巨人族の弟子   作:猫ペンギン

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第3話

「オォォォォオラァア!」

軍艦一隻のベクトルを操作し、持ち上げ、別の軍艦に投げつけるクロスを見て、サウロとロビンは見ていることしかできなかった。

「クロス・・・」

「なんて強さだで。まだ10歳とは思えないでよ。」

 

「何事だァ!」

「子供です!サウロ中将に乗っていた子供が我々に攻撃を!」

海軍達は混乱している。

あんな小さな子供のどこにそんな力があるというのだろうかと。

 

クロスが暴れている間にも、研究者たちは本を残そうと必死に投げ捨てる。

 

場は混沌としていた。

 

「サウロ!ロビン!!」

クロスが暴れながら、2人に向かって叫んだ。

「今のうちに、イカダで逃げろ!!もうこの島は助からない!」

 

クロスが暴れ回っているが、それでも砲弾の嵐は止むことはない。

「お母さァーーん!!!」

ロビンがいくら叫ぼうが、クロスがいくら暴れようが、オハラは着実に壊されていく。

 

「サウロ中将を撃てェーー!!」

サウロに砲台が向けられる。

「クソがッッ!」

クロスは近くにある瓦礫の山をその砲弾目掛けて投げ飛ばした。

 

「ロビン!お前の母ちゃんの望みはなんだべ!!ワシと一緒に来い!」

「お母さんが!クロスが!!」

 

「俺のことは良い!早く行け!!」

 

サウロはロビンを大きな手で包み、イカダのある砂浜に向かって走り出した。

 

「長官!サウロ中将が逃げます!」

「うぉっ!!サウロ中将、本当にこの島に!!・・・撃て!撃て!砲撃しろォ!!」

 

「アイス塊"両棘矛(パルチザン)」

 

氷の槍みたいなものが、サウロの身体を突然貫いた。

 

「「サウロ!!!」」

「クザンさん!」

「・・・クザン!!」

 

「あららら・・・バスターコールが元海兵とその連れに阻止されたんじゃあ、格好付かないんじゃないの・・・」

 

「クザン・・・!おめェはこの攻撃に!誇りが持てるのか!!?おかしいでよ!これは"見せしめ"だ!!」

 

「それが今後の世界の為なら仕方ない。現に学者達は法を破ってるじゃないの。正義なんてのは立場によって形を変える。ただ、俺たちの邪魔をするなら放ってはおけねェ!」

 

ドォォォオンンン!!!

 

すると、突然島民達が逃げ込んでいた避難船が燃えて崩れ落ちた。

「「「!!!??」」」

「うわァ!避難船が吹き飛んだァ!!」

「な・・なんでだ!!」

「砲撃です!!軍艦から!!!」

「サカズキ中将の艦から!!!」

 

「・・・!バカ野郎・・・!」

「これが正義のやることかァ!!これでも、まだ胸を張れるのかァ!!」

 

サウロがクザンに向かって拳を振るう。それをクザンが避けるのを見計らって、サウロはまたロビンを乗せて走りだす。

「逃げるど、ロビン!あいつの強さは異常だで!!」

 

「サウロが逃げたぞー!学者を一人連れている!!!」

 

「アイス塊"両棘矛(パルチザン)!」

また氷がサウロ目掛けて飛んでいく。

しかしそれが当たることはなかった。

「全反射・位置標的(オールリバース・ポイント)」

跳ね返った氷は海軍の軍艦へ襲いかかる。

「少年、能力者か。何の能力なのか検討もつかないな。」

「サウロ!ロビン!先に行け!!」

 

「アイスタイム!」

今度は、クロスに対して攻撃を仕掛ける。

その氷はクロスを覆うことなく、分散されていく。

 

パキッ!パキッ!パキッ!と音だけが鳴り響き、クザンは驚いた顔をする。

 

「高重力(ハイグラビティ)!」

今度はクロスが技を仕掛ける。

重力のベクトルを操作し、触った相手の身動きが取れなくなっていく。

(重さを操る能力なのか?いや、だったら砲弾を跳ね返した意味がわからない。・・・どちらにせよ、この少年はここで捕らえなければ、いずれ事件を起こしかねない。)

「少年、名前はなんという?」

 

「・・・クロスだ」

 

クザンとクロスがやり取りをしている間に、オハラは崩れ去ろうとしていた。

 

「もうダメだ」

「倒れるぞ・・・!全知の樹が・・・!」

 

 

 

##

 

 

サウロとロビンはイカダに乗って逃げきり、今はオハラから北東に位置する無人島に隠れていた。

 

