Fate/zero~If Another Story   作:晴月

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第一話 聖杯戦争の始まり

悠莉が聖杯戦争に参加する意志を見せた翌日。間桐邸の応接間にて、

 

「さて雁夜、これからの事を話すとしよう。」

 

「あ、ああ。」

 

悠莉は雁夜に自分の立てた作戦を伝える。雁夜は昨日臓硯を殺した人物と同じ人間だとは未だに思えずにいた。

 

「先ずは情報収集だが、それは今俺の使い魔がしている最中だ。」

 

「なら、一体何を話すことがあるんだ?」

 

すると悠莉は一呼吸置いてから雁夜にこう答える。

 

「敵サーヴァントの能力とマスターの情報だ。」

 

そして更に悠莉は話を続ける。

 

「.......例えばの話だ。俺が引き当てたサーヴァントがもし、"アサシン"だったなら情報収集能力に秀でているためあっさりと分かっただろう。....だが、俺が引き当てたサーヴァントは"バーサーカー"だ。バーサーカーは固有スキル "狂化"が有り、全ステータスを暴走により強化することができる代わりにこちらの命令を聞かない事が多い。....ましてや俺のバーサーカーは狂化ランクがEXだから意志疎通はほぼ不可能だな。」

 

悠莉は窓の外を遠い目で見ながら答えた。

 

「......話を戻すぞ。バーサーカーはその特性上、かなりの魔力を消費する。....お前が使おうとしてた....刻印虫、だったか?あれは苗床となった人間の身体を喰って魔力を生み出す、いわば悪魔の取引の様な物だ。お前があれを使って聖杯戦争に参加する気だったならかなり身体を喰われていた筈だ。....大方、臓硯もそれを見越してお前に刻印虫を植え付けようとしたんだろうな。邪魔者を排除するために。」

 

それを聞いてやはりか、と今までの臓硯の自分に対する扱いにやっと納得がいった。桜を自分の駒として操るために俺は邪魔だったんだと雁夜は悟った。

 

「情報収集は俺の使い魔が担当。後は、今回聖杯戦争に召喚されたサーヴァント達がどんな能力を持っているかが重要だな。なんたってそれが聖杯戦争の鍵となることだからな。」

 

悠莉はそう言うと突如、何かを思い出したのか直ぐに応接間から飛び出していく。そして暫くしてから何かを持って応接間に入ってきた。

 

「なんだそれは、コートか?」

 

雁夜は悠莉にそう聞くと悠莉はただ静かに頷いた。

 

「ああ。これにはルーンを込めてある。.....バーサーカー。」

 

「なんでしょうか?」

 

突如として悠莉の隣に霊体化していた悠莉のサーヴァント、バーサーカーが現れる。

 

「これから他のサーヴァントと戦う際にはそのコートを来ておけ。」

 

「了解しました。」

 

バーサーカーは悠莉の指示に了承してコートを着る。

 

「どうだ?雁夜、バーサーカーを見て何か感じるか。」

 

「どうと言われても.....」

 

その時、雁夜が感じたのはただ一つだけ。其処に居る(・・・・・)筈のバーサーカーが居ない(・・・)様に感じたのだ。

 

「.....察するに、バーサーカーが認識(・・)出来ないんだろう。当然だ。認識阻害のルーンをコートに組み込んでいるからな。これでバーサーカーの真名が判明することは無い。後は、使い魔からの情報を待つだけだな。」

 

ふああぁ、と暇そうに欠伸をしながら伸びをする悠莉。

 

すると突然応接間の扉が開いた。

 

「おじさん....」

 

「さ、桜ちゃん。どうしたの?」

 

現れたのは、雁夜が助けようとしていた少女。桜だった。

 

「お腹すいた。」

 

桜がそう言うと、その場の張り詰めた空気が一変して

 

「そうか、もうそんな時間か。」

 

悠莉は部屋の時計を見ると、座っていたソファーから腰を上げてキッチンに立った。

 

「何か作ろう。桜ちゃん、何がいい?」

 

悠莉は桜の為に料理を作ろうとして桜に要望が無いか聞く。

 

「うーんとね、オムライス!」

 

「よし分かった。今すぐ作ってやる。」

 

悠莉は桜の頭を撫でると直ぐに調理に取り掛かった。

 

