楽しんで行ってください
昼休み
海未からのお説教を受け、俺達は中庭の大きな木の下にいた。
「学校がなくなるにしても、今いる生徒が卒業してからだから早くても3年後だよ」
「良かった〜。いやー、今日もパンがうまい」
ことりの言葉を聞いて再度安心したのか穂乃果はとても美味そうにパンを食べてる。
「でも、廃校が正式に決まったら、次の1年生は入って来なくなって、来年は2年と3年だけ...」
「今の1年生は、後輩がずっといないことになるのですね...」
「そっか...」
3人とも落ち込んでいる。まあ、その気持ちは分かるがな。俺も一応はこの学校の生徒だしな。だが3人はそれに加えて他にもあるだろう。穂乃果と海未の親は音ノ木坂が母校だし、ことりに限っては親の学校でもあるからな。俺と比べても悲しみは深いはずだ。
「俺も学校がなくなるのは悲しいけどな。どうしようもないんじゃないか?できることがあってもたいていのことはことりのお母さんがやってるだろうし」
「それは違うんじゃないかな」
「「「穂乃果(ちゃん)?」」」
「だって、ことりちゃんのお母さんや先生達がやれることをやったからって、私達が諦める理由にはならないよ」
「そうですね」
「穂乃果ちゃん...」
これだから、穂乃果はすごいよな。さっきまでとは違って、海未とことりもいい顔をしてる。こんなふうにいつもみんなを引っ張っていけるカリスマ性を持っている。そして、それには俺も付いてってしまうだろう。
「そうだな。じゃあ、具体的にh「ねえ、ちょっといいかしら?」誰だよ!人の話を遮るやつは?」
「そういう義政くんも今日の朝穂乃果の話を遮ったよね?」
うるさい穂乃果。少し黙ってようか。それで声が聞こえた方を向くと
「あら、義政。ごめんなさいね、話を遮るやつで」
と微笑む絵里先輩がいた。この人は我らが音ノ木坂学院の生徒会長でなんとロシア人とのクォーターだ。そしてもう1人。副会長の希先輩がいた。俺はこの人のことをマジもんの預言者かと思ってた時期があった。何かの占いをすると必ず当たるんだもん。本人曰くスピリチュアルパワーらしいが。まあ、それよりも何か絵里先輩が怒ってる気がする。
「なんだ〜、絵里先輩ですか〜。それに希先輩も〜。2人とも名乗ってくれれば良かったのに〜」
「義政くん、態度変わりすぎじゃ...」
とことりが言っている。頼むことり。それ以上言わないでくれ。俺も普通の態度でいたいけど、この人の前じゃ無理なんだよ。そんなことを思ってると
「それよりも、南さん」
と絵里先輩がことりに声をかけた。あれ?俺のことは無視?
「はっ、はい」
「あなた、確か理事長の娘よね?」
「はい...」
「理事長何か言ってなかった?」
「いえ、私も今日知ったので…」
「・・・そう、ありがとね」
と言って、絵里先輩と希先輩は立ち去っていこうとした。それを
「あの、本当に学校なくなっちゃんですか?」
と穂乃果が1番心配してることを聞くために呼び止めた。
「あなた達が気にすることじゃないわ」
と絵里先輩は少し冷たく言った。
「あ、あと義政は放課後生徒会室に来なさい」
「えっ、なんで?今日生徒会ありませんよね?」
「命令よ。いいわね?」
「ちょっ、ここで職権乱用かよ!?」
「じゃあ義政ちゃんと来なさいね」
「ほな〜。あと義政くんちゃんと来るんやで〜」
そうして2人が立ち去っていった。
「なあ、今の理不尽じゃね?」
「しょうがないよね〜、義政くん生徒会役員だもん」
「まあ、そうですね。諦めない」
「えっ?!義政くん生徒会役員だったの?」
「なあ、穂乃果。お前ってよく音ノ木坂入れたよな」
「それについては同感です」
「あはは...、海未ちゃんと義政くんが丁寧に教えてあげたからだと思うよ」
「むぅ〜、何か穂乃果の扱い雑じゃない?」
「そんなことはないだろ」
そんなことを話してるうちに昼休みが終わった。
放課後
俺は重い足取りで生徒会室に向かっていた。最初は無視して帰ろうとしたが、そんなことをするとあとが怖い。そのため、初めから生徒会室に行く道しか残されてなかった。そして、とうとう生徒会室にたどり着いた。
「失礼しまーす」
と中に入ってみると、絵里先輩と希先輩がいた。はやくね?ホームルーム終わってからまだ5分も経ってないよ。
「やっと来たわね義政。逃げなかっただけ褒めてあげるわ」
やばい。なんでか知らないけど怒ってる。
「絵里先輩、何をお怒りなのでしょうか?」
「別に怒ってなんかないわよ。ただ義政に頼みたい仕事があっただけ」
「本当に怒ってないんですか?まあ、仕事だったらやりますけど」
「ええ、じゃあこれをお願いね」
と絵里先輩が指を指した方を見ると山積みの書類があった。あれ?この量を俺ひとりでやるのはおかしくない?
