教会の白い死神~リメイク~   作:ZEKUT

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歪曲

 駒王町に存在する学園の一つ、駒王学園。裏の事を何も知らない一般生徒も通う学園の一室、そこが教会と悪魔の対談場所だった。

 友好的とは言えないピリつく空気の中、対談は始まった。

 教会の使者であるゼノヴィアは今回のあらましを簡単に説明する。

 コカビエルが教会を襲撃、教会で保管されていた四本の聖剣を盗み逃亡、潜伏先はこの駒王町。

 ここまでの話を聞き、この町の管理者を任せられているリアス・グレモリーは嘆息する。イリナ・ゼノヴィアは知らぬことだが、数週間前にもこの町に堕天使が侵入したことがあったのだ。前回は組織の下っ端だったが今回は違う。組織の幹部、聖書にも記されている大物、コカビエル。未だ若輩である彼女には荷が重すぎる案件であり、溜息の一つや二つをついても仕方ないことだ。

 そこでゼノヴィアは教会側からの言伝を伝えた。

 

 悪魔は今回の事件に関与するな。

 

 あまりの言い様にリアスはムッと表情を歪める。確かに今回の事件に悪魔が介入するのはよろしくないだろう。しかし、事件は他所ではなく悪魔が管理する領地で起きている。それに手出しするなと言うのは些か横暴が過ぎると言うものだ。やや怒気の混ざった声音で反論するも、ゼノヴィアの挑発的な物言いに乗り、自分達はこの事件に関与しないことを宣言してしまった。頭の回る彼女の友人が居れば、その言葉に酷く頭を抱えることだろう。

 相手の了承を得られたことに満足した二人、話が終われば用はないと去ろうとするが、そこで一人の少女を視界に捉えた。

 少女の名はアーシア・アルジェント。数か月前まで教会に属していた元聖女だ。二人は教会から追放されたとはいえ、聖女だった者が悪魔になるとは堕ちるとこまで堕ちたなと、激しく糾弾する。

 それに対し反論できないアーシアは、俯きながら視線から逃げる。

 そこで割って入ったのが、ブリテンの守護龍、赤き龍に魅入られた少年、兵藤一誠だった。彼はアーシアを隠すように前に立ち、その糾弾に反論する。

 口論に熱が入り、あわや一触即発と言ったところでさらに乱入者が現れた。

 

「面白いこと言うね。そんなに血気盛んなら、僕の相手をしてくれないか?今度こそあいつを殺すための練習台としてね」

「何者だ、キミは」

「何者か、君達に解りやすく言うなら先輩だよ。失敗作として処分されたね!」

 

 教会に育てられた戦士と教会に捨てられ悪魔となった騎士、互いの思惑が絡み合い、両者は剣を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■□■□

 

 

 イリナとゼノヴィアの二人に悪魔との対談を丸投げした有馬だが、今何をしているかと言うと、仕事を終わらせていた。

 昨日に強奪された聖剣の内一振りを回収し、先程残りの三本も回収し終えたところだ。

 特に有馬が何かしたわけではない。人気の無さそうな路地裏や廃墟をぶらついていたら奪われた聖剣を持って敵が現れただけだ。聖剣エクスカリバーが三本とはいえ、使い手自体の力量はさして高いわけでもなく、連携も拙かったため、戦いとして成立することなく勝負は一分も保たずについた。

 後はこれを持って本国に帰還するだけ、普段と比べて随分と楽な仕事だったなと思いながらサポート役として同行している二人を捜そうと街を歩き始めた。

 二人を捜し始めてから十数分がたった頃、意外にもあっさり見つけることはできた。

 できたのだが

 

「え~、迷える子羊にお恵みをー」

「どうか天に変わって哀れな私達にお慈悲をぉぉぉ!」

 

 別行動を開始してからそれほど時間が経過した覚えはないのだが、二人は奇行に走っていた。

 流石の有馬もこれには面くらい、近づくのを躊躇った。誰が好き好んであれの知り合いと見られたい。恐らく彼女たちは募金活動をしているのだろうが、端から見ればタチの悪い乞食だ。

 数秒の間じっくり悩み、接触するか否かを考える。

 数秒後、有馬は何事も無かったかのように来た道を引き返し、人ごみの中に消えていった。

 流石に天然と称される有馬でも、あれには近づきたくなかったようだ。

 後ろから聖ペトロだ、そんなことはないだと程度の低い口喧嘩が聞こえたが、聞こえないふりをして早足でその場から離れていった。

 後に二人と合流し帰還しなかったことで起こる事件に巻き込まれることとなるのだが、それはまだ少し先の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□■□■

 

 

 聖剣計画

 担い手に資質を求める特殊兵装、聖剣。生まれ持った資質によって使用の有無が決まる聖剣。聖剣を扱う資質を僅かでも持つ少年少女を集め、研究機関にて育成し、後天的に聖剣使いを生み出すことを目的とした計画、聖剣計画。

 当時の教会も甚大な人材不足に頭を悩ましており、有能な人材の補給は急務であった。それだけに計画には期待を寄せられていた。後天的とはいえ聖剣使いの量産化、実現すれば戦力の質は飛躍的に上昇する。更に今まで扱える人材が居なかったためにお蔵入りとなっていた聖剣を活かせるとなれば、教会の士気も高まり、人材の確保もより一層取り組みやすくなる。

