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全高120メートル、重量16万トン、それの正式名称は『Mobile Operation Godzilla Expert Robot Aero‐type』と言う。
略して『モゲラ』である。
特撮映画『ゴジラVSスペースゴジラ』に登場する、人類の技術(未来人由来含む)の粋を集めて建造された『対ゴジラ作戦用飛行型機動ロボット』だ。
ちなみに改修されたSRFタイプで、原作ではどうだったか覚えていないが、ゲーム内では改修後も変わらず宇宙空間での戦闘が可能となっている。。
その名に恥じない性能をそなえ、大気圏内外問わず自力での飛行が可能で、音の壁さえ越えてしまう。
今も、NPCの操縦で高空から緩やかな螺旋を描くようにして降下している。
……本当、どうして飛べるのやら。
「チキンブロスより、シルバーチームを除く全機へ。巻き込まれないように高度を取れ」
モゲラの搭載兵器は強力だ、味方への誤射も有効なので、冗談抜きにおっかない。
「ウォードックリーダー、偵察に来ているウィッチ達に警告してやってくれ」
「なあ、ついでにちょっとだけお喋りしちゃ、ダメ?」
「あー、そうだな…よろしく伝えておいてくれ」
「了解!」
「…チキンブロス、チキンブロス。こちらシルバーチーム」
モゲラを操縦しているNPCの一人からだ、壮年の男性で、シンジョウという。
ちなみにモゲラは3人乗りで、ユウキ、キヨ、シンジョウの3人ともが働き盛りな歳である。
「武器の無制限使用の許可を求める」
「武器の無制限使用を許可する」
「了解。キヨ、プラズマレーザーキャノン発射」
「発射」
降下しながらのモゲラの攻撃、両目(というのが最もシックリとくる)から鏃にも見える黄色の光線が、断続的に発射された。
正確に目標ネウロイへと着弾、爆発、物凄い規模で火花が散る。
「連続発射!」
ネウロイの表面が吹き飛び、ちぎれるも、直ぐに再生。
赤いビームで反撃をしてきた。
ビームがモゲラに直撃、しかし怪獣王の熱線を想定して施された装甲に弾かれる。
さすがモゲラだ、なんともないぜ!
「おい、奴の動きは遅いぞ。ランディングだ」
「了解、キヨ、ランディング」
「オッケィ!」
ユウキの言葉を受け、モゲラは減速しつつ姿勢を直立させ、垂直着陸。
大地を揺るがせながら、2本の脚を地につけた。
睨み合う両者の間に、奇妙な束の間の静寂が訪れる。
先に動いたのは、ネウロイだった。
ビームを数十ヶ所から発射、これでもかとモゲラに浴びせた。
が、その悉くを弾き散らし、モゲラの装甲は無傷。
しかしエネルギーの余波なのか、コクピット内部の一部でアーク溶接の時のような火花が散った。
「反撃!プラズマレーザーキャノン!」
「了解!」
モゲラの反撃に、表面を削られながらもネウロイは負けじと巨体を蠢かせ、ビルのように太い脚部でもって歩行した。
「えっ、歩くの?」
思わず、おれ。
「そりゃ脚がありますから」
と、彼女。
「よし、ドリルアタック」
モゲラは迎撃のかまえ、両腕を下げ顔のドリルが高速回転、無限軌道とスラスターの組み合わせで滑るように前進、脚2本を支えに巨体を持ち上げたネウロイと激突!
