少女は神を怖れない   作:宝犬

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だいぶ方向性が決まって来たかなー。
感想も待ってまーす。


05狂人は地獄耳

 

ガシン! ガシン! 

 

牢屋の扉に何かがぶつかっているような音がする。

音は断続的に聞こえ、中の住人は相当外に出たいようだ。

 

守備隊隊長ダグラス・ドリアードはその音を聞き、顔をしかめながらそのドアを開いた。その中には予想していた通り十歳程度の美少女が叫びながらドアに体当たりしているというシュールな光景をみることができた。

 

 

「ガツガツ当たるな馬鹿が。罪を重くされたいのか?」

 

 

ダグラスとしてはなるべく冷静に相手を落ち着かせるためにいったつもりだった。だが、相手はここ最近の腑抜けではないのだ。体調万全だ。

 

 

「うるさいわ若僧が! ワシに意見するな! 早くここから出せぇ! もうこんなとここりごりじゃ! ワシは研究せねばならんことがあるんじゃああ!」

 

 

そう、奴に危険だからと遠慮して魔道具や魔法を使わなかったせいで主人格(狂人)が復活してしまったのだ。

 

もっとも隊内でこれが主人格だと見抜いているのは恐らくダグラスを含む数名だけだろう。ちなみに金髪と魅了の女はチェリーちゃん保護したい派だ。

 

 

「貴様は今どんな立場かわかっているのか? 貴様のその性格を見れば、貴様が殺人を犯したのは一目瞭然だ!

本来なら奴隷か禁固どちらかの刑になるだろう。

まだ可と出してないだけありがたく思え。」

 

(まあ可と出せない理由は内の隊の奴等が庇いまくるからなんだがな)

 

 

さっさと可と出してしまいたいが、チェリー保護派の意見である魔力無しよる魔法を受けたあとの副作用として今の状態(主人格)に成ってる説を否定する根拠がないかぎり強硬は出来ない。

 

 

「ふん! ワシは知らんもん! あんなブタ男知らんもん! ワシはキスされたんじゃぞ? 男にキスされたんじゃぞ? そんな奴は舌かんで当然じゃろ!」

 

 

「今のは自白か?」

 

 

「いいのじゃ!別にワシには許されるのじゃ!だからワシ研究させろ!はよさせろはよさせろはよさせろ」

 

 

(やっぱどう見ても狂ってるだろ。何でこんな奴にうちの隊の奴らはメロメロなんだ?)

 

不思議に思うダグラスだったがこれには理由がある。実は彼女はまだ危険人物に指定されているので会いにこれるのは看守以外は副長以上なのである。つまりは人伝でしか隊員達は聞いてないのだ。だから信じてくれないのだ。

 

「まあ貴様の反応は予想通りだ。いつもならここで耐えられなくなって(怒りが)帰るんことになるが、今日は強い助っ人がいるんだぞ?」

 

こういう場合に手っ取り早いのは身元引き受け人を呼ぶことだ。彼女の容姿も体質も性格もかなり変わっていたため、あまり期待せず秘密裏に募集したが、思いもよらず大物が釣れた。

 

ダグラスはチェリーを見て不敵に笑う。

チェリーはダグラスの方を見ておらずあくびしている。

怒ったら疲れて眠くなったのかもしれない。

 

 

「今日は眠いから明日にしてくれの。」

 

 

そういって助っ人が来ることを全く聞かずに助っ人が来る前に大きないびきをかきはじめた。

 

がそれに慌てるのはダグラスだ。何せ大物が釣れたのだ。これで来てみたら本人が寝ていたとかあり得ない。

機嫌がわるくなれば自分の首が飛ぶ、それほどの大物が釣れてしまったのだ。

 

 

「おい、起きろ貴様! 殺されたいのか?貴様! 早く起きろ! おい寝るな今目ぇ開けてだろ、おい寝るなって、起きろ!起きろ!起きろ!起きろ!起きろ!」

 

 

まったく起きないチェリー。前世からの特技でどんな状態でも寝れるというものがあるのだ。

 

コツ、コツ、コツ。

 

足音が近づいてくる。

 

(まずいまずいまずいあの方の機嫌次第では俺の首が切れる(物理)。)

 

「貴様起きろ! まじで起きろ! いや起きてくれ! 頼む起きろ! ていうか聞け! もう何でもいいから起きてくれ! おい、おいぃ。まじでそこまできてるんだよぅううう。」

 

 

ガチャン。

 

 

「あれ、なんかキャラ違くないですか? 隊長。」

 

そこにいたのは部隊随一の情報通である眼鏡の部下だった。

 

 

「あー、ゴールドマン将軍は?」

 

 

「急用が出来たそうで一週間後に変更らしいです。

その連絡を伝えにきました。」

 

 

「では僕はこれで「待て!」

 

 

暫しの沈黙。

 

 

「なんですか?」

 

 

「あーなんだ、昇進に興味あるか?」

 

 

「彼女が関わってるんですか?」

 

「そうだ。ゴールドマン将軍はかなり変わった方だが中央でもトップに入るほどの力を持っている。この話に一枚噛んでみないか?」

 

 

少し考える眼鏡。

 

 

「わかりました。このケビン・レンズ、将軍及び隊長のため慎んでお受けさせていただきます。」

 

 

「そうか、なら今お前の見たものなどないな?」

 

 

「はい! 決して眠っている少女に鬼のような形相で迫る隊長など見ていませんし覚えていません!」

 

 

「う、いや待てボーナスも出そう。」

 

 

「僕は何も見ていません!」

 

 

「うむ、下がってよし。」

 

 

「失礼しましたー!」

 

 

ガチャン。

 

(ち、思わぬ出費だがまあ仕方ない。俺のイメージをこんな狂人のせいで潰したくないしな)

 

今回の計画、それは彼の今後の将来に大きく関わっていた。成功すれば昇進、少しでも機嫌を損ねればよくて左遷、悪くて私刑。リターンとリスクの比率がおかしいが上には逆らえないのが彼らである。

 

(まああいつなら何か役にたつだろう。とりあえず、一週間後だな。)

 

 

「それまではおとなしくしといてもらうか」

 

そういって牢屋から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いこと聞いちゃったの。」

 

少女の鈴の鳴るような声が密かに聞こえた。

 

 

 

 




もう少ししたら主人公の性格設定集とかあげようかな。
多重人格系主人公だし。
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