IS~インフィニット・ストラトス~自由の戦士と永遠の歌姫   作:剣の舞姫

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今回はちょっとだけ短いです。


第七話 「判明したカップル」

IS~インフィニット・ストラトス~

自由の戦士と永遠の歌姫

 

第七話

「判明したバカップル」

 

 クラス代表が決まり、翌日の授業からISの実習が始まった。

 キラ達1年1組の生徒はグラウンドに出てセシリア、キラ、ラクス以外は学校支給のISスーツを、セシリアはイギリスでも使っていた青いスーツを、キラは束が作ってくれた空色のスーツで、一夏の物とは違ってお腹は出ていない。オーブ軍時代に使っていたパイロットスーツに似ている。

 残るラクスはISを殆ど使わないのだが、キラ同様の束特性、キラと色違い同デザインで桜色のISスーツを着ていた。

 

「それでは本日よりISの実習授業を始める。先ずは専用機を持っている者に見本を見せてもらおう、織斑、オルコット、ヤマト、前に出ろ」

 

 千冬に言われて前に出た一夏とセシリア、キラの三人はISを展開する様に言われ、言われた通りに展開するのだが、一夏だけがもたついていた。

 

「何をやっている織斑、熟練のIS操縦者なら展開に1秒と掛からんぞ」

「う、えっと……来い! 白式!!」

 

 漸く一夏も白式を展開したので、キラはストライクフリーダムのVPS(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲をONにする。

 

「うわぁ、ヤマト君のIS、色が変わった!?」

「すごぉい、綺麗……」

 

 クラスメート達が色が変化したストライクフリーダムに驚くが、白と黒、青のトリコロールカラーが鮮やかで、関節の黄金部分の輝きにうっとりしていた。

 

「では三人とも、武装を・・・っと、ヤマトのISは最初から展開されていたな。織斑、オルコット、武装を展開しろ」

「はい!」

「りょ、了解!」

 

 雪片弐型を展開した一夏と、スターライトmkⅢを展開したセシリアだが、タイムはセシリアの方が速く、0,5秒で、一夏は0,7秒も掛かってしまっている。

 戦場ではその0,2秒は大きく、命取りになる事をキラもラクスも、そして千冬もよく知っていた。だからこそ、一夏の現状はあまり宜しくない。

 

「遅いぞ織斑! 0,5秒で出せる様になれ!!」

「はい……」

「オルコットさんは流石に速いね。代表候補生って言うだけあって0,5秒ピッタリでライフルを展開出来てる」

「そ、そうですか? まあ、私ほどになれば当然ですわ!」

「ああ、確かに流石だがなオルコット、銃口を真横に展開する癖は直せ。ヤマトを撃つ気か?」

 

 見ると、確かに千冬の言うとおりスターライトmkⅢは真横に向けて展開されており、銃口はキラの姿を捉えている。

 

「で、ですがこれは、私のイメージを纏める為に必要な……」

「直せ、いいな?」

「は、はい……」

 

 流石にセシリアでも千冬には逆らえない。あの鋭い眼光で睨まれれば15歳の小娘程度、萎縮するのも当然だった。

 

「次だ、オルコットは近接武器を展開しろ」

「りょ、了解ですわ…ふん! ……むん! …あ、あれ? くぬぬぬ……っ」

 

 ブルー・ティアーズに唯一搭載されている近接武器、インターセプターを展開しようとしたセシリアだが、遠距離主体の彼女は近接武器の扱いに慣れていないため、インターセプターの展開が不慣れなのか、中々出来ないでいる。

 

「ああもう! インターセプター!!」

 

 武装名を叫ぶ事で、やっと展開出来たみたいだが、あまりに遅すぎる上、そもそも武装名を叫ばないと展開出来ないというのは大問題だ。

 

「何秒掛かっている馬鹿者、それでは敵に接近された時に直ぐ落とされるぞ」

「じ、実戦では接近なんてさせませんわ!!」

「ほう、ヤマトの機動に追いつけず簡単に接近を許した者の言葉とは思えんな」

「うっ!?」

 