「絵里先輩、これ全部俺がやるんですか?」
「そうよ。3日後に提出だからね」
「ほな、頑張ってな義政くん」
そうして2人は帰ってた。マジでこれを俺ひとりでやらなきゃ行けないの?生徒会ブラック企業じゃね?まあ、とりあえず書類持って家に帰りますか。
生徒会室をでて歩いて行くと、中庭にことり達の姿が見えた。何をしてるのか気になったため中庭に行き、声をかけた。
「よう、さっきぶり。何してんの?」
「あっ、義政くん。・・・何その荷物の量?」
「絵里先輩に押し付けられた。生徒会の仕事だ!」
「そんな量ひとりでできるの?ことり手伝うよ?」
「穂乃果も手伝うよ!」
「私も手伝いましょうか?」
「いや、3人とも大丈夫だよ。気持ちだけありがたく頂戴しとく。んで、そろそろ俺の質問にも答えてくれないかな?」
「それはね、穂乃果達今学校のいいところを探してるんだ!」
「それはやっぱり廃校を阻止するため?」
「うん、穂乃果も海未ちゃんもことりちゃんも私達の学校になくなって欲しくないもん」
「そうだよな。なら俺も協力するぜ」
「ありがと〜」
そうして、プール、弓道部、グラウンド、講堂、偉そうな人(多分創設者かな?)の像などを見て回った。結果
「めちゃくちゃ普通だな」
「ですよね...」
やばいだろ。この学校昔からあるのにいいところがあまりにもない。それが俺の感想だ。それはみんなも同じらしく
「うぇ〜、ことりちゃ〜ん。他に何かないの?」
と穂乃果までお手上げのようだった。
「う〜ん、強いていえば・・・古くからあるってことかなぁ」
「ことり、話聞いてましたか?」
「あっ、でもさっき調べて部活動では少しいいところ見つけたよ!」
「「ほんと(か)!」」
「と言っても、あんまり目立つものはなかったんだぁ」
何か最後に不吉な言葉が聞こえた気がした。それは本当だったようで
「ウチの高校の部活で最近1番目立った活動はと言うと・・・
珠算関東大会6位」
「微妙すぎぃ〜」
「合唱部地区予選奨励賞」
「もう一声欲しいですね」
「最後はロボット部書類審査で失格・・・」
「最後のは言わなくてよくね?」
うん、聞いてて思った。部活動弱すぎるわ。そう思ってると
「ダメだぁ〜」
「考えてみれば、目立つところがあるなら生徒ももう少し集まってるはずですよね...」
「そうだね...」
「てかさ、海未なら弓道で全国狙えるんじゃないの?」
「それだぁ〜」
「それだじゃありません。確かに私なら弓道にのみ絞れば、全国を狙えるかもしれませんが、そもそも園田流を継ぐので、弓道のみに絞るのは無理です」
「そうか〜」
「とりあえず、家に帰ってから考えないか?今ここで話してても決められないだろうし」
「そうだね。家に戻ったらもう少しお母さんに聞いてみるよ」
とことりが言った。そしてそのまま帰る流れになった時
「私この学校好きなんだけどなぁ・・・」
と穂乃果が呟いた。それに続いて
「私も好きだよ」
「私もです...」
とことりと海未が言った。そして俺も
「俺も好きだよ。正直男子は少ないし、何か目立つものがあるわけでもない。けど、ことり、穂乃果、海未との大切な思い出がある。それがあるだけでこの学校を守りたいと思う理由には充分だろ」
「「「義政(くん)」」」
「だから、みんなでこの学校を守るために必要なことを考えてこようぜ!」
「「「うん(はい)!!」」」
そうして家に帰ることになった。
下校中
「じゃあな穂乃果、海未」
「じゃあね穂乃果ちゃん、海未ちゃん」
「ばいばいことりちゃん、義政くん」
