コツコツコツ。
夜中の深夜、ある牢屋の一室で物音がした。
当然犯人はチェリーである。
「ほんとはトコトンこだわりりたいとこじゃが何分時間も材料もないからの。まあ妥協するしかないの。」
寝たふりをして聞き耳をたてたときに得た情報、"ゴールドマン将軍" その存在をかなりの富裕層と見たチェリーはせっせと何かを作っていた。
「やっぱ金じゃしの、相当の金持ちじゃろい。将軍ていうのもなんかよい響きじゃよな。」
ちなみにチェリーは将軍が階級であるとは思ってない。ただのコードネーム、もしくは偽名だと思っている。
「どうせ金持ちでワシを保護しようとする奴などブタ男に決まっとるしな。ならそれを利用してやらんとな、、、。」
そういってチェリーはじぶんの髪を3本ほど抜いた。
「あといるのは鉱物が少しと血液じゃな。それと金属と布か。ベッドのシーツと金具で代用出来るかの。あー何か毒物もいるな。」
外から見ても何をやっているのか分からないが何かやっているのだろう。狂人の思考回路は意味不明なので考察しても無駄なのである。事実前世でも彼を理解できる人物は一人として現れなかった。
「あとは投与する動物じゃが、何かおらんかのぅ。
まあ最悪油虫でもよいが、、、。」
彼女はコップの中に作り出した薬品(泥+髪の毛+金属+唾液+石+布+血をよく潰してかき混ぜたもの)を手に持ち周りを探す。
「やっぱこっちの世界では初実験なんじゃし、出来ればかわいい奴に投与したいの。」
そういって辺りを見回すがここは守備隊の牢屋。また魔物使いの多いいこの国ではネズミ一匹はいる隙があることも許されないのだ。
「うーむどうするかのぅ」
折角薬(?)が作れたのだからと辺りを探す彼女だったが、不意にあることに気がついた。
(そうじゃった!それがあった!)
少女は満面の笑みで明日を待ってベッドに入った。
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「こいつがチェリーか。」
ゴールドマン将軍の発する声は場の空気を制圧するようだった。それほどの威圧感がある。
彼の右斜めと左斜めにはそれぞれ隊長とメガネがいるのだが、朝にある騒動があったためか、なにやら元気がない。
なぜ元気がないか。
理由は当然当然チェリー関連である。
具体的には部屋に入った瞬間に隊長は襲われた。
隊長の口のなかにゴミ(チェリーの作った薬)を飲ませたのである。この世の物とは思えぬ味、ひどい腹痛、頭痛などかなり隊長の機嫌と体調は悪い。
しかし隊長は一刻も早くこの狂人を引き取って欲しいため、また自分の保身の為気を取り直し将軍の機嫌を取る。
「そうです。どうでしょうこの赤というより紅に近い薔薇色の髪。強い意思(強すぎる)を秘めた真紅の瞳。
肌は一切の染みも皺もなく、顔の造形も言うこと無しです。必ずや将軍に気に入ってもらえるでしょう!」
最悪の体調なのにまるで奴隷商人のように堂にはまった隊長はペラペラとチェリーについて語り出す隊長にはさすがとしかいえない。相当薬(ゴミ)を飲まされたことを根に持っているようだ。
横から見ていたメガネは新たな恐喝の種を見つけ、情報一字一句逃さないようメガネを光らせ耳をすましている。哀れ隊長。
「最後に彼女の性格ですが、控えめにいって狂っていますので、使用の前には魔法を使うことをオススメします。ただし特殊体質なので初級魔法以上は使わないでくださいね。」
かつては彼女の無罪を信じ、体質に遠慮して魔道具を使わなかった隊長だがもはや見る影もなくなってしまった。そんな隊長の様子にメガネは更にメガネを光らせる。
ちなみにチェリーは大人しくなせるために血文字で最下級精神干渉魔法である<フェリー>がかけられている。
効果は安静レベル1なのだが、現在どうなっているかは<サーチ>を使っていないので分からない。
ちなみに<サーチ>が使えなかった理由はあまりに時間がなかったためである。なぜ時間がないのかというと以下略。
「お前は何か勘違いしているな。これはそういう目的で貰うわけではない。」
今まで黙っていた将軍が声を出した。
ちなみに将軍は日に焼けた色黒のスキンヘッドである。
「だがまあお前らに説明したところでどうしようもない。こいつは貰っていくぞ。」
わりとクールに話を切った将軍は少女の近くに歩いて行く。果たして本当に真の目的があるのだろうか?
将軍がチェリーの髪を指でとかし、頬に触れる。
「ひゃ、ひゃう。」
どうやらチェリーはかなり精神が弱っているようだ。
「うむ、これはいいな。では貰っていくぞ。」
「はい、一応極秘だと言うことなので裏口から退出ください。」
「うむ、お前等は最後まで勘違いしていたがまあなかなか手際よくやってくれた。何か困ったことがあればいえ。」
「「はい! ありがとうございます!」」
そういって目の前で震えるチェリーをヒョイッと持ち上げお姫様抱っこして持ち去っていった。
隊長は危機が去ったことに胸を撫で下ろし、メガネは大物権力者の変態疑惑にメガネを光らせた。
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(チェリー視点)
うぅぅ。こわいよぉ。わしを抱っこした色黒マッチョのハゲの人はそのまま裏口からでてわしと一緒に乗り物に乗りこんた。わしの顔や首を触ってくる手の動きが不快じゃ。でも拒否したらもっとひどいことになりそうじゃ。わしはどうすればよいの?
「おい、口を開け。」
「は、はい。」
つい素直に口を開いてしまう。この人の声はとてもこわいのじゃ。
「良い子だ。」
そういって頭を撫でて貰った。凄く安心する。この人はいい人なのかのぅ?
しかし次の瞬間指を口の中に突っ込まれた。
「うぅ、うぅぅ。」
な、何をするんじゃ。やめてくれぇ。怖いのじゃ。
なんか舌が熱いのじゃ。血の味がするのじゃ。
「<シルク>」
何か頭がスッキリした。あれ? 私は誰?
ここはどこ? 怖いよぅ。
「よしと、これでこっちは消えるな。」
額を擦り、頭を撫でてくれるこの方は一体誰なんでしょう?
凄く優しい、凄く安心できます。
私の全てをあなたに捧げます。
「あ、ありがとうございます。」
「あぁ、大丈夫だ。俺のことは主人様とよべ。」
「はい! 主人様! 」
次回彼女は悪の将軍の魔の手から逃れることが
できるのか?! 交互ご期待。