巨大な構造物が軋んだような、不気味な唸り声を上げたネウロイは、まさか自身の質量を受け止めきられるとは思わなかったのだろう、焦ったようにビームを乱射。
コクピットが衝撃に揺れ、至近距離からのビームに火花が散るも、3人は怯まない。
「キヨ、出力上げろ!」
「了解!」
モゲラは更にスラスターをふかし、各可動部を上手く動かして、ドリルをネウロイへと突き立て、頑強なはずの表面を容易く抉ってみせた。
驚いたのか、ネウロイはたじろぐように後退、元の4足歩行へ戻った。
「ハッ、ネウロイよ…だらしねえなオマエは…」
「シンジョウ、スパイラルグレネードミサイルだ」
「了解、スパイラルグレネードミサイル準備」
モゲラの両腕が目標ネウロイへと向けられた、その時。
「雪風よりシルバーチーム、目標背面から小型ネウロイ射出を確認」
「ミサイル中止しろ!」
発射のために開き、ミサイルの露出した腕を慌てて閉じる。
直後、モゲラへと羽虫のような飛行型ネウロイが大量に殺到。
「後退、地対空レーザーキャノンで迎撃しろ」
「了解。やつら、モゲラに取り付くつもりか?」
「食い破られるとは思えんが、動きを邪魔されるかもしれないな」
高速でバックするモゲラの頭部にあるアンテナ状の突起から青い光線が照射、正面の飛行型ネウロイは撃破していくのだが、いかんせん人間程度のサイズのため、分散されてはモゲラの搭載兵器では効率が悪い。
「おまかせください!」
そこで、ユキたちのISである。
今まで、目標ネウロイからは死角となるモゲラの影に隠れていたユキ、それに『FGO』の『アストルフォ』をモデルにした男性NPCと『艦これ』の『夕雲』と『インフィニット・ストラトス』の『織斑マドカ』をそれぞれのモデルにした女性NPCの計4人が躍り出る。
…ちなみに4人の強い希望に応じて、既に親睦を深めているのだが、おれはホモでもロリコンでもない、断じて。
ホームに帰ったらこの4人と更に親睦を深める予定だが、決して違う、念のため。
「生きててよかった、とか。生の喜びを実感した、とか…アスきゅんの明日は天晴れだとか、言ってましたねあなた様」
「やめろ、やめてください」
乗機をユキと同じ『打鉄』で統一した4人は、右手にビームライフル、左手に身の丈を越える程度のサイズの、小型ミサイルを複数納めた発射用コンテナをかまえ、モゲラに取り付かんとする小型ネウロイ群へと照準。
「よし、自動追尾式レーザー砲で、奴の脚を狙え」
「了解」
モゲラは小型ネウロイをISに任せ、目標ネウロイの脚やよって立つ大地を吹き飛ばし、体勢を崩す。
ネウロイも反撃するが、一斉に放ったビームは装甲を貫けない。
「ダメージは?」
「損傷軽微、まだまだいけます!」
無傷とはいかないが、戦闘に支障を来すには程遠かった。
「おれの事なんていいだろう、ほら、それより凄いじゃないかIS。蝶のように舞い、蜂のように刺す…というには、ちと速さがちがうな。まるで落雷だ」
「なにをそれっぽい事言った気になってるんですか、あなた様」
あくまでもゲームでの話であって、原作ではどうなのか知らないが、ISの機能のひとつに操縦者の認識能力などの強化がある。
本来、広大な宇宙空間での活動を想定したISの性能を十全に発揮するために、機械が人間にあわせるのではなく、人間が機械にあわせるのだ。
この機能のおかげもあって、ISを纏った彼女たちは、たったの4機でモゲラの露払いをこなしている。
ハイパーセンサーで周囲の敵を全て認識し、かつ互いに標的が被らないよう分担し、複数の敵を同時にロックオン。
IS側でビームライフルの、1発あたりの発射時間を最適…今回はコンマ5秒にもみたないらしい…に調節し、操縦者の発射から次の標的への照準もサポート、なるべく効率良く射撃させる。
同時に、振り分けた標的の識別情報を小型ミサイルへ伝送、発射後はIS側から誘導せずとも小型ミサイル単体で標的へ向かえるように設定を行い、操縦者が発射したら即座に量子化して拡張領域にしまっていた小型ミサイルを給弾。