 計画も無事始まり、全てが順調かと誰もが疑いを持たなかったと時に、事件は起きた。

 

 破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)

 擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)

 天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)

 夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)

 祝福の聖剣(エクスカリバー・ブレッシング)

 透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)

 教会が保有する六本のエクスカリバーの破損

 

 ある任務で有馬貴将が使用した聖剣エクスカリバー、その全てが核にも甚大な損傷を残し壊れた。

 元々大戦で破損したエクスカリバーの破片を錬金術にて新しく作り変えたのが今のエクスカリバー。元は星の聖剣と名高かった神造兵装だが、教会の錬金術師によって造り替えられた聖剣は威力、能力共に最強の聖剣とは程遠い代物となったが、それでも有象無象、無銘の聖剣とは比べるべくもない。そんな聖剣がたった一度の任務で六本全てが破損だ。この報告を受けた際、教会の司祭の多くは卒倒し、そうでない者でも眩暈が生じた。錬金術師は刀身どころかエクスカリバーを錬金するに至って重要な核まで破損している事に発狂したそうな。

 まあそんな些細なことはさておき、本題はこれからだ。教会が保有する聖剣エクスカリバーの破損、それは瞬く間に教会に広まった。これに対しての反応は十人十色、無事に任務を達成した有馬を褒める者もいれば、聖剣を破損させた有馬を酷評する者もいた。そんな中、最も口論が繰り広げられた話題がこれだった。

 

 聖剣、エクスカリバーに拘る必要があるのか?

 

 今回の任務で有馬がエクスカリバーを破損させたように、過去にもエクスカリバーは何度か刀身を錬金術にて作り直されている。今まで破損すること自体が珍しかった聖剣だったが、今回有馬が全て使い潰したことで、聖剣は本当に強力無比な武器なのか疑問として浮上することになった。これには教会の戦士だけでなく、司祭も討論する程の問題として教会の問題となったのだが、これに終止符を打ったのが、原因の当人である有馬の一言だった。

 

 

―――――新しいクインケが必要だ

 

 

 感情の色が見えない淡々とした言葉。その言葉にどのような感情があったのか、クインケとはいったい何を指しているのか、聞きたいこと、問いただしたいことは多々あった。しかし何も言えなかった。熱の無いあまりにも冷めた瞳、深海のように深く、常闇のように暗い目を前に、彼らは口を開くことができなかった。

 唯一つ、一つだけ理解できたことがあるとすれば、有馬貴将にとってエクスカリバーは力不足。本来の星の聖剣ならまだしも、砕けた星屑では有馬の実力に伴わない。

 そこで司祭たちは考えた。現在行われている聖剣計画、これを継続する意義はあるのだろうか、と。有馬は教会内で新進気鋭の若き芽として有名だ。次世代を担うであろう彼が、聖剣では不足と言ったのだ。事実、聖剣は全て破損、任務中に相対した敵に致命傷を与えることができたが、武器の喪失で最後まで仕留めることができず、逃亡を許してしまった。

 この件で教会では計画の続行か凍結かで意見が二つに分かれた。計画とは別に戦士の育成機関として残すべきだと冷静に述べるヴァスコ・ストラーダ。聖剣を軽く見るな、このまま聖剣使いを生み出す機関として続けるべきだと熱く語るバルパー・ガリレイ。長きに渡る議論の結果、計画は続行、しかし経過結果が著しくなければ計画は凍結、戦士教育機関として流用されることが決定した。

 それが良くなかった。

 聖剣計画の被験者、そのほとんどが死亡、殺害された。その身体に宿る資質(因子)だけを抜き取り。

 聖剣計画に最も賛同してたバルパー・ガリレイ。彼は聖剣を扱うには因子が必要であり、因子が高ければ高い程、力を引き出せると知った。しかし計画の訓練内容では因子の増幅、強化などたかが知れている。そこで聡明な彼は悪魔の方法を考えついた。

 

 一で足りないのなら、十に纏めればいいのだと。

 

 結果、被験者は軒並み死亡、残ったのは聖剣を扱う資格を得る因子の結晶。

 これには非難する声が多く上がり、教会はバルパーを追放処分することが決まった。本来なら極刑に処されても可笑しくはない非人道的行い、だが聖剣使いを量産する手段の確立に成功したことも加味され、追放処分で済まされることとなった。

 皮肉にも、有馬の戦闘能力の高さによって引き起こされた事件、それが一人の少年に復讐の火を灯した。

 

「これが僕の過去、僕が生き続けてきた理由さ。確かに同志たちを皆殺しにしたバルパー・ガリレイも許せない。必ず報いを受けてもらう。でもそれ以上に許せないんだ。あいつと言う存在がね!あいつが居なければ同士達が殺されることはなかった。だからこそ僕はみんなの無念を背負い、あいつを倒さないといけない。それが処分と言う名の虐殺で死んでいった同士達の無念を晴らし、僕達を処分したことが間違いだったと証明する手段だから」

 

 

 

 




 木場キュンの復讐対象は有馬さん!
 うん、ムリゲーです!
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