IS~インフィニット・ストラトス~自由の戦士と永遠の歌姫   作:剣の舞姫

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歯医者行こうと思ったら、土曜は12時までとか…寝坊したから行けない(涙)


第五話 「クラス代表決定戦」

IS~インフィニット・ストラトス~

自由の戦士と永遠の歌姫

 

第五話

「クラス代表決定戦」

 

 セシリアとの決闘の日、既にキラとラクスは第三アリーナのピットに来ていた。既に搬入されている一夏の専用機を、一夏が来る前に点検する為でもあり、キラ自身が開発に携わっていたのもあるので、完成状況を見ておきたかったのだ。

 

「OSは完成されているね。まだ一次移行(ファースト・シフト)はしていないから初期設定のままだけど、零落白夜の為の回路も完成しているし、最高速度を出す為のOS構築も完璧……うん、流石は束さんだ」

『ヤマト、そろそろ織斑が来る。その辺で終わらせておけ』

「了解です。僕もそろそろISスーツに着替えてきます」

 

 管制室にいる千冬の声に、一夏の専用機に繋いでいたコードを引き抜き、点検を終えると、ロッカールームに入っていった。

 その様子を管制室から見ていたラクスはキラから送られてきた完成品のOSを確認する。

 

「それが織斑の専用機のOSか?」

「はい、キラと束さんが手掛けた最新式のOSですわ」

「そうか……アレの開発にはヤマトも携わっていたと聞いているが、ISのOSも作れるとはな」

 

 随分と多芸なキラに苦笑する千冬だが、その話を聞いていた真耶が素っ頓狂な声を上げた。

 

「ええええ!? ヤマト君とクラインさんって篠ノ之博士と一緒にいたんですか!?」

「はい、一年間だけでしたが」

「じゃ、じゃあ今どこにいるのかは……」

「残念ですが、私達がここに来る時に引っ越してしまったので、現在の居場所は不明です」

 

 一応、携帯電話の電話番号とメールアドレスは知っているが、機密扱いしているので、明かす事は出来ない。

 ラクスは一夏専用機のOS画面を閉じると、少し神妙な顔で千冬と向き合った。

 

「織斑先生に、お聞きしたい事があります」

「聞きたいことだと?」

「ええ、貴女の剣は…この学園にあるのですね?」

 

 千冬の剣、それが何を意味しているのかを理解して、千冬はラクスを少しだけ睨み、沈黙を続けた。話す意思は無い、そう態度が頑なに語っている。

 

「束さんの所で開発していた無人ISが、盗まれました」

「っ!? 何…?」

「いずれ、貴女は再び剣をその手に取らねばならない日が来ると、束さんは仰ってましたわ、一夏さんをお守りする為に、必要なら貴女は石像と化した剣を、再び握る…違いますか?」

「……そうならない様に、してきたつもりだ」

「ですが、ここ一年ほど束さんと共に調べてきましたが……覚悟を決める時は、必ず訪れると思いますわ」

 

 まるで何かの予言の如く、ラクスはそう言い残し、後は何も語らず試合開始時刻までオペレートの教本を読み始めるのだった。

 

 

 キラが一夏専用機の調整を終えて少しすると、漸く一夏と箒がピットに来た。

 一夏達が来る頃には説明の為に千冬もピットに来ており、遅れてきた一夏と箒の頭を出席簿で叩く。

 

「遅いぞ馬鹿者共、ヤマトは直ぐに試合があるというのに、あまり待たせるな」

「ご、ゴメンキラ、千冬姉……」

 

 再び出席簿が一夏の頭に炸裂、学習しない男だった。

 

「織斑先生だ」

「す、すいません、織斑先生」

「まったく、それよりも来たぞ、お前の専用機が」

「あ……」

 

 一夏の視線の先には、固定されている彼の専用機、白式の姿があった。

 

「一夏、これが君の専用機、白式だよ」

「白式…これが、俺の専用機……」

 

 これから自分の専用機となる白式に見惚れている一夏だが、時間はかなり押しているのを忘れているのだろうか。

 結局、何もしないで白式に目を奪われている一夏の頭に千冬が出席簿を落とす事で覚醒させた。

 

「さっさと乗れ、ヤマトの試合の間に初期化(フォーマット)最適化(フィッティング)を済ませておけ」

「りょ、了解」

 

 一夏が白式に乗り込んだのを見届けて、キラは右手首に巻きつけているブレスレットに左手を添えた。

 

「ヤマト、お前もそろそろ行け。オルコットが待ちくたびれている筈だ」

「はい……じゃあ、行こうか、ストライクフリーダム」

 

 その瞬間、ブレスレットが輝き、0,3秒という時間でキラの全身を灰色の装甲が覆いつくした。

 キラの顔のみを残して全身を装甲で覆い、最後にキラの頭をヘルメットの様なものが覆って額の部分には特徴的な形のアンテナらしきものが現れる。

 全身装甲(フルスキン)タイプのIS、MS時代のストライクフリーダムをそのまま小さくしてISにしたかのような機械的な、且つ兵器の如きIS、それがストライクフリーダムだ。