────────────

 

「どうぞ、オムライスだ。」

 

暫くして悠莉は桜の要望通り、オムライスを作って桜にスプーンとケチャップとを一緒に渡す。

 

「いただきます。」

 

桜は両手を合わせてからスプーンを手に取り、そのままオムライスを食べだす。

 

「......美味しい。」

 

桜は笑顔で料理の感想を口にする。

 

「それは良かった。」

 

桜から料理の感想を聞けて満足したのか悠莉はどこか嬉しそうだった。

 

雁夜も桜の笑った顔を久しぶりに見れたため、悠莉に任せて良かったと安堵するのだった。

 

「雁夜、ちょっと。」

 

悠莉はいつの間に移動したのか応接間の扉の向こうから雁夜を呼んでいた。

 

雁夜は悠莉の後を追って扉の向こう側の廊下に移動する。

 

「話って何だ?」

 

開口一番に雁夜は悠莉に訪ねる。

 

「....桜の事だ。」

 

悠莉は神妙な面持ちで雁夜に話す。

 

「桜の体内に埋め込まれていた臓硯の一部はバーサーカーの"宝具"で摘出した。だから身体に異常は無いんだが、問題は心だ。ただでさえあんな幼い少女が虫に陵辱されたんだ。心が壊れてもおかしくない筈なんだ。」

 

「.......」

 

雁夜は黙って悠莉の話を聞いていた。確かに悠莉の言うことには一理ある。それが一体何の関係があるのか、雁夜は分からなかった。

 

「俺は表向き、医者をやってるんだが...」

 

「は?お前医者かよ!?」

 

「あ~そういや言ってなかったな。」

 

悠莉の突然のカミングアウトに雁夜は目を白黒させてしまう。

 

「まぁそれは置いておこう。本題は桜の心だ。俺もバーサーカーも心のケアに関しては専門外だ、だから雁夜。」

 

悠莉は雁夜の両肩を掴んで真剣な表情で雁夜の目を見る。

 

「お前が桜を助けるんだ。」

 

悠莉の今までにない真剣な表情に雁夜は、それだけ桜の心の状態が深刻だと直ぐに理解し。

 

「ああ、分かった。俺が桜ちゃんを助け、そして守ってみせる。」

 

雁夜は悠莉にそう、自分の決意を告げた。

 

────────────

 

次の日の夜。悠莉の使い魔からアサシンがアーチャーに敗れた事が報告された。

 

「アサシンが敗退。つまりあと五騎倒せば聖杯戦争に優勝できるな!」

 

雁夜はまるで自分の事のように喜んだ。しかし、悠莉は何かを考える様子で一言。

 

おかしい(・・・・)

 

そう呟いた。

 

「おかしい?何がだ?」

 

雁夜は悠莉の言葉の意味が分からず、そう聞き返す。

 

「アサシンの事だ。昨日話したと思うが、アサシンクラスの固有スキルは"気配遮断"つまりは自身の存在を認識できなくするスキルだ。」

 

そこから悠莉は更に続ける。

 

「そのアサシンが何故、気配を遮断していたにも関わらずアーチャーに敗れたのか。」

 

悠莉は立ち上がると少し歩く。

 

「考えられることは二つ。一つは今回の聖杯戦争で呼ばれたアサシンは"気配遮断"のランクが低すぎてアーチャーに認識されてしまった。もう一つはアサシンのマスターがわざと(・・・)アサシンをアーチャーに撃破させた事だ。」

 

「!!!」

 

悠莉の推察に雁夜は驚いた。まさかそこまで考えていたとは思わなかったからだ。

 

「更にアサシンのマスター 確か名前は言峰 綺礼(ことみね きれい)だったな、奴は今回のアーチャーのマスター 遠阪 時臣(とうさか ときおみ)の弟子らしい。」

 

「時臣.....」

 

雁夜は時臣の名を聞くと怒りに顔を歪ませた。

 

「どうやら奴とは因縁が有るみたいだな。まぁ、聞く気は無いが。」

 

悠莉は雁夜をそう一瞥して次の作戦を雁夜に話す。

 

「な───!?」

 

だがそれは、雁夜の予想をはるかに上回る作戦だということを未だ誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




令呪

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