教会の白い死神~リメイク~   作:ZEKUT

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 遅くなって申し訳ないです。
 それと誤字訂正してくださる皆さんに感謝です。

 今後はもう少し早く投稿していきたいですけど、内容がうまくまとまらず遅くなってしまいます。
 感想や評価をくださる皆さんには元気づけられます。
 それを元気に変えて頑張っていきたいと思うです!
 
 ではようやくの有馬無双にご期待ください!


三立

 パチンッ!

 

 

 一誠の頬に平手が炸裂する。ジンジンと痛む頬、避けることは造作もない張り手だったが、甘んじて受け入れる。今になって思えば浅慮な行動だったと後悔するほかなかった。

 聖剣さえ破壊できれば一時的だが問題は解決する、そう思っていた。しかしそれが間違いだった。まず問題点として向ける視点を誤った。聖剣計画の被害者だから計画立案者、または聖剣自体を恨んでいる、そう思っていた。だが蓋を開けてみればそれは復讐の一端、通過地点でしかなく、本命は全くの別にあった。有馬貴将を殺すこと。それが真の復讐対象。論点を見誤った時点でこの結果は必然だった。

 

 

「貴方達、自分が何をしたかわかっているの?」

 

 

 彼らの主は震える声で問いただす。無理からぬ話だ。事態は既に一領主が責任を負うことでどうにかなる段階を越えてしまった。

 教会の戦士ゼノヴィアとの戦闘後、木場は聖剣を片手に行方をくらました。すぐさま追跡を行った二人だったが、身柄を押さえることはできず、逃亡を許すこととなった。結果、自分達では手に余ると遅まきながら思い至り、主であるリアスに事の次第を報告しに来た次第だ。

 報告を聞いた彼女は自身の考えの甘さを痛感した。最近の木場の様子を顧みればこうなることは予想できたはず。それこそ事態が収束するまで拘束するなり、冥界にでも隔離するべきだった。そうしなかったのは一重にリアスの甘さが招いた結果だ。眷属であり、家族でもある彼に手荒な真似はしたくない。悪魔らしからぬ優しさ、それが今回の騒動を齎した。

 

 

「朱乃、今すぐソーナに連絡をお願い。助力してもらえないか聞いてみて頂戴。それとお兄様にも。今回の一件、悔しいけど私の手に負えないわ」

「わかりました」

 

 

 本来なら兄であり、魔王であるサーゼクス・ルシファーに助力を請うなどしたくはなかった。だが事態は深刻だ。これがきっかけで冥界へ攻め込まれても可笑しくはない程に。

 教会が保有する聖剣の一振りが悪魔に奪われた。これは先日ゼノヴィアが告げた様に教会が恐れている事態の一つだ。それが現実となった今、この行為が教会、ひいては天界に対する悪魔からの宣戦布告と受け取られても可笑しくはない。それをコカビエル、堕天使勢力が静観する筈がない。そうなれば情報の遅滞は致命傷だ。

 大きく、大きな鉛のような重い溜息が漏れる。

 状況はこれでもかと言うほど最悪の方向へ傾いている。現状、自分達が無闇矢鱈に動き回るのは避けるべきだろう。些細な行動一つが相手側へ不信感を抱かせる要因になりかねない。そうなれば問答無用で戦闘に発展しかねない。それに一誠の情報が真であれば、今駒王町には奴が滞在している。あれと遭遇すれば言葉を交わすこともなく駆逐されかねない。

 

 

「”教会の死神”がいる時にこんなことになるなんてね……」

 

 

 リアスも彼の名前はよく耳にしていた。教会の死神、有馬貴将。よく耳にすると言っても、その内容は彼女ら悪魔にとってあまりいい話ではない。教会の寵児、最強の悪魔祓いと。事実、有馬の討伐対象となった悪魔は軒並み死亡が確認されている。そんな人間か疑いたくなるような相手がこの町を徘徊しているのだ。うっかり鉢会おうものなら息をするように殺されかねない。それだけに、行方をくらました眷属が心配だった。

 

 

「部長、すみません……俺の責任です」

「……ふぅ、頭を上げなさい、イッセー。確かに今回の発端は貴方だったかもしれない。でもそれを知らなかった私の責任でもあるわ。後悔は後になさい。今は少しでも状況が好転する様に動くことが何より重要よ」