 

全身装甲(フルスキン)タイプだと!? ね、姉さんが作ったIS、なのか…? これが……」

 

 初めて見る全身装甲(フルスキン)タイプのISに驚きを隠せない箒、そしてストライクフリーダムを作ったと思っている人物の手腕を、改めて凄いと思うのと同時に、やはりそんな姉への嫌悪が隠せなかった。

 

「すげぇ、カッコイイなキラのIS!」

「ありがとう、それじゃあ行ってくるよ」

 

 キラはピットから管制室の窓を見上げた。そこにはラクスが手を振っており、それにキラも手を振り返してカタパルトにストライクフリーダムを固定させる。

 

『カタパルトシステム、オールグリーン。進路クリア、X20Aストライクフリーダム、発進どうぞ!』

 

 ピット内に響くラクスの発進合図、それと共にキラは下半身に力を入れた。

 

「キラ・ヤマト、フリーダム! 行きます!!」

 

 発進したカタパルトに乗って、ストライクフリーダムがアリーナに飛び出した。

 飛び出して直ぐにバレルロールをしながら上空に上がり、その最中にVPS(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲がONになり、白と黒のボディ、黄金の関節、青い翼が太陽光に照らされて鮮やかに輝く。

 

「ふ、全身装甲(フルスキン)タイプですって!? なんなんですの!? そのISは!!?」

 

 既にアリーナに出ていた青い機体、イギリスの第三世代型IS、ブルー・ティアーズに乗るセシリアが、見た事も無い全身装甲(フルスキン)のISに驚愕する。

 だが、すぐに気を取り直してキラを小馬鹿にした態度になり、ブルー・ティアーズの主砲であるライフル、スターライトmkⅢをストライクフリーダムに向けて構えた。

 

「随分と遅かったみたいですわね。まさか逃げ出したのではと思いましたが、安心しましたわ!」

「遅れたのは謝罪するよ……でも、友達の為だからね」

「あら、汗臭い男の友情という奴でしょうか? お友達思いのお優しい男性ですわねヤマトさんは」

「友達は大事にするのって、普通じゃないかな?」

「そうですわね。しかし、そのままお友達とご一緒にいらっしゃれば宜しかったのに、どうせあなた方が束になって掛かってきても私の勝利は揺らぎませんからね!」

 

 スターライトmkⅢのセーフティーを解除しながら、セシリアはキラに最後通告をした。

 

「これが最後ですわ! この決闘、既に私の勝利は絶対のもの! 素直に泣いて謝るというのでしたら、まあ許して差し上げないこともございませんことよ?」

「随分と自分の力を過信しているみたいだけど、足元掬われても大口叩けるのかな?」

「っ! でしたら……ここでお別れですわね!!」

 

 スターライトmkⅢの銃口から一直線にストライクフリーダムへ向けてレーザーが発射された。それと同時に試合開始の合図が出て、観客は皆、この一撃がストライクフリーダムに直撃すると確信していた。

 しかし、歴戦の戦士であるキラにとって、実に教科書通りの真っ直ぐなレーザーなど、何ら脅威足りえない。

 余裕を持ってレーザーをかわしたキラはスーパードラグーン兵装ウィングを広げてハイマットモードに移行すると、高速機動をしながら両手の高エネルギービームライフルを構えた。

 

「は、速い!? 防御特化型のISではなかったんですの!? い、いえ……たとえ速くても、それだけですわ! 踊りなさい! 私とブルー・ティアーズが奏でる円舞曲(ワルツ)を!!」

 

 どうやらセシリアはストライクフリーダムを全身装甲(フルスキン)タイプである事から防御に特化した機体だと思っていたらしい。

 防御特化の機体で、全身装甲(フルスキン)タイプだと、どうしても重くなってスピードが遅くなる。

 そうなればセシリアの射撃の的だと思っていたのだろうが、残念ながらストライクフリーダムは高速機動全距離対応広域殲滅型のISだ。相手の見た目だけで性能を決め付けている様では、まだまだ二流である。

 

「くぅっ! ちょこまかと!!」

 

 そして、ストライクフリーダムがスピードを主体とした機体であると考えたのか、スターライトmkⅢを連射したが当たらない。

 スターライトmkⅢだけでは不利だと思って、誘導兵器……ブルー・ティアーズ4基を射出してストライクフリーダムを追わせるが。

 

「誘導兵器の動きも教科書通りだね、甘いよ」

 

 両手のビームライフルを左右二発ずつ、合計四発だけ発射する。

 ブルー・ティアーズと同数の黄緑色のビームが一発たりとも外れる事なく、一瞬でブルー・ティアーズを破壊してしまった。

 

「そ、そんな!?」

 

 まさか一瞬で4基全てが落とされるとは思わなかったセシリアはスターライトmkⅢを再び構えてレーザーを連射するが、尽くがストライクフリーダムの高速機動によってかわされ、一発も当たらない。