ネウロイからの攻撃も忘れてはならない、ISのシールドバリアーよる防御も当然、限界がある。
操縦者はISからもたらされる敵の攻撃兆候、脅威度などから常に機動を選択、次の行動も考えながら実行、場合によっては自身の傍に浮遊する盾で攻撃を受け、剥き出しの生身に被弾して絶対防御の自動発動による余計なエネルギー消費や姿勢、思考の乱れ等がおきないよう注意する。
とはいえ、小型ネウロイの数が多すぎるため回避中も攻撃の手を休めるわけにはいかないのだが、幸いにして小型ネウロイへの誤射を気にしているらしく、目標ネウロイは強力なビーム攻撃をモゲラ以外に行おうとしないため、こちら側が優勢だ。
好機とみたユウキが、シンジョウに指示を出す。
「総攻撃開始」
「了解、オールウェポン、スタンバイ!」
モゲラの腹部が開き、パラボラアンテナのような形をした
プラズマメーサーキャノンが露になる。
「ファイア!」
それはあまりに美しい光の奔流だった。
モゲラの各種レーザー、ビーム砲が一斉に発射され、目標ネウロイへ。
「おおっ!?」
しかし敵もさるもの。
集束させたのか、今までとは比べ物にならない規模と威力の、禍々しい赤のビームが、モゲラの最大火力と真正面からぶつかりあい、拮抗。
が、一瞬。
拮抗したのは一瞬で、赤いビームはモゲラの光学兵器が織り成す虹色の光に押され、呑まれ、ついには目標ネウロイ
へと到達した。
「くっ!」
眩しすぎる爆炎、黄金色の光に思わず目を細めた。
衝撃波が小型ネウロイを弾くように吹き飛ばし、ISたちも攻撃を止め姿勢制御に集中せざるをえなかった。
凄まじい轟音が高空の大気をも震わせ、大地はひび割れ。
そして目標ネウロイは、再生が追い付かない脚を投げ出し、仰向けになってしまっている。
無事な所の方が少ないほどの深手だが、それでも時間と資源さえあれば再生してしまえるのが、ネウロイの恐ろしいところだ。
だから、モゲラを操る3人は、全く気を弛めることなく、ネウロイを睨み続けていた。
「スパイラルグレネードミサイルだ、コアにぶちこめ!」
「了解!」
モゲラの両腕が開かれ、納められていた巨大なミサイルが、その攻撃的フォルムをあらわし、目標ネウロイへと向けられた。
「発射!」
火を吹き、先端が回転しながら正確に、スーパーシルフ雪風の割り出したコア位置めがけ飛んでいく。
着弾、本来ならばゴジラの強靭な肉体を貫くためのミサイルは、あれほどの爆撃を地中とはいえ耐え抜いたネウロイの巨体を抉り、見事にコアを破壊した。
機械じみた断末魔の叫びを轟かせ、カールスラントを苦しめていた要因のひとつが自身の産み出したネウロイと共に崩壊し、キラキラと輝く細かな粒となって空と大地に消えたのである。
「…やったな」
「ああ…」
ハイタッチをするシンジョウとキヨ、安堵するユウキに、抱き合って称え合う4人のIS乗り。
他のチームのパイロットたちも、おれの機体の横にきて、サムズアップ。
「お疲れ様、みんな。任務は成功…だよな?」
「もちろんです、あなた様」
「よし、帰って打ち上げパーティーでもするか」
その一言に、一斉に歓声が上がった。
(…確かに、彼らはNPCだ、作られた存在だ。しかし、それが何だと言うのか…みんな、今を生きているじゃないか…)
この良い気分も、現実に戻ったら切り替えなくてはならないが、だからこそ今が楽しいのだと思う。
おれは、徐々に集まってきた各チームの大編隊の真ん中にいる、それがとても誇らしい。
「よし、折角だ、ちょっと挨拶してから帰ろう」
遥か遠くに避難していたらしい、偵察ウィッチたちの方へと進路をとる。
自然と、みんなで歌を口ずさみながら、おれはカメラに向けて手をふった。
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