 

 

 己の失策を引きずる一誠を叱咤する。

 現在彼女らが取れる手段は少ない。安易な行動は自らの首を絞め、何もしなかったとしても首は絞まる一方。ならどうするか、決まっている。リアス・グレモリーは生来じっとしていることはできない性分だ。つまり生中に生あらず、死中に生あり。木場を捜すべく、動くことを選んだ。それが功を奏すかどうかはまだわからない。しかし、これから始まる騒乱に足を踏み入れることになることは確かだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□■□■

 

 夜の帳が落ち、人気の無くなった住宅街。就寝時間の過ぎたこの時刻、復讐の悪魔は獲物を求め徘徊していた。両手に握られた黒剣は酷く澱み、刀身から滲み出る瘴気は毒々しいほど黒ずんでいる。

 木場祐斗は確信している。奴等が取り戻しに来たコレを持っていれば、必ず奴は現れてくれると。その為にわざわざ二人を殺さず、メッセンジャーとして生かしておいたのだ。一度目に遭遇した時は感情が先走り無様を晒す羽目になったが、二度目は無い。

 同じ轍は踏むものかと己を戒め、決意を固める。これはただの戦いではない。同士達の無念を晴らすための復讐であり、今まで生き恥を晒し続けてきた意味の証明であり、忌々しい過去を清算するための戦いだ。死闘に赴くにあたって、一つだけ後悔があるとすれば、それは仲間達、主の意向に背き教会、ひいては天界に弓を引く大罪、不義を犯してしまったことだけだ。自身の行動が勢力に多大なる迷惑をかける行為だという事は承知している。しかし物事には優先順位と言うものがあり、これだけは譲れなかった。復讐だけが、自分にとって生きる意味そのものだから。

 少しばかり感慨にふけていると背後から足音が聞こえる。待ちに待った死神との遭遇に自然と頬が吊り上がり、感情が高ぶる。万感の思いを込め、後ろを振り向く。さあ、存分に殺し合おうと。しかしそこに居たの白いコートを着た白髪の死神ではなく、ボロ布を纏った見知らぬ人物だった。

 瞬間、表情は苛立ちのこもったものに変わり、盛大に舌打ちをする。その行動が八つ当たりだと理解していても、止めることはできなかった。待望の瞬間が訪れたと思えば、それは勘違い。期待していた分、苛立ちも大きかった。

 有馬でないなら用はないと、踵を返し立ち去ろうとするが――――――

 

 

「クスクス………あんよがじょうず、あんよがじょうず。赤子の神器」

 

 

 脚が止まった。肩越しに振り向く。相手はフードを深くかぶっているおり、素顔は見れない。教会から派遣された人物の一人か、それともコカビエルの部下なのか。いくつか候補が浮かぶが、それはないと除外する。最初に見た時こそ感じなかったが、気配から僅かに漏れ出るモノはどちらかと言うと此方側だ。

 どう対処しようか思考に耽るが、それを待たずして謎の人物は言葉を紡ぐ。

 

 

「やまない悪夢と罪悪感に蝕まれる毎日とひきかえに手に入れたのは虚飾の力。でもけして、空いた穴を必死にうめようとしても、その事実は変わらない」

「なにを、言っている……?」

 

 

 前振りも無く唐突に告げられた言葉、しかしそれを理解するのに時間は必要なかった。今まで沸騰していた感情が、冷水を浴びせられたように冷めていく。今彼の頭は混乱、困惑、疑問、自問、様々な情報が入り乱れていた。そんな様子を気に留めることなく、つらつらと言葉は続けられる。

 

 

「あの日、お友達を失って、さぞ悲しかったでしょうね。でも、ご主人様や眷属は彼方の同士じゃないよ」

「違う……、部長たちは、仲間だ」

 

 

 弱弱しい否定、それを嘲笑うかのように語る。

 

 

「ううん。例え命を救われ、仲間だ家族だと言われても、それに納得したくない自分がいる。いくら欲しがってもあの頃の同士は帰って来ない。代替品は代替品でしかないから。 お友達から託された願いから目を背けるのは、復讐に生きる方がよっぽど楽だったから?」

