真・恋姫無双~鈴々伝   作:硝石

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第一話 張飛再誕

 

梅雨の時期、嫌気がさすほどの雨に晒されながら私は自転車を走らせていた。

 

 

通り慣れた橋を通るとき、現代では見慣れない古風な服を着た老人が傘もささずに

歩く姿に注意を引かれた私はバランスを崩してしまい橋の両側についている手すり

に衝突してしまった。

 

 

運の悪いことに錆びて脆くなっていたようで、不吉な音とともに川に投げ出されて

しまう。

 

 

必死の抵抗も空しく容赦なく襲い掛かる濁流の中私はあっさりと意識を手放した。

 

 

 

 

 

「―あれ、ここは?」

 

 

気が付いて辺りを見回してみると、私は埃っぽい寝台の上で寝かされていた。

 

 

死後の世界だろうかと思いつつ起き上がろうとしたとき、頭が割れるような頭痛と

ともに走馬燈のようなものが頭の中を駆け巡った。

 

 

(なによ…この映像は)

 

 

それは今まで経験したことない記憶だった。しかし、自分で経験したかのような現

実感があった。

 

 

「鈴々?これは私か?ん?ちょうひ…張飛!?」

 

 

私は耳を疑った。張飛といえば思い当たるのは一つしかない。まさかと思い自分の

姿を確認すると、溺れるまでの私の体とは全く異なる未成熟な体になっている。

 

 

(張飛は張飛でも恋姫の張飛かい!)

 

 

と独りツッコミを入れつつ、流れ込んできた記憶を基に状況整理を始める。

 

 

(成程。独りで暮らすようになって寂しさで心が壊れてしまったのね)

 

 

少女の記憶を辿ってみると、どうやら両親が盗賊に巻き込まれて以来帰ってこなく

なったらしく、昼間は村の子供たちと遊べても夜になると独りになってしまい、更

に自分ひとりで狩りや採集をして生活しなければならないという環境で過ごしてい

たようだ。

 

 

そんな生活に小さい女の子が耐えきれるはずもなく、心が壊れ空っぽになってしま

った少女の器に魂だけとなった自分が入り込んだという感じだろうと結論付けた。

 

 

(空想の世界で目覚めるくらいだからあり得ない話ではないわね。これって転生っ

ていうのかな?まだやり残したことあるんですけど…しょうがないか)

 

 

起こってしまったことは仕方がないのでこれから先のことを考えようと頭を切り替

える。

 

 

(衣食住は問題ないとして、周囲の人から怪しまれないようにしないといけないわ

ね。下手なことして忌諱されでもしたら後々面倒だし)

 

 

取り敢えず関羽が来るまでの辛抱だと自分に言い聞かせ、立ち振る舞いの練習を始

めることにした。

 

 

「―ゴホンッ、あーあー。…り、鈴々は張飛なのだ~///」

 

 

(三十路前なのに私は何をしているんだ!)

 

 

あまりの羞恥に顔を真っ赤にしつつ、恥ずかしさを隠さんと頭から寝台に飛び込み

これからに備え眠りに就いた。

 

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