時間掛け過ぎるのも駄目かなぁと更新しました。
相変わらず文才皆無ですがよろしければご覧ください
來々來李
リアス・グレモリーは目の前の光景に困惑していた。
彼女は人ではなく悪魔である。
太古の昔から人には知られていない裏の裏世界を舞台に天使や堕天使と三竦みの関係にある種族に生まれつき、悪魔と言う種族の中でもグレモリー家と言えば名門中の名門、名高い貴族。兄がいるが、とある事情により兄にはグレモリー家を継げない為に彼女はグレモリー家の次期当主にあたる。
そんな裏の裏に身を置く彼女は普通(あくまで人間視点ではあるが)とはほど遠い為に多少の事態には驚かない自負があった。
そんな彼女でさえ現実逃避をしてしまいそうになる事態が目の前に広がっていたのだ。
駒王学園を中心にこの街一帯はグレモリー家とシトリー家と呼ばれる悪魔が目を光らせている言わば《領地》である。
そんな領地の一角で爆音が鳴り響いたとの報告が入り、自身の自慢の眷属達と現場に駆けつけた。
眷属達に周りの住人に魔法と呼ばれる力で暗示をかけるように指示を出し、自身は件の中心だと思われる公園へと単身で乗り込んだ。
だが、その惨状はこの場所が公園『だった』と称しても良いレベルだった。
記憶の中のこの場所は木々が生い茂る自然を残した公園で中央に当たる場所に綺麗な噴水があった筈だ。
ところがどうだ…
木々が生い茂る?
ある一点が爆発したかのように円形に公園全ての木々が薙ぎ倒されている。
綺麗な噴水?
スプリンクラーのように水を撒き散らす瓦礫の山へと破壊されている。
地面のあちこちには大きなクレーターや大地震のあとのようにヒビ割れがあり、最早原型を留めていなかった。
「…酷い有り様ね」
その光景に溜め息混じりの感想しか出ない。
無事にこの件の犯人を捕らえたとしてもこの惨状だ…
どれほどの力と金銭を使えばこの場所を修復出来るのか検討を付けるのさえ億劫となる。
これらの惨状が原因で起きた頭に鳴り響く頭痛に顔をしかめながらも辺りを見回す。
すると辺りに獣の叫び声にも似た声が鳴り響く。
その声に身を引き締め、交戦も視野に入れながらも音の元へと駆け出した。
そして見つけた。
血溜まりに身体を投げ出している少年とその少年の横に座り込みながら血の涙を流す少年。
(彼らは確か…)
リアスは彼らに見覚えがある。
血溜まりに倒れる少年は兵藤一誠。
涙を流す少年は丹童子夕璃。
共に自身が通う駒王学園の二年生で校内でもわりかし有名な生徒だった筈だ。
兵藤一誠は変態三人組みと呼ばれる者の一人として、丹童子夕璃は彼らと共に行動している事が多い事とその目立つ身長で有名。
しかし、事前に調べた経歴などからは兵藤一誠は普通の高校生で丹童子夕璃は少し変わった経歴の家族がいる事以外はやはり普通の高校生だった筈だ。
そんな彼らが何故こんな所にいるのかを含め、何があったのかを聞き出そうと近づこうとした瞬間、血の涙を流す丹童子夕璃が事切れたかのように兵藤一誠に重なるように倒れた。
慌てて容体を確認するが…どうやら外傷は一切ないらしい。
それより問題だったのは兵藤一誠の方だった。
先程までは丹童子夕璃の身体で隠れて顔しか判断出来なかったが、腹を槍で突かれたかのようにぽっかりと穴が開いて大量の血を出血している。
間違いなく致命傷で既にその命はまさしく風前の灯火。
逆にまだ息がある事が不思議なレベルだ。
しかし…
「へぇ…アナタがね…」
兵藤一誠の身体を魔力による解析を掛けた結果、彼の身体には自身の興味の対象となる物が宿っている事を知る。