「また明日です、ことり、義政」
と炭団坂で穂乃果、海未とわかれ、俺とことりは帰っていた。
「ねぇ、義政くん」
「なんだ?ことり」
「義政くんはどうすれば学校を守れると思う?」
「難しい質問だな。正直俺にも答えはわかんないな。でも、1つだけ言えることがある。諦めなければきっと道は開けるさ」
俺の答えを聞き満足したのかことりは
「うん、そうだね」
と笑顔で言った。
「んじゃ、俺買うものあるからまた明日な」
「うん、また明日」
とことりとわかれ俺は秋葉原へと向かった。
秋葉原に着き俺はあるグループの新作グッズを買いに来た。お目当ての店に着いて、そのグッズを探す。そしてグッズを見つけた。どうやら残り1つのようだ。俺がそれに手を伸ばすと横からもう1本手が伸びてきた。そして、俺の手とその手がぶつかった。グッズの上でだ。まあ、俺の方が先にグッズに手をのせてたので
「すみません、これ、俺のでいいですよね?」
と聞くと聞き覚えのある声が帰ってきた。
「なんでよ、にこに、グッズを譲れないわけ?」
「なんだにこ先輩じゃないですか〜。どうかしたんですか?」
この人は矢澤にこ先輩。大のアイドル好きだ。俺にスクールアイドルについて教えてくれた人でもある。
「グッズを買いに来たのよ。そしたら残り1つでとろうとしたらあんたと手がぶつかっただけ。まあ、そんなことはどうでもいいからそのグッズはやくにこに渡しなさい」
「いや、いくらにこ先輩でもこれは譲れませんよ。A‐RISEの新作グッズだけは」
「A‐RISEのことを教えたのは誰だったかしら?忘れたわけじゃないわよね」
「いや〜キレイさっぱり忘れてしまいました〜」
「なんでよぉー」
「うわ、いきなり大声ださないで下さいよ」
「だって、だってぇ」
やばい、にこ先輩のことを泣かせそうだ。
なんて言うと思ってか?この先輩のことだ。きっと
「にこ先輩、嘘泣きはやめましょう。1度騙されたものに騙されるほど俺も子供じゃないですよ」
「ちっ、引っかからないか。部活に入部させた時は引っかかったのに。まあ、いいわ。いい加減、グッズを渡しなさい。部長命令よ!」
「いくら部長でもこれだけは譲れませんね」
「だったらジャンケンで勝負よ。あんただって逆の立場ならそうするでしょ」
「ええ、そうですね。いいでしょう。行きますよ」
「「ジャンケン、ぽん」」
何故俺はパーを出してしまったのだろう.....おかげで俺はグッズを失ってしまった。
「じゃあ遠慮なく買わせてもらうわ。あんたは次の入荷でも待つのね」
と言ってにこ先輩はグッズを買い、帰っていった。なんで今日こんなに不運なんだろう...
そして帰り道、俺はUTXの前の巨大なTVでA‐RISEのPVを見てた。そしてこんなことを思った。ことり、穂乃果、海未でスクールアイドルをやってみればいいのにと。まあ、ありえないだろうけど。
そうして家に帰り、宿題、生徒会の書類(終わるわけない)などやることをやり、寝た。
そして次の日学校で
「みてみてみてぇ〜」
と穂乃果が俺達に声をかけてきた。
「なんだこれって、スクールアイドルの雑誌ィーー!?」
「えっ、義政くん知ってたの?じゃあ話がはやいや。海未ちゃん、ことりちゃん私達でスクールアイドルやらない?」
まさか昨日考えてたことが当たるとは...
だが俺はこの時知らなかった。この言葉で俺達の学校生活が大きく変わることを。
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