少女は神を怖れない   作:宝犬

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全ての仕込みが終わったあと、、、


07狂人は騙される

 

 

「む、ここはどこじゃ?」

 

古ぼけたベッドの上でチェリーは意識を取り戻した。牢屋と違う周りの風景に驚きながらあたりを見回す。

 

鉄のドアもなく、コンクリートの部屋でもない。

変哲もない少し古くて狭い宿という感じである。

 

 

ガチャリ

 

 

五メートルほどさきにある木製のドアが開いた。

中に入ってきたのはチェリーには見知らぬ大男だった。

日に焼けた褐色の肌にスキンヘッド。

その視線はとても厳しく、人三人は殺していそうなほどだった。まあそんなことチェリーには関係ないのだが。

 

「誰じゃ?貴様。ワシはお前のような奴は知らんぞ?」

 

チェリーの最後の記憶(オリジナル)は"ゴールドマン"に取り入るため、自家製の薬を隊長に飲ませたところまでしかないため、彼の存在がなんなのかがわからなかった。まあチェリーは研究さえできればいいのだが。

 

 

「俺様の名前はサルタージュ・ゴルド。お前の身元引き受け人だ。ダグラスから聞いていなかったのか?」

 

 

「あのゴールドマンとかいうダサい名前のやつか?」

 

「あぁそれだ。まああれは偽名だかな。まあそんなことはどうでもいい。お前はやりたいことがあるんじゃなかったのか?」

 

ゴルドは適当にはぐらかしチェリーに尋ねる。そうチェリーにはやりたいことがあるのだ。

 

「そうじゃ! ワシにはやりたいことが山ほどあるのじゃ! お前は協力してくれるのか?」

 

 

チェリーのやりたいこと、当然実験・研究・投薬である。ゴルドはそんな彼女を見てにんマリと笑みを深めた。

 

「あぁ、俺は協力者だ。お前の他の人格に聞いたんだが、お前には特別なことができるのだろう?」

 

「そうじゃ! ワシは天才科学者じゃからの!

まだまだ色々作るんじゃ!」

 

チェリーは研究できることにとってもウキウキしていた。過程は違ったが、当初の予定通りパトロンをゲットできたことに満足である。

 

「そこでだ、お前には留学してもらう。」

 

そんな彼女を見ながらゴルドが言った。チェリーは耳を疑った。

 

(留学? 何をいっておるんじゃこいつ? ワシに学校にいけと言うとんのか?)

 

小学校すら満足に行こうとしなかった彼女にはそれは大きな抵抗感があったしそもそも研究に学校は関係ないと思っていた。彼女はその真っ赤な眼でゴルドを睨み付ける。

 

「まあそう睨むな。今の世の中はな学歴と実力の両方がなければやっていけないんだよ。まあ異世界から来たお前は知らないだろうが、今は戦争中だからな。」

 

ゴルドは淡々と説明する。学歴が無いものは無能と呼ばれ、まず特攻隊に入れられる。実力の無いものは正規軍でも普通に死んでいく。科学者などの後衛は特に無駄な予算をさくことができないため学歴が必須なのだ。

 

「お前が有用なのは俺様がわかっている。だかなこの国では実績も学歴も無いものにはチャンスがない。まあ魔力がないお前は学校に入ることすらできんがな。」

 

 

「な、なんじゃと貴様! お前が個人的に支援してくれんじゃないのか?!」

 

「ふん、俺様がなんでそんなに金を出してやらんとならん。どうせ完成してもコンペでまけるだろしな。」

 

高い金を出して完成させた薬も実績なければ信用されず採用されない。ゴルドにはそんなことをする気はさらさらなかった。

 

(それにもっと有用な使い方があるしな。)

 

 

「お前には最北にあるノールマン学園にいってもらう。

このエクスタリア大陸で一番薬学が発達している学園だ。しかもあの学園があるコールド王国は魔力なしでも差別せんからな。安心していけ。」

 

そういってゴルドは一枚の封筒を差し出す。中には細長い一枚の紙と切符が入っていた。

紙には出身国"レザノフ公国"

推薦人"サルタージュ・ゴルド"と書いてある。

チケットにはノールマン学園とだけ書いてあった。

 

「この切符を使えば乗り継ぎなしで学園に行ける。

何、心配すんな。我がレザノフ公国とコールド王国は同盟国だ。それに俺の署名もある。それを見せれば特待生扱いしてもらえるさ。」

 

チェリーは紙とチケットを交互に見て、やがて諦めたようにゴルドを見た。

 

「ち、仕方ないがお前の言う通りにしてやるわい。

帰ってきたらちゃんと援助するんじゃぞ?」

 

チェリーとしても実は薬の学園ということで興味が沸いていたりしていた。

 

「あぁ、それは任してくれ。あと最後の重要なことを言うぞ。お前の体にはいくつかタトゥーを入れておいた。

それはレザノフでは当たり前のことだから仕方なくいれたんだが、学園の奴らは怪しむかもしれん。そのときはレザノフの伝統とでも言っておけ。」

 

(うん? タトゥーじゃと? そんなものどこにあるんじゃ?)

 

チェリーは今囚人服を着ていなかった。サクラ色のパジャマのようなものを着ていた。腕などを捲ってみてみるがどこにもない。

 

「タトゥーは三ヶ所に入れた。額と胸元と下腹部だ。

まあ額以外はバレンと思うがあんまり見られんようにな。」

 

「む、なんじゃと?」

 

チェリーはあわてて胸元を見ると血のように赤い模様が描かれていた。ちなみに下腹部にも別の模様が描かれていた。

 

「色はお前の髪に合わせといてやったぞ。まあ精々がんばれ。」

 

ゴルドはにやつきながらチェリーにいい放った。

 

 

続く。

 

 




ひっそりと計画は進んでいく、、、。
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