「ふふふ…面白いわ。いいわ。アナタの命、私が拾ってあげる」
懐から紅に染まったチェスの駒を取り出しながら息も絶え絶えの兵藤一誠に言った。
「私の為に生きなさい」
辺り一面を紅の光が照らし、彼女の持つ全ての兵士の駒がその存在を消した。
丹童子夕璃は夢を見ていた。
自分が誰よりも尊敬し、憧れた一人の男の夢を。
いや、夢と言うより追体験と言うべき出来事だ。
その男に映る世界は灰色だった。
生まれたその瞬間から身体に特異な力を宿し、時には虐められている友達をまたある時はもう一人しかいない唯一の家族の母を守る為に力を使い、それを見た者達から逃げるように様々な場所を転々と移り住処を変えていた。
その為か彼は自分の力が、自分自身が嫌いになっていく。
そして、17歳になった頃の彼には大好きだった母も亡くなっていて一人ぼっちになってしまっていた。
でも、彼はとある出会いを果たす。
赤い大きなリボンがチャームポイントである同じ年の少女。
彼女は彼の母がまだ生きていた頃に出会った女の子だった。
そんな彼女は彼に頼み込む。
私にアナタの力を貸してくださいと。
母が亡くなってからは他人を避け、常に孤独でいるようになっていた。
そんな彼は最初は拒否をし、忌み嫌う力を行使して彼女達を追い払う。
しかし、追い払った後に気まぐれで見たテレビの内容を見た瞬間、彼はバイクを走らせた。
街に化物が現れ、街の美術館へと向かっている。
正直、彼は街がどうなろうと構わないと思っているようだ。
でも、他人に嫌われている彼にも話かけてくれる同級生がいた。
どんなに突き放した事を言っても話かけてくれて、彼の事を優しい人だと言ってくれた同級生が。
きっと…この選択が全てを変えたのだと夕璃は理解する。
彼の周りにはいつの間にか人が増え始めていた。
悪態を尽きながらも話会える親友。
自身を自分が所属する部活に何度も勧誘していた太陽のように輝かしい部長。
自身と同種の力を持ち、自身よりも険しく悲しき過去を持つ男達。
最初は自身を嫌っていた同級生達も学園祭を機に親しく話かけてくれるようになっていた。
そして…
彼を変え、周りの人を変えるきっかけを作ってくれた赤いリボンの少女も常に傍で笑いかけてくれていた。
いきなり夕璃が見ていた光景が変わり、辺りを光が照らす。
あまりの眩しさに思わず目を閉じてしまう。
目を閉じていても分かるほどの強い光は徐々に弱くなり、消えていった。
夕璃が目を開こうとすると声が響く。
「俺は自分の力が嫌いだった」
驚いた夕璃は声がした方へと視線を移す。
「でも、この力が無ければ皆とは出会えなかった」
そこには…
「この力を持つ自分が嫌いだった」
この世にも不思議な体験を超えた男が。
「でも、この力を持つおかげで変わる事ができた」
そして、夕璃が尊敬し、憧れた一人の男。
「今なら俺は言える」
いつの間にか男の傍にはパートナーである女性の姿。
「俺はこの力に、自分を愛してくれた母にありがとうと」
ゆっくりと夢から覚め、視界に一組の男女が映る。
男はいつもの笑みを浮かべ、女は夕璃の額に右手を置き、膝枕をしていた。
男の右手は女の左手を握り締めている。
男の名は丹童子アルマ。
女の名は丹童子ルリ。
そして俺は丹童子夕璃。
彼らの息子で…
「起きたか…『良い夢』見れたか?」
「アルマさんったらもう…おはよう、夕璃。体調は大丈夫?」
「おはよう、父さん、母さん。うん、とっても『良い夢』見れたよ」
きっと、力を引き継ぐ者。
改めて読むと恥ずかし過ぎる出来で若干涙目です
次話は何時更新しようかなぁ…