 遠距離の人間が遠距離だけを鍛えれば良いという訳ではない。

 寧ろ遠距離主体だからこそ、接近された時の事を考えて近接技能を鍛えておく必要があり、セシリアみたいに接近戦武器の展開にもたついていては簡単に落とされてしまう。

 

「次はISの基本的な飛行操縦を実演してもらう。ヤマト、織斑、オルコット、その場から急上昇しろ」

「「「はい!」」」

 

 セシリアが先に飛び立ち、キラも膝を折り曲げて地面を蹴る様に急速上昇した。そしてそれに続いて一夏も急上昇したのだが、随分と遅い。

 

『何をのろのろしている! ストライクフリーダムは兎も角、スペック上の出力はブルー・ティアーズより白式の方が上だぞ!』

 

 そうは言われても、一夏は白式に乗るのは今日が二回目で、それでスペック上の出力を全力で出せと言われても無理がある。

 

「ええっと、急上昇は確か前方に角錐を展開するイメージで……」

 

 必死に教科書に載っていた事と、キラに言われていた事を思い出しながら飛行をするが、中々思うようにいかない。

 

「一夏さん、イメージは所詮イメージですわ」

「そうそう、教科書に書いてある事や僕が教えた事は所詮は模範的な事だから、一夏は自分に合った方法を模索した方が建設的だよ」

「キラ、セシリア……そうは言ってもな、大体…空を飛ぶ感覚自体がまだあやふやなんだよ。どうやって浮いてるんだ、これ?」

 

 セシリアはイギリスでずっと訓練していたから自分なりのイメージを浮かべる事が出来るし、キラもMSに乗って飛び回っていた経験から、空を飛ぶイメージは簡単に掴める。

 しかし、一夏は今までISに触れたことなど無いし、ましてやMSなどという存在を知らないのだから、イメージがまだ掴めていないのも無理は無い。

 

「どうやって浮いてるか説明してもいいけど、長くなるよ?」

「ええ、反重力力翼と流動波干渉の話とか」

「うっ……いや、説明はいい」

 

 聞きなれない名称を聞いただけで意味不明なのに、更に詳しく説明なんてされたら頭がパンクしてしまう。

 

『一夏っ!! いつまでそんな所にいる! 早く降りて来い!!』

「箒だ・・・何してるんだ? あいつ・・・」

 

 ハイパーセンサーを駆使して地上を見れば、山田先生からインカムを奪い取って一夏を睨んでいる箒の姿が見えた。

 ただ、すぐに千冬に頭を叩かれてインカムを山田先生に返していたが。

 

「しっかし、すげぇなISって、こんなに離れてるのに箒の睫毛までくっきり見える」

「あら、それは当たり前ですわよ?」

「一夏、ISは元々、宇宙空間での活動を想定して束さんが作ったんだよ? 当然、宇宙空間では何万キロも離れた星の位置で自分の居場所を確認しないといけないから、それに比べればこれ位、ハイパーセンサーにとって大した距離にはならないんだ」

「へぇ~・・・」

 

 因みに、この状態でもかなりの機能制限が掛かっているらしい。

 キラも何となくハイパーセンサーを使って地上にいるラクスの顔を見た。真っ直ぐキラを見上げて、僅かに微笑みながら小さく手を振っている。

 そんなラクスに対してキラも微笑みながら手を振り返すと、それを見ていたセシリアが不機嫌そうな表情で二人の様子に疑問を持った。

 

「(な、何なんですの!? キラさんとクラインさんの雰囲気は!! ま、まるでこ…恋人同士ですわ!?)…… ま、負けてられませんわね」

「? セシリア、如何したんだよ?」

「っ! な、何でもございませんわ!!?」

『織斑、オルコット、いつまで私語をしているつもりだ! 次は急降下と完全停止だ! 目標は地表から10cm、ヤマト、オルコット、織斑の順番で降りて来い!』

 

 上空に留まって少し私語をし過ぎたらしい。千冬が若干怒りながら指示を出してきた。

 最初に急降下実演をする事になったキラはハイマットモードの状態を維持したまま一瞬でトップスピードになりながら急降下して、地上すれすれの所まで近づくと急停止を掛ける。

 ラクスと千冬以外の誰もが地面と激突すると思ったが、見事ストライクフリーダムは地表3cmの所で完全停止していた。

 