「知ったような口を―――――!」

 

 

 数mの間合いを瞬時に潰し、黒剣を一閃。

 

 

「おもうの、人から最も簡単に信頼を得る方法は『その人の傷を見抜いて、そっと寄り添う事』。悪魔のようにね。本当は、貴方の弱さにつけこんでいるだけなのに」

 

 

 しかし斬撃は虚空を斬り、声は彼の背後から聞こえる。

 

 

「過去の苦しみを長い月日をかけて風化させていって、ゆっくりと支配していく」

「そんな事――――――」

「悪魔になってから、彼方のご主人様は少しでも望みの手伝いをしてくれた?聞きたかったことは聞けた?目的に近づくことはできた?ねえ、イザイヤ君」

 

 

 木場祐斗の核心を突く言葉、さらに自身の本当の名前。

 

 

「どう、して……名前を………」

「聞かせてあげようか?」

 

 

 揺さぶられた心に縋りつきたくなる甘い飴、回らぬ頭で必死に思考するが、浮かび上がるのは数々の疑問だけ。辛うじて残っている理性だけが彼を踏み留めている。目の前の人物に問を投げれば、きっと答えは返ってくるだろう。だがその答えは自身の数年間の想いを台無しにするようなものかもしれない。

 欲望と理性のせめぎ合い、葛藤の末、勝ったのは

 

 

「僕に……教えてくれ」

 

 

 欲望だった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□■□■

 

 

 堕天使とは、神に逆らい天界から追放された、神から離反した天使の事を指す。堕ちた天使たちが神に反逆した理由は様々だ。高慢にも創造主を凌ぐ力を持つと驕り敗れ堕とされた者。大いなる父である神に嫉妬し堕とされた者。己の自由意思によって堕ち、人間と交わった者。

 大雑把に区分すると以上の理由が主となっている。今回の騒動の原因であるコカビエル、人間に天体の(しるし)を教えたとされている彼が堕天使たる理由、それは前者に当たる。

 

 

「最悪よ……!」

「はじめまして、グレモリーの姫君。久方ぶりに見る紅髪だが、今は感傷に浸る気分ではないんだ。出会って早々に不躾だが、さよならだ」

 

 

 十枚の漆黒の翼を広げ、上空からリアスたちを見下ろすのは堕天使幹部コカビエル。彼は片手を上空に翳し、数秒も立たずに十数の光の槍群を形成する。

 暗闇を照らす光の雨が彼女たちを襲いかかる。

 

 

「ッ!散開して!?」

 

 

 流星群のように降り注ぐ光の大群、突然の奇襲に意表を突かれ指示を下すのにタイムラグが生じた。眷属歴の長い女王(クイーン)戦車(ルーク)は危険を察知し散開する。しかし眷属歴の浅い僧侶(ビショップ)はそうもいかなかった。

 

 

「あっ……」

 

 

 指示に従い回避行動に移るも、足が縺れ転倒してしまった。

 彼女は元々回復要員であり、戦闘手段は愚か戦闘経験も無い非戦闘員だ。自衛手段も碌に持たない少女にリアスたちと同じことをしろと言うのは酷なことだった。

 

 

「アーシアッ!?」

 

 

 瞬間、少女は眩い閃光に呑みこまれる。

 上空から放たれた光の槍の一斉掃射、上級悪魔であっても消滅不可避な一撃。

 

 

「ほう、アレを耐えるとはな。俺達を苦しめた二天龍を宿すだけはある」

 

 

 想定外の出来事に思わず感嘆の声を漏らす。家柄と滅びの魔力だけが取り柄の小娘だけかと思えば、面白い駒を用意してくれるではないか。退屈そうな表情から一転、コカビエルは好戦的な笑みを浮かべる

 

 

『Welsh Dragon Balance Breaker‼』

 

 

 砂塵を振り払い現れたのは赤き鎧を身に纏った『赤龍帝』兵藤一誠。

 彼は降り注ぐ光の雨を全て叩き落とし、仲間を助けた。

 

 

「イッセーさん!」

「アーシア、部長のところまで逃げてくれ。悪いけど構ってる余裕はない」

 

 