 するとストライクフリーダムのウィングからブルー・ティアーズと同系の兵器と思しき誘導兵器……スーパードラグーンが8基射出され、ビームライフルとドラグーンから連射されるビームにセシリアは翻弄されてしまう。

 

「び、BT兵器ですって!? 何故イギリスの兵器を貴方が使っていますの!? そ、それに…何て出鱈目な処理能力……誘導兵器を8基も操りながら自身も高速機動して、尚且つ両手のライフルを連射してくるなんて!?」

 

 ビームが当たり過ぎてシールドエネルギーが残り70を切った。装甲もボロボロで、スラスターにも異常が出始めてしまったブルー・ティアーズは、満身創痍だろう。

 

「そろそろ、かな」

 

 両手のビームライフルを腰にマウントして、ドラグーンもウィングに戻したキラはシュペールラケルタビームサーベルを二本、両手に握ってセシリアに急接近してきた。

 しかし、セシリアはこの時を待っていたのだ。まだセシリアは使っていない武装が二つ。

 

「掛かりましたわね! ブルー・ティアーズは……」

 

 腰にある残りの装備……。

 

「6基ありましてよ!!」

 

 ミサイル型のブルー・ティアーズが発射され、キラに迫る。

 だが、そのミサイルがキラに命中する事は無かった。トップスピードですらISの特殊加速技能、瞬時加速(イグニッションブースト)と同等のスピードだというのに、そのストライクフリーダムが瞬時加速(イグニッションブースト)に入った。

 更に、その瞬時加速(イグニッションブースト)の途中でミサイルを切り裂き、セシリアの横を大きく横切った瞬間、瞬時加速(イグニッションブースト)の中で更に瞬時加速(イグニッションブースト)に入るという神業……二重瞬時加速(ダブルイグニッションブースト)に入り、一瞬でブルー・ティアーズに接近した。

 

二重瞬時加速(ダブルイグニッションブースト)ですって!? 織斑先生以外にそんな絶技が出来る人がいるなんて!?」

「戦闘中だよ」

「っ!?」

 

 キラの見せた二重瞬時加速(ダブルイグニッションブースト)、それは本来、織斑千冬が現役時代に使用した絶技であり、織斑千冬にしか出来ないと言われていた最強の加速だ。

 それをキラが使った事に驚いたセシリアは、決定的な隙を見せてしまう。当然、その隙を見逃すキラではなく、接近した瞬間に二刀流にしているビームサーベルの二閃がセシリアを襲った。

 

「きゃああああああああああっ!!!?」

 

 刹那の斬撃、それによってブルー・ティアーズの全身の装甲と、スターライトmkⅢが破壊され、シールドエネルギーも0になってしまった。

 

【ブルー・ティアーズ、シールドエネルギーエンプティー、勝者キラ・ヤマト】

 

 ブルー・ティアーズのシールドエネルギーが0になった瞬間、キラの勝利が決まった。

 キラはハイパーデュートリオンエンジンと小型レーザー核融合炉エンジンと、各種武装出力にリミッターを掛けた状態で、更に一夏が白式の初期化(フォーマット)最適化(フィッティング)を終了させ、一次移行(ファーストシフト)を終えるであろう時間まで時間稼ぎするという手加減をした状態でありながら、この試合の被弾は0だ。

 キラとセシリアの実力差が、はっきりと現れた瞬間でもあった。

 

「そんな……この私が、一撃も与えられずに、敗北してしまうなんて」

「君は、慢心が過ぎたんだ、女性だから男性より強いのは当たり前、代表候補生だから強くて当たり前、そんな考えに縛られていたから僕に攻撃を掠らせる事も出来なかった」

「……っ」

「オルコットさん、君は確かに強いと思うよ、15歳でここまで戦えるのなら充分凄いと僕も思う。でもね、慢心は成長を阻害するんだ……君が慢心を捨て去り、成長しようという気持ちを確りと持てば、まだまだ強くなれる余地が残ってるから」

 

 そこまで言って、キラはストライクフリーダムの右手を差し出した。

 

「また、試合しよう? 今度は、もっと強くなった君と、ブルー・ティアーズを僕に見せて?」

「……わかりましたわ。私、もっと強くなります! 強くなって、そして……“キラさん”に認められるようなIS操縦者になってみせます!!」

「うん、今の君なら出来るよ。だから、強くなって、そしてその力で守りたいモノを守れる本当の強さを、僕に見せてね」

「はい!」

 

 キラの言葉を確りと心に刻み込み、セシリアは晴れ晴れとした表情で返事を返した。

 キラも、その返事に満足したのか、セシリアに微笑み返して次の一夏との試合までの30分間に休憩する為、ピットに戻って行く。

 セシリアは、そんなキラの後姿を先ほどの微笑みによって朱に染まった頬を隠す事無く、熱の籠もった瞳で見つめながら、自分もピットに戻るのだった。




次回はキラVS一夏、一夏にとっては初の戦いの相手をキラが務めるとか…ムリゲー。
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