「見事だな。目標は10cmと言ったが、やはりお前なら10cmでは物足りないか?」

「お望みでしたら後2,5cm縮めて停止する事も出来ますよ?」

「ふん、それはまた今度見せてもらおう。次! オルコット!」

 

 今度はセシリアが急降下してきて、地表10cmの所で急停止する。その操縦に危なっかしさは存在せず、実に安定した急降下と急停止だった。

 

「うむ、流石だな。地表10cmぴったりに止めたか」

「これくらい朝飯前ですわ!」

「最後に織斑!」

 

 そして最後、一夏が急降下してきたのだが……最初は良かった。だけど途中でバランスを大きく崩して安定性を失い、落下速度そのままでグラウンドに突っ込んで地面と激突、グラウンドに大穴を空ける結果となってしまった。

 

「馬鹿者、グラウンドに穴を空けてどうする! 誰が地面に激突しろと言った?」

 

 穴の中で地面に頭を埋める一夏に容赦無い千冬の激怒が飛んだ。

 何とか頭を引っ張り出した一夏だが、白式が解除されて地面に座り込んでしまう。何処か落ち込んでいる様に見えるのは気の所為ではないだろう。

 

「一夏、大丈夫?」

「ああ、キラ悪いな、折角色々と教えてもらったのに失敗しちまった」

「仕方ないよ。一夏はまだ白式に乗って2日目だから、慣れるまで少し掛かるよ」

 

 キラの優しさに心救われた気分になったのか、少し元気になった一夏は勢い良く立ち上がる。

 

「織斑、自分で空けた穴は自分で埋めておくように……ヤマトに頼るなよ?」

「……はい」

 

 相変わらず厳しい千冬だが、キラとラクスは一夏に背を向けた後の千冬の表情を見て悟った。一夏に怪我が無い事に安心して、少しホッとした表情を浮かべているのだ。

 何となく、素直じゃない千冬に、苦笑しながらキラはラクスの傍に歩み寄る。既にストライクフリーダムは解除していて、授業も終わったので一緒に校舎に戻らないといけない。

 

「あら、もう宜しいのですか?」

「うん、一夏も怪我は無いし、戻ろう?」

「はい」

 

 微笑合い、一足先に更衣室に戻ろうとしたキラとラクスの背中に一人の少女の声が掛かる。何処か焦った様な、不機嫌な様な、悲しそうな、そんな声だ。

 

「オルコットさん? 如何されましたの?」

「オルコットさん?」

「あ、えっと・・・わ、私の事はセシリアで宜しいですわ! 私もキラさんと呼んでますし、クラインさんの事もラクスさんで宜しいですか?」

「ええ、構いませんわ」

 

 周りのクラスメートが何事かと集まってきている。一夏と箒も何事だろうと穴埋めそっちのけで聞き耳立てているのだ。

 

「そ、それでその……キラさんとラクスさんは、仲が宜しいみたいですけど、どの様な関係なのでしょうか?」

「僕とラクス? 恋人、だよ」

「はい、キラとはお付き合いをしていますわ、もう4年になりますわね」

「こ、こい……っ!?」

『恋人ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!??』

『そ、そんなあああああああああああああっ!!??』

「一夏…お前は知ってたのか?」

「あ、ああ、前に聞いてな」

「そ、そうなのか…(クラインに、アドバイスを貰えば私も、もしかしたら……?)」

 

 クラス中が大きなショックを受けていた。IS学園にたった二人しか存在しない男子、その片割れであり、年上で、アイドル顔負けの美男子で、笑顔が素敵なお兄様ことキラ・ヤマトが、ラクス・クラインというお似合い過ぎる女性と恋人同士と判り、キラに魅了されていたお年頃の乙女達がショックを受けるのも当然だろう。

 何より、キラに惹かれていたセシリアは呆然としてしまい、目の前が真っ暗になって、足元が覚束なくなるほどのショックを受けていた。

 

「騒がしいぞ馬鹿者共!!」

 

 結局、千冬のお怒りが飛んできて、罰として次の授業まで1年1組の生徒全員はグラウンドをランニングする事になってしまうのだった。




次回はセカンド登場! 前半はかなり修正されます。
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