 歓喜の声を上げるアーシアに冷水を浴びせるような冷たい声で最低限の指示を出す。一誠の直感が囁いていた。目の前に存在する堕天使は紛れもない強者であると。

 

 

「(相手は堕天使幹部、グレイフィアさんと同じレベル。行けるか?)」

 

 

 仲間を助けるためとはいえ、奥の手を開始早々晒してしまったことに焦燥する。現状、一誠はこの状態を維持することは困難だ。酷使した具合で使用時間は大幅に減るが、どれだけ抑えても三十分が限界だ。しかも相手は格上、力をセーブしてどうにかできるほど甘くはない。戦闘経験、相性、身体能力、どれをとっても自分ではかなわない。数百年も生きているコカビエルと比べることすら烏滸がましいほどの経験値の差、上級悪魔ですら一瞬で消滅しかねない光力、自身の最大倍加に追従、もしくは比肩する身体能力。どう考えても案配が悪く、客観的に戦況分析しても、ここは一時撤退するべきだと判断した。

 戦場となっている場所は住宅街から離れているものの、結界も張られていない状況で戦えば町に二次被害が出かねない。一誠の攻撃も大味なモノが多く、周囲に被害を出さずに戦うとなるとその戦闘力は激減する。加えてリアスや朱乃の攻撃も広範囲に影響を及ぼすものばかりだ。奇襲によって出鼻を挫かれた以上、態勢を立て直し、対策を練る必要もある。

 

 

「んっ?どうした、随分と逃げ腰じゃないか。逃げたければ逃げても構わんぞ。その場合、戦場がそこに移るだけの話だ」

 

 

 手の内を読まれたことに思わず下唇を噛む。こうなればドライグと交渉するかと考え始めた時

 

 

「グオォッ!」

 

 

 一条の雷撃がコカビエルを貫いた。

 短い悲鳴と共に堕天使は失墜する。しかし地面に膝をつき、口元から血を流しながらも、その貌は嗤っていた。

 

 

「この俺が攻撃されるまで気づかんとはな。クククッ、つくづく俺には運が向いているらしい。赤き龍だけでなく、死神まで出向いてくれるなんてな!」

 

 

 悪魔、堕天使に続き現れたのは教会の死神、有馬貴将。ナルカミを片手に抑揚のない淡々とした声で彼は告げる。

 

 

「コカビエルを補足。これより駆逐する」

「さあ!存分に殺し合おうじゃないか!」

 

 

 先程挨拶代わりに悪魔へ放った光の槍とは桁違いの質量をもった大槍、刹那の間で形成されたソレは寸分違わず有馬に向けて投擲される。見るからに危険な一撃、普通なら避けるために足を動かすはずだが―――――

 

 

「フハッ!」

 

 

 コカビエルは思わず笑みが零れた。普段はこれほど笑いやすい性格ではない彼だが、今回ばかりは笑わずにはいられなかった。

 飛来する大槍を前に、有馬は避けるどころかむしろ自身からソレに向かって走り出したのだ。それだけでも驚くことにもかかわらず、彼は大槍と接触する瞬間、ナルカミの刃先を押し当て大槍の軌道を上空にいなしたのだ。

 コンマ数秒のズレも許されない精密な動作、少し誤れば腕が消し飛ぶ危険もあるこの行動。もはや才能云々の話ではない。一連の動きを目にしただけで理解した。こいつは俺と同じ戦いだけに生きてきた男だと。

 コカビエルは両手に光剣を形成し、ナルカミの斬撃を受け止める。光剣を支える腕の筋肉が軋むほど重い斬撃、人の身でありながら人外に追従する身体能力の高さに称賛を贈る。

 

 

「いいぞ!ストラーダも常軌を逸していたが、貴様はそれ以上だ!?教会の戦士よ、俺を止めて見せろ!」

 

 

 堕天使幹部と死神の戦いが幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 そう言えばストラーダおじちゃんと闘ったことのあるコカビーさん。あれと闘って無事だったコカビーって、油断しなかったらそこそこ強かったんじゃないか説。
 後、イッセーが禁手使える理由はまあ追々書いていきたいと思います。
 次回で終わらせれたら嬉しいなぁ~。
 次回遅くなるかもですけど、勘弁してください!
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