Fate/zero~If Another Story   作:晴月

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エピローグ

冬木市市内、とある場所。

 

とある青年が一人、さまよっていた。

 

「あれ?何処だ此処?」

 

どうやら青年は道に迷ってしまったようだった。

 

「う~ん。おかしいな?この地図ではこの付近なんだが。全く違うじゃないか。」

 

男は今何故か港に来ていた。

 

「.......もしかして俺また、やっちゃったのか?」

 

男は再度、地図に目を通して目的地へと歩いていった。

 

───────────

 

とある公園にて、

 

そこで一人の女性とその子供の女の子が一人、男と遊んでいた。

 

男の名は"間桐 雁夜(まとう かりや)"冬木市での聖杯戦争を取り仕切る、御三家の一つ、間桐家の後継者なのだが、彼は現在出奔していた。

 

そして女性の名は遠阪 葵(とおさか あおい) 御三家の一つ遠阪家の当主の妻であり、雁夜の幼馴染である。

 

「あれ?そういえば桜ちゃんは?」

 

雁夜がそう聞くと、一緒に遊んでいた女の子"凛"が俯き、葵も暗い表情になってしまう。

 

訳を聞くと、桜は時臣によって間桐の家に養子に出されたとのこと。雁夜はそれを聞くといてもたってもいられず間桐家へと向かおうとした。が、

 

「あの.....すいません。」

 

「はい?何ですか?」

 

「道を訪ねたいのですが。......この住所って分かります?」

 

「え?此処って!.....まさか、あんた!」

 

雁夜は男が訪ねた住所に驚愕した。男が示した住所は今まさに雁夜が向かおうとしていた間桐の家だったからだ。

 

───────────

 

「臓硯!!!」

 

雁夜が扉を乱暴に開け、怒鳴り込みながら現当主

 

間桐 臓硯(まとう ぞうけん)に詰め寄る。

 

「どういうことだ臓硯!.....遠阪家の次女を養子として引き取っただと!」

 

「なんだ誰かと思ったら落伍者か。ああそうだ。本来はお前が後継者になるはずだったがな。」

 

「くっ。」

 

雁夜は臓硯にそう言われて俯いてしまう。

 

「......なら、俺と取り引きしろ。俺が聖杯を持って帰ってきたら桜ちゃんを解放しろ!」

 

「ほう。大きく出たな雁夜.....だが、聖杯戦争までもう日が無い。どうするつもりだ?」

 

雁夜は少し考え、結論を出す。

 

「.....俺に刻印虫を埋め込め、それで参加出来る筈だ。」

 

臓硯は雁夜の持ち出した取り引きについて少し考え、

 

「.......いいだろう。なら、早速.....」

 

結論を出したその時、

 

「あのーもう入っていいですか?」

 

雁夜は驚いたが、直ぐに玄関前で待たせていた青年のことを思い出した。

 

「ああ。悪い.....忘れていた。」

 

雁夜が扉を開け、中に入ってきた青年は臓硯を一瞥し、次に雁夜を見た。

 

「えーと........当主はどっちだ?」

 

「儂が当主の間桐 臓硯じゃ。」

 

臓硯は青年にそう名乗り出た。

 

「あんたが当主か......なら、話をさせてもらおうか。」

 

青年は雁夜と臓硯の間に立ち、まるで雁夜を庇っている様に見えた。

 

「今回、間桐家の代理で聖杯戦争に出場する天瀬 悠莉(あまがさ ゆうり)だ。宜しく頼む。」

 

青年はそう名乗り、臓硯に握手を求める。

 

「......悪いが、来てもらって早々だが代理の話は無かったことになるやも知れぬ。......今しがた出奔した落伍者が帰って来たのでな。」

 

臓硯はそう言って雁夜を見た。

 

「その話。外から聞いていたが、ちょっと待ってもらえないか。こっちは色々と準備を済ませてきたんだ。今更無かったことになんて出来ない。」

 

悠莉も一歩も引かない。

 

「なら、この落伍者を納得させてから儂に話を通すのだな。」

 

臓硯はそう言って何処かへと歩いていった。

 

「.....さて、あんたが当主の言っていた男か。道案内してもらって悪いが、さっきの話は全部聞いていた。」

 

「そうか。」

 

悠莉は雁夜に話を聞いていたことを話し、雁夜もまた、引くには引けない状況だと悠莉に説明した。

 

「なら、俺がその娘を助ける。それならいいか?」

 

「出来るんならそうしてくれ。......だが臓硯の事だ、そう易々と桜ちゃんを手放したりはしない筈だ。」

 

雁夜は悔しそうにしながらも自分にはどうすることも出来ないことにうちひしがれていた。

 

「安心しろ。俺には目的があって代理になったんだ。」

 

果たして悠莉の目的とは?