「なんとか逃げ切れたで。ロビン、苦しいときは笑うんだで」

「だって、お母さんが!クロスが!二人とも島に!うわぁぁああん!!」

ロビンはあれからずっと暗い顔をしていて、励ましても逆効果なのか泣いてしまうのだった。

 

「ぐす・・・ぐす・・・これからどうすればいいの・・・?」

「ちょいとクロスを待ってみようと思うでよ。クザンに対抗できていたから生きているなら賞金首になるハズだで!その後は、二人ともワシが鍛えるでよ!」

 

クロスが生きているかも、この島にたどり着くかどうかもサウロには分からないが、ロビンを慰める為にも、自分が信じたい為にも、そう言うしかなかった。

ただ、クロスのあの能力は強すぎるから生きているという確信もあったが。

 

 

##

 

オハラの悲劇から3日後・・・

 

 

「逃げ切れたんだな、良かった・・・」

サウロとロビンは無人島で魚を食べているところを上から話しかける。

 

「クロス!!良かった、ほんとに生きてた・・・」

「クロス!おめェなんで月歩ができるんだで?まぁ生きてて良かったでよ!デレシシシ!」

 

「月歩?月歩は知らないけど、能力でベクトル操作をしてな。重力のベクトルの向きを上にして、大きさを5倍にしているんだ。あと、サウロのいる場所がなんとなく分かったから飛んできたんだ」

 

「めちゃくちゃな奴だで、クロス!おめェその歳で見聞色に目覚めちまったのか!!?・・・しかも、クザンの奴から逃げ切れちまうとはよ・・・デレシシ!」

 

「グス・・・よかった・・・」

 

とりあえず俺はその場に降り立ち、ロビンの頭を撫でた。

ロビンは顔を赤くして泣いてる。なんか俺のために泣いてくれてるのが嬉しいな。

 

「まぁ無事でなによりだな。魚を俺にも食わしてくれ。腹ペコなんだ」

「デレシシ!デレシシシシ!こんなに嬉しいのは久しぶりでよ、デレシシ!」

「グス・・・デレシシ!」

 

サウロもロビンも泣きながら笑っている。

あいかわらず変な笑い方だが、この雰囲気は好きだな。

俺も涙が出てきた。

とある島で両親や友だちを失って悲しかったけど、こいつらは家族みたいな感じがする。

そこから俺たちは泣きながら魚を食べた。

 

 

「なぁ、サウロ。今後のことで話しがあるんだ」

「ん、なんでよ?」

「お前中将だったんだよな?俺を鍛えてくれないか?」

「おめェ、あんなに強かったのにまだ鍛えてェのか?」

 

「いや、あの氷の奴からも逃げ切るだけで精一杯だったし。何より見聞色?とかよく分かってないしな」

「・・・ワシは厳しいでよ?」

「覚悟の上だ!」

 

俺はサウロと目を合わせる。

覚悟を乗せるようにして、目を逸らさないようにする。

「分かったでよ。どちらにせよワシはお前らを鍛えたいと思うとったんだで」

 

「ん、ありがとう。・・・ロビンも鍛えるのか?」

 

「あぁ、昨日ニュースクーにコレが挟まってたんだで!鍛えないと捕まっちまうでよ!」

 

そういうとサウロは3枚の手配書を取り出した。

「な・・・!!」

そこには俺たち3人の顔が映されていた。

どこで撮影したのかは分からないが・・・。

"悪魔の子 ニコ・ロビン 7900万ベリー"

"小さな巨人 クロス 1億ベリー"

"黄鬼 ハグワール・D・サウロ 1億ベリー"

 

「初頭の手配からこの金額はイかれてるでよ。これじゃあ、どこに行っても心休まるこたァねぇ!ある程度強くならんといかんでよ」

 

「マジかよ。でもそれで鍛えてもらえるなら助かるな。でも・・・この小さな巨人てのはなんだ?」

「デレシシ!おめェ小さいのに俺と変わらんくらい力持ちだったでよ!能力のせいだろうが!まぁ黄鬼よりはマシだで!デレシシシシ!」

「・・・悪魔の子よりもマシ」ボソッ

 

ロビンも不服らしい。

学者たちを"オハラの悪魔"呼ばわりされるのが嫌なんだろうな。

 

「デレシシ!ロビンも気にするな!可愛い顔が台無しでよ!デレシシシシ!」

 

「かわいい・・・」ボッ

 

ロビンは顔を真っ赤にした。

俺たちは本物の家族のように笑い合うのだった。

 

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