もなことをいうと、みんなが頷いて俺の方を見てきた。

 

「ポーラ!食い物はまだ余裕はあるか!?」

 

俺がそう聞くと、ポーラが不思議そうな顔をして答えた。

 

「?えぇ、あと何日かは持つと思うけど・・・それがどうかしたの?」

 

「"逆重力・加速(マイナスグラヴィティ・アクセル)"」

 

俺はポーラの言葉を聞いてすぐに、能力を使用して船を浮かせて、上方向に引っ張り上げる。もちろん船体は平行のままで。

 

「よし、このまま行ってみよう。無かったら帰って来れば良いだろ!最悪、空からなら島も見えるだろうし・・・」

 

「「「能力で行けるなら早く言えー!!!」」」

 

みんなが一斉につっこんだ。

 

「いや、むしろ忘れるなよ・・・俺に行けない方角はねェよ・・・」

 

「方角というより方向ね・・・でも楽しみだわ・・・ふふっ」

 

「この大きな暗黒丸を軽々と飛行船にするなんて・・・ウチの船長は化け物だな」

 

ロビンとクラヴァがそんな返事を返してきた。

ものすごい勢いで上がっていく暗黒丸だけど、みんなにかかる重力は地上にいる時と何も変わらないように操作していた。

もちろん暗黒丸にも負担がないように気をつけている。

 

「本当に楽しみだわ・・・あると良いわね」

 

「うん!楽しみー!」

 

みんながワクワクと期待していた。

 

 

 

 

##

 

 

「あの雲の先に空島があると思うんだけど・・・雲の中はもしかして、息ができなくて全員死ぬかもしれないわね」

 

「しぃ〜〜〜〜〜ぬぅ〜〜〜〜〜」

 

すごく大きな積帝雲に突入する手前でロビンが物騒な物言いで発言して、ブルが発言を簡略化して言った。

 

「どういうことだガネ?」

 

「あくまで仮説だけど、空島が雲の上にあるなら、この雲は海の役割を果たしている可能性があるわ」

 

「それは困ったな・・・風で雲を吹き飛ばしながら進むか・・・」

 

「風は大きさと方向で表わされるベクトル・・・"カゼカゼの実"に近いものを感じるわね」

 

ポーラが冷静に分析している。

カゼカゼの実か・・・噂では聞いたことがあるけど、何もないところから風は発生できるのが風人間だろう。俺の能力は、すでに発生している風を強くすることしかできないハズだ。そんなことを考えながら風を操作して船の周りにある積帝雲を飛ばしながら進んでいく。分厚い積帝雲を抜けると、一面真っ白な雲の世界にたどり着いて、船が雲の上に乗ったのだった。

 

「こりゃあ絶景だねっ!"ぜっけ"!!"ぜっ"だねっ!!」

 

「キャハハハ!すごーい!!真っ白ー!!」

 

「雲に絵を描いてみたいかも・・・」

 

女性陣が騒いでいた。

 

「船長はもう上向きに船を動かしてないの?」

 

ポーラがそう聞いてくる。

 

「あぁ。乗るかどうか試す為に能力は解除した。能力使いすぎて疲れたから、寝る!ベンサム、あとは頼む!」

 

「クロスちんも疲れることがあるのネーーイっ!!任せなサーーイ!ガッハッハッハ!!」

 

「ふふっ、お疲れ様・・・」

 

ベンサムとロビンの声を聞いて、俺は"船長の部屋"に向かった。

 

 

 

##

 

 

「まだ"記録指針(ログポース)"は上を向いてるガネ・・・」

 

「あらどうするの?副船長・・・船長を起こす?」

 

「クロスちんもお疲れなようだったしィ・・・まだゆっくりしてても良いンじゃナーーーイ?」

 

ギャルディーノとロビンとベンサムがこれからどうするかを話し合っている時に、他の面子は盛り上がっていた。ブルだけ、双眼鏡を除いてまわりの

 

「だぁ〜〜〜〜〜」

 

「この雪は海みたいなものなのかしらね・・・だとしたら能力者はどうなるのかしら」

 

「れぇ〜〜〜〜〜」

 

「キャハハハ、それもそうね」

 

「かぁ〜〜〜〜〜」

 

「この一味で能力者じゃないのってブルとマリーくらいのものだが・・・2人とも泳げそうにないな・・・」

 

そう言って全員でブルとマリーを見るが、

 

「くぅ〜〜〜〜〜」

 

「ズズッ・・・」

 

奇声を発しているブル、お茶を飲んでいるマリーの、2人の通常運転ぶりを見ることで、この2人が泳ぐのは無理そうだと全員が判断した。

 

「るぅ〜〜〜〜〜」

 

「てめェはさっきから何を言ってんだい!この太っちょ!"バッ"!!!」

 

「人だ!誰か来てるぞ!!」

 

クラヴァが雲からこちらに向かって来る人間に気付きそう叫ぶと、雲の上を走ってやって来た人物は飛び上がり、船の甲板目掛けてやって来た。

 

「排除する・・・」

 

いきなり現れた、石の仮面をつけた敵の襲撃に、みんなすぐに身構える。

 

「ジョーダンじゃナーーーイわよーーうぅ!!」

 

「ふふっ、物騒ね・・・」

 

「早い者勝ちね・・・倒した人には夕飯のおかずを一品増やしてあげるわ」

 

「やってやるガネ・・・!」

 

「呑気なこと言ってんじゃないよっ!ポーラ!!」

 

「やぁ〜〜〜〜〜るぅ〜〜〜〜〜」

 

「キャハハハ!デザートもつけるわよ!!」

 

「死にてェらしい・・・」

 

「ズズッ・・・みんな、頑張れ・・・」

 

「「「いや、お前も頑張れよ!!!」」」

 

「"六輪咲き(セイスフルール)"・・・"クラッチ"!!!」

 

ロビンを除く全員がマリーの発言にツッコミを入れている隙に、ロビンが襲撃者の身体に腕を生やして関節技を決めた。

相手の男はゴキ!と大きな音を立てて、甲板に気絶した状態で落ちてきた。

 

「「「あぁ〜〜・・・」」

 

マリー以外はやる気になっていた為、複雑そうにロビンと襲撃者を見ていた。

真っ先に気を取り直したベンサムが口を開いた。

 

「さーっすが、ロビンちゃんよねぃ!!とりあえず、コイツの仮面を剥ぎ取って、縛りあげよーうじゃナーーーイ!ブル、縄を持ってきてチョーダイ?」

 

ブルはそう言われると襲撃者をマストに縛りつけた。

 

「・・・こうなると、話も聞けないガネ」

 

「キャハハハ!さすがロビン姉さんよねぇ!」

 

「ふふふっ、そんなことないわ」

 

襲撃者が現れた直後だというのに、船の空気はすぐに賑やかになっていった。

 

「・・・なぁ、みんな。あっちを見てくれ。あの雲ちょっと変じゃねェか?」

 

「なにかしら、滝のようにも見えるわね」

 

クラヴァがみんなに話しかけるとポーラがそう答えた。

 

「とりあえず、アチラに行ってみようかしらねぃ!」

 

副船長であるベンサムが指示を出して滝の様な雲の近くに来ると、その前には大きな雲が浮いていた。

 

「なんだいコレは!!?でっかい雲だねっ!!」

 

「あっちの方から通れそうじゃない?」

 

アマベルとポーラがそう話し、船は大きな雲の隙間を通して行くと、これまた大きな門の前に出た。

大きな門には、"天国の門"と書かれていた。

 

「襲撃者といい、この門の名前といい、空島ってのはよっぽど物騒な場所なのか?」

 

クラヴァがそう言った時、門の横にある扉から、背中から羽を生やしたバァさんがカメラを片手に現れた。

 

「観光かい?戦争かい?どっちでも構わない・・・上層に行くなら入国料1人10億エクストルおいていきなさい。それが"法律"・・・」

 

「なぁ、バァさん!10億エクストルってぇのは、ベリーで言うといくらなんだ?」

 

クラヴァがバァさんに尋ねた。

 

「ベリー・・・青海の通貨かい・・・1人あたり10万ベリーになるよ」

 

「高いわねぃ!けどこの船には沢山お金があるしイイんじゃナーーイ?ガッハッハッハ!」

 

「そうね、まとめて100万ベリー払いましょう」

 

「夢のような場所でも、法律ってのはあるんだガネ・・・」

 

バァさんにお金を渡すと、雲の下からボフン!と音を立てて大きな鋏が船を掴んだ。

 

「「な、なんだァ!!?」」

 

「"白海"名物、"特急エビ"・・・」

 

バァさんがそう呟くと、船が勝手に前に進み出した。

 

「スゴイじゃナーーーイ!!?これで入国するのねぃ!?」

 

船はグングンと滝を上に登って行くと、次には帯状の川のような雲の上を進んで行く。帯状にうねる雲の周りも雲で覆われていた。

 

"神の国スカイピア"と書かれた看板が立ててあり、先には囲う雲がなくなっていた。

 

「出口だガネ!?」

 

「いや、入り口みたいよ!」

 

特急エビは役目を終えて、暗黒丸を手放すと、船は海雲の上に乗った。

 

「空島よーーう!」

 

「すごいガネ・・・」

 

「綺麗・・・」

 

"白白海"神の国"スカイピア"に到着して、クルー全員が感動しているのと同時に、気絶していた襲撃者が、マストに縛られたまま意識を取り戻したのだった。

 

 

 

 

 




今回の話でマリーが描いた海賊旗のイメージです。


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