 

 

─────────────

 

悠莉side

 

それから数日が経過し、悠莉が間桐家の代理として聖杯戦争に参加することが決まった。

 

 

聖杯戦争まであと数時間に迫った深夜二時となった。

 

俺は雁夜、臓硯と共に間桐家の竜脈が流れている場所へと来ていた。

 

俺はこの日のためにサーヴァントの触媒を自分で用意し、今正に召喚を始めるところだ。

 

「.....時間だ、始めるぞ。」

 

俺は床に描かれた魔方陣の前に立ち、右手をかざす。

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公」

 

「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に三叉路は循環せよ」

 

「閉じよ、閉じよ、閉じよ、閉じよ、閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する。」

 

悠莉が詠唱を唱えると悠莉の目の前にある魔方陣の光が更に強くなっていく。

 

「────告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。誓いを此所に。我は常世総ての善と成るもの、我は常世総ての悪を敷くもの。」

 

このタイミングだ。俺はバーサーカーを呼び出す為の呪文を唱える。

 

「されど汝はその眼を混沌に曇らせ待るべし。汝狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者──」

 

そして、いよいよ大詰めだ。

 

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ────!」

 

詠唱し終えると同時に魔方陣には魔力による風が吹き荒れる。

 

身体から魔力が減っていくのが分かった。そして、風が吹き止み、その魔方陣の中央に立っていたのは、

 

「...サーヴァント、バーサーカー。....召還に応じ参上しました。」

 

よし!やった、やったぞ。........遂に俺は呼び出したんだ。........俺が望んだサーヴァントを。

 

「ああ。宜しく頼むバーサーカー。俺がお前のマスターだ。」

 

「そうですか。あなたが私のマスターですか。」

 

バーサーカーは淡々とした口調で俺を見る。

 

悠「さて、先ずお前に頼みたい事がある。」

 

俺は臓硯に聞かれないように、バーサーカーと念話で会話する。

 

「.....了解しました。」

 

バーサーカーはそう言って部屋を飛び出し、何処かへと向かった。

 

「なんじゃ、一体?」

 

臓硯と雁夜は何が何だか分かっていない様子だった。それよりも、俺はあの娘の元に彼女を向かわせた。なに、彼女ならものの数分で終わるだろう。

 

そして臓硯と雁夜をその場で少し待たせてから数分後。

 

 

『マスター終わりました。』

 

『ご苦労。摘出したものを持ってきてくれ。』

 

『了解しました。』

 

さて、後は。

 

「なぁ、当主さん。そろそろ教えて貰っていいかな?あんたが聖杯を求める理由を。」

 

俺は向き直って、臓硯の方に顔を向けた。

 

「なんじゃ、藪から棒に?」

 

臓硯は訝しげに俺を少し睨む。

 

「いや、少しだけ気になっただけだ。......まさかとは思うが、登坂の様に聖杯を手に入れるのは悲願。とか言わないよな?」

 

さて、そろそろ言ってやるか。

 

「いや、違うな。........そうだ。あんたは不老不死になりたいんだろう、聖杯を使ってな。」

 

俺がそう言った途端に臓硯は表情を変えた。

 

「貴様.......何処でそれを、」

 

さて、そろそろか。

 

「マスター。持ってきました。」

 

バーサーカーが実体化して俺に"桜"の身体に入っていた異物を持ってきてくれた。

 

「有難う。........さて、臓硯。これな~んだ?」

 

俺が臓硯に見せた物。それは"虫"だ。しかもただの虫じゃない。奴の、臓硯の身体を構成している虫の一匹だ。

 

「何故、貴様がそれを!」

 

臓硯は慌てふためき、虫を返す様に、俺に向かって叫ぶ。だが、俺は返さない。

 

「悪いが、あんたには此処で死んで貰う。その為に、あんたの足元にルーンでつくった結界を張っていた。」

 

「なに!?」

 

臓硯は直ぐ様、自分の足元を確認した。確かに臓硯の足元にはルーン文字が刻まれた結界が張られている。

 

「全ては俺の目的のためだ。ansaz(アンサズ)!」

 

ルーンで手に持っていた虫を焼き殺し、そして部屋を立ち去る。

 

「あんたの夢は此処で潰える。........俺が俺の願いを叶えるために聖杯を取る。」

 

彼の背後で断末魔の叫びをあげながら臓硯は灰となっていく。

 

「さて、雁夜。これでお前からの依頼は達成した。」

 

「助かった、有り難う。」

 

雁夜は自分が忌み嫌っていた臓硯がまさかこんなにもあっさりと殺されるとは思わなかった為に少しだけ拍子抜けしてしまう。

 

「それで、これからの事だが......」

 

悠莉は自身の右手に刻まれた令呪を見てからこう答える。

 

「俺は、聖杯戦争に参加する。そして俺自身の願いを叶える。」

 

そう強く、自分の意志は固いのだと言わんばかりに雁夜に告げる。

 

そしてこの悠莉の宣言が、第四次聖杯戦争の開幕を現しているかに思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




プロフィール

天瀬 悠莉

22歳 (男性)

セミロングの銀髪、赤い目を持った青年

魔術回路・質:A

魔術回路・量:B+

